ヘラブナ釣り 浮き 常識の嘘
ヘラブナ釣りではなんと言っても浮きの性能に依るところが大きいと思います。当たりが出なければ合わせる事も出来ないのですから、当然と言えば当然ではあるのですが、だったらどんな形状でも良いのかとなると、やはり形状や素材の違いで浮きの特性も違ってくる・・・というのが常識でした。
常識の1つ目 パイプトップは空気が入っているため浮力がある
常識の2つ目 竹足は素材として軽いので浮く
実はこの2つはとても眉唾もので、一見するとパイプトップは浮力がありそうに見えます。いや多分その通りではあるのでしょう。しかしパイプトップ外したことはあるでしょぅか。
ムクトップと違いパイプトップはそのまま胴に埋め込まれてなく、ガラスソリッドを胴に埋め込まれています。そのソリッドにパイプトップが被さって接着剤で固定されているのです。そのソリッドも案外長くてトップの半分程度まで入っていっているものもあります。
実はこのパイプトップを取り付ける方法は、トップの破損防止も兼ねていますので、この方法は一概に批判は出来ないのですが、ソリッドの重量と接着剤がパイプトップの浮力をなくしてしまっているのです。
また竹足の浮力については、比重が0.65となっていますので浮くことになります。しかし実際の竹には種類があり、比重も0.5から1.2と水より重い竹が存在します。浮きに使われている竹の中でも、編み棒のような硬いタイプは比重が高いので、竹足は浮くと解釈しない方がいいのです。
竹竿の穂先は真竹を使用されていますが、真竹は比重が高いために水に沈むのです。
この2つの常識は見た目の思い込みが大半で、実際とは違っている事が案外あります。そのため見た目よりオモリの量が少ないと感じたことはないでしょうか。
但し!!!ここで注意が必要で、パイプトップは体積が増えますので抵抗値が大きくなります。浮力というよりも抵抗値が上がるために、感度が鈍くなるのは間違いなさそうです。この感度が鈍いとの表現も誤解が生まれるのですが、浮きを沈めるためのエネルギーはそれ程高くなく、ムクトップとパイプトップとの差は殆どないのが正解です。但しここに大きく影響を与えるのが胴の素材と形状による浮力差です。
宙釣り用の浮きは胴が比較的小さくて張りがありますが、水中に沈める抵抗を少なくするために強く絞られています。イメージ的にいうなら菱形に近くなっています。
それが深宙用の浮きになると、深くまで沈め尚且つ長いストロークを利用するために、トップは長く作られていますので、浮きの種類の中では一番大型の種類でしょう。
底釣りは使用する竿の尺数によって浮きのサイズが違ってきますが、トップの差や浮きの素材よりも、そのサイズ違いの方が抵抗値の違いが大きく、短竿に使用する浮きは抵抗値が少ないので、小当たりを表現出来ますが、中長竿になと小当たりの表現が出来なくなります。
特に底釣り用の浮きは返りが良い浮きが良いとして、浮力のあるタイプが好まれるようですが、浮力がありすぎる浮きほど使いにくいものはありません。イメージとしては羽素材で胴の径が太い合わせタイプです。トップの違いよりこの胴の素材による違いが大きく、同じ羽素材でも1本ものであれば極端な浮力もなく、尚且つそれなりの浮力が維持されています。また茅素材の1本ものは元々強い浮力がないので、底釣りには使い易い素材だと思います。難点は羽根に比べて弱いことでしょうか。
そうそう安い貼り合わせの浮きの場合は、胴の貼り合わせが外れる事故が多々起きますので注意が必要ですが。
またトップの話に戻りますが、ムクトップは比重も高くて水に沈みそうですが、PCムクは1.2の比重があり、グラスムクでも殆どがPP素材ですから0.9しかありません。もし足に使うようなグラス素材なら2.5の比重ですから浮きを沈めてしまいます。
つまりPPムク素材なら浮きますので、感度が良いとは単純にはいえなくなります。
但し!!!ここも形状の影響があり、ムクトップは体積が低くなりますので、抵抗値は落ちて感度が良くなります。
結局トップの違いによる抵抗値や浮力よりも、胴の素材や加工方法そして形状に依存するのです。
スリムタイプの胴でパイプトップであれば感度が良く、張りのある胴にムクトップが突いていても感度が悪くなります。
またこの感度が良い悪いについては、その時々の考え方に依るところが大きくて、何が何でも感度が良い方が良く釣れる訳ではないという点です。
水温が上昇しジャミが多く反応し出すと、感度が良い浮きでは浮きが動きすぎて当たりの見定めが難しくなり、結果として釣果が伸びない事が起きます。
反対に鈍感な浮きを使うことで、小当たりは消してしまいますが、他のややこしい当たりではなくて、本当たりを的確に表現出来るために、釣果に繋がることも多々あります。
イメージとしては長竿ほどパイプトップが良くて、短竿はムクトップが良いように思いますが、これもまた一概に決め付ける事は出来ません。ただトップの違いというよりは浮力の違いで使い分ける考え方が正解と思います。
その浮力とは浮きの形状から受ける印象ではなくて、実際にオモリバランスを取ったそのオモリの量によって判断します。それは浮きの製造時にボンドの使い過ぎや、中の綿をどの程度抜いたのか、またトップを取り付ける方法などによって大きく違っているからです。
まぁ有名浮き師の浮きでは信頼が置けるとは思いますが、私のような小市民では高価な浮きは全く使えませんので、使って見て浮きの持つ特性を調べて使い分けるようにしています。
人間と同じで浮きにも個性があるってことです。性格の良い浮きもあればひねくれた浮きもあるのです。ただ浮きケースにサイズ違いで順番に並べていたとしてても、出番の多い浮きはある程度決まっています。ってことで同じ番手を何本も用意しておくと、浮きが折れても慌てなくて済みます。
同じ番手の浮きを揃えるのも天邪鬼的ですかねぇ・・・性格です。ハイ。
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