両うどんのヘラブナ釣り

ヘラブナ釣りで人生を楽しんでいる日曜釣り師です

常時50枚の釣果と大助を釣り上げるために

 ヘラブナ釣り ランカーサイズという表現

 魚釣りの世界では昔から大型サイズを特別な表現をしていました。ヘラブナの世界では大助が一つの言い方でしょう。黒鯛の世界では年無しです。キスでは肘たたきで鮎では尺鮎となりますが、如何に釣り人として大型サイズに対する憧れがあったのかを言い表していると思うのです。


 キスの肘たたきも具体的なサイズというより、キスを掴んだときに肘を尾びれで叩くサイズですから、これも昔から変わることはないはずです。
 カレイの大型はその見た目からザブトンと表現しますし、アイナメなどは見た目もあるのでしょう。ビール瓶に見立ててポン級との表現をします。
 鮎では具体的に尺鮎とサイズを表現しているのですから、30㎝が今も昔も目安な訳です。
 イシガキダイではクチ白ですし石鯛ではクチ黒と表現します。
 黒鯛では50㎝を超えると年無しですが、大凡表現を変えるサイズがきまっているのです。


 ところがヘラブナの大助は、その昔は30㎝と尺を超えると大助と表現していたはずですが、いつしか40㎝を超えるサイズを大助と表現するようになりました。
 これは一つに放流されるサイズが大型化したためでしょうが、その昔の繊細なヘラブナ釣りから、豪快な釣り方に変化したたために釣り上げられるサイズが、大型化してしまったがためかも知れません。


 最近魚の大型サイズを大雑把にランカーサイズと表現します。これは一つに大会などでランキング入り出来るサイズという意味で使われていると思うのですが、魚の種類によって違う表現がされていたにもかかわらず、いつしか全ての魚種に対しての大型サイズをランカーサイズと表現されるようになってしまいました。
 これも時代の流れなのでしょうが、せっかく個別に言い表していた大型サイズとしての表現が、一括りにされる事に一抹の寂しさと共に日本語文化の衰退を憂いてしまうのです。


 以前書いていたと思うのですが、食レポなどで食感が良いなんて表現をするタレントたちがいます。食感って一体なんでしょう。具体的には口当たりであり歯触りであり舌触りであり、またのど越しであり鼻に抜ける芳香でありと、それぞれの表現する言葉が存在しているのですが、それを食感と一括りにしてしまう愚かさは我慢できないのです。
 ついでに口に運ぶときに左手を添える人がいます。丁寧な仕草だとでも思っているのでしょうが、あれは昔から手皿といってはしたない仕草なのです。もし何かを落とすと恥ずかしいと思うのであれば、1枚の懐紙を取り出せば良いだけのことです。女性でそっと懐紙を取り出して食事をされると粋だなぁって思うのですが、そんな仕草をされる女性にはなかなか出会わないですねぇ。
 あっ!間違っても女房殿には指摘しないようにしましょうね。間違いなく釣行が1回は減ってしまいますからね。


 ワインに対してのウンチクは全く持ち合わせていませんが、ワインの香りを表現するのには500種類ほどあるそうです。一般の人にとっては全く表現できないのですが、その表現方法を知ることでワインの香りの違いを嗅ぎ分けられるようになるそうです。
 別に魚の種類の表現程度なら大概の人は出来るでしょうが、その魚にまつわる語源やことわざや格言的な表現に至るまで、ひとまとめに表現をすることで廃れていく言葉文化のような気がしてなりません。


 ブリが出世魚と言われるゆえんも、呼び名がサイズによって変わるからこそであって、呼び名を統一してしまうと、既に出世魚ではないことになってしまいます。その前に出世魚との表現すらされなくなるのかも知れませんね。
 鰤の場合には一番幼魚をモジャコといいますが、海に漂う海藻についているために付いた名称です。以降地方によって違うのですが、ワカナ、ツバス、ハマチ、メジロ、ブリとなりますが、養殖されたブリは全てハマチとの表現をされる事もあります。
 ボラも身近な魚だったためでしょうか成長によって呼び名が変わりますが、一般的にはイナ、ボラ、トドと呼ぶそうですが、実際大型のボラを見つけてあれはトドだなんて表現は聞いたことがないのです。イナだってボラの子なんて表現が関の山ですから、既にその呼び名も死語になってきているような気かがします。


 そうそうトドの詰まりはこのボラのこれ以上大きくならないところが付いたとの説がありますが、トドは止め(とどめ)のことでありこれ以上はないとのことを詰まるとの表現と合わさって、トドの詰まりとの表現になったとの説の方が有力だったりするのですが、あまり表現されないボラのトドが、まことしやかにボラのトド説が幅をきかせているのも面白いですね。


 これら以外にもスズキなども出世魚ですが、セイゴサイズ、フッコサイズとまだスズキとは呼べないなぁなんて表現は、釣り師の世界では市民権を得ているのですが、このスズキですら80㎝を超えるとランカーサイズなんて表現が、まかり通るようになっているのですから、ヘラブナの世界も尺半や夢50なんて言い方ではなくて、ランカーサイズなんて表現が出てくるようになるのかも知れません。


 私的には単に言葉の持つ意味をなんとなく大事にしたいと思うのですが、やはり懐古主義なのかも知れませんね。


 *代表的な呼び名変化をもつ魚は、真鯛・スズキ・黒鯛・鰤・カンパチ・コノシロ・ボラ・マグロなどありますが、呼び名をそれぞれ調べてみるのも楽しいですよ。