両うどんのヘラブナ釣り

ヘラブナ釣りで人生を楽しんでいる日曜釣り師です

常時50枚の釣果と大助を釣り上げるために

 ダイワ製 ヘラ竿 HERA V インプレッション

 ダイワから新発売されたHERA Vのインプレッションです。



 今回ダイワから新発売されましたHERA Vの16.5尺と13.5尺を購入しました。室内で見る色はなかなか渋い色合いに仕上がっています。また全体的に細身で握りもそれに比例して細く感じました。そういう意味では手の大きな方は細すぎると感じられるかも知れません。
 私は手袋を使いますのでその点は補正されると思いますが、今回の握りは編み込みですから餌の汚れがしっかりと付きそうで、最近のダイワのHERAシリーズで採用されていた新触感へらグリップの方が汚れが付きにくくて良いと思います。
 ただ今までのHERAシリーズの中ではXが低価格帯でしたが、それよりもまだ4割ほど安く月光とほぼ同価格ですから、月光と同じ新袋編みグリップが採用されるのは仕方のないことでしょう。



 今回16.5尺と13.5尺を選んだ最大の理由は、8尺や9尺の短竿では特徴がわかり難いと思いましたので、やや長めの方が軽量でありながら硬式先調子を体験出来ると思ったからです。実際硬式先調子がこの価格で手に入るとするなら積極的に選ぶべき竿となるはずです。


 それはこの2本の価格ではHERA Sでは16尺1本しか買えないのですから、バーゲン価格な事は間違いないと感じています。ただそのバーゲン価格通りの釣り味だとすると積極的に選ぶ必要はないのですが、もしそれなりに優秀と感じることが出来れば正にバーゲン価格ですから積極的に選ぶべき竿となるはずです。


 私はダイワ製は他にHERA FとHERA SそしてHERA Xを持っています。残念ながら高価格帯のHERA Rは持ち合わせてないのですが、これらのHERAシリーズとどのように違うのか、それとも似通っているのかを確認できるかどうかも、今回のインプレッションのポイントとなります。


 今までFとSとではそれ程の違いを感じることが出来ていません。そういう意味ではやや価格の安いFがお薦めだと思いますが、Fは15尺からとなっていますのでそれ以下の短竿はSを選ぶ必要があります。


 ただRは使ったことがないのでなんとも言えないのですが、価格的にはFやSより高価格帯になります。また調子の比較でもFとRではそんなに違いが出ていませんので、超長尺を選ぶ以外はRを積極的に選ぶべきかどうかはなんとなく疑問に感じています。
 ダイワのホームページに載っている曲がり調子も下記の図ですから、FとRにどの程度の違いがあるのか解り難いと思います。


 さて今回のVですがXは硬式胴調子だったのですが、硬式先調子と銘打っているのですのでどのような違いを感じるか、もし安くて調子が良ければそれこそ選ぶべき竿となるのではないでしょうか。


 今回8・9・10.5・12・13.5・15・16.5・18・19.5・21・23とアイテム数が極端に減らされています。今までのアイテムであれば1尺違いですから8尺から23尺まで用意したとすると16アイテムを用意することになります。ところが今回のように1.5尺と飛ばして用意することでアイテム数は11と3割削減できるのです。それだけ在庫数を減らすことが出来ますので、原価的にも価格を抑えられたことになります。結果として原材料費や制作費が削減できたことと同じとなり、それを低価格帯の商品として発表することが出来たと考えられます。


 メーカーサイドのCMでは決してアイテム数を減らしたことの理由を在庫管理の問題とはされていません。もう少し長くとの選択が出来るようになったとしていますが、1尺単位の方が選択幅は広いのは間違いなく、企業として在庫数を減らしたいがためとは流石に言えないのでしょうね。
 またシマノが1.5尺単位を先行したこともあって、それに対するクレームも出ないか少なかったのでしょう。それによってダイワも追随したと解釈できます。


 これらの理由によって価格から受ける低価格帯の竿との印象より、実際に使った場合の印象が上回ることを期待しています。それもあって今回手に入れることとしたのです。


 さて前置きがいつものように長くなってしまいましたが、使用感について解説していきたいと思います。勿論私はダイワに協力する立場ではありませんので、正直なところが語れると思っています。但し私の釣り方は沖の底釣りですから、その釣り方による使用感となることを先にお断りしておきます。また私の好みが本調子ですからその点からも少し偏った感想になるかも知れません。


 先ず単純に竿を繋いだ印象としては、13.5尺は明らかにしっかりした硬さを感じます。16.5尺に持ち替えますと13.5尺と比べると胴の柔軟さをやや感じるようになります。それぞれのロッドの硬さはあるのですが、16.5尺になるとその硬さが長さによって先重りが出て、その重さが竿をしならせて柔軟度として感じるようです。


 それでは実釣です。釣り場で改めて16.5尺を繋いだ第一印象は重い!!です。16.5尺は92gしかないのですが明らかに重いのです。手に持った感じでは120g以上あると感じる程に重さを感じてしまいました。また同時に胴の張りが強いためにしなやかさを全く感じません。極端な表現になりますが棒のように硬さを感じるほどです。


 たすき掛けで餌打ちをしてみました。第一投では硬さが目立って竿のしなりを上手く利用できません。これは慣れることで徐々に上手く餌打ちが出来るようになるのですが、硬い棒を振っているような明らかな硬さを感じるのです。(実際は穂先と穂持ちがしなっています)


 その硬さは当然合わせや空合わせにも現れて軽く竿を上げることは出来ません。水切れの問題ではなくやはりこれも胴の硬さと先の重さが原因のようです。


 今回16.5尺を約2時間使い続けていたのですが二の腕の疲労感がとんでもなく、次第にその疲労感が蓄積されていくのが解ります。言い換えると階段を上り続けている時に感じる足の疲労感でしょうか。
 朝から約2時間で釣り上げた枚数は10枚ですが、餌打ちや空合わせなどは当然もっと多くなっています。正直このまま使い続けるのは無理だと判断するほどの疲労感を感じたのです。


 このHERA Vの16.2尺は92gですが同価格帯のシマノの紅月も92gですが、手持ち感は圧倒的に紅月の方が軽く感じました。それは胴の柔軟度の違いと先の軽さで、紅月は柔らかタッチのパワー系と表現されているそのままで、HERA Vはしなやかな硬式先調とされているわりにそのしなやかさは感じません。私には硬い先調子そのものだと感じたのですが、その硬さより持ち重り感が強すぎるのです。92gとは全く思えないほど先が重いのです。いわゆる力のモーメントが強いのです。
 このモーメントとは簡単に言うと荷物を持ち上げるときに、伸ばした腕の先で持ち上げた場合と、肩に近い腕に掛けた場合とでは重さが全く違うはずです。竿でも総重量ではなくて先が重いことで強いモーメントが掛かってしまうのです。それが重さとして感じます。


 硬調と一言で表現していますがその硬さは、紅月と比べるともう1段か2段上の硬さを感じるほどです。
 但し釣り上げると胴からしっかり曲がり、寄せてくると徐々にその湾曲は立ち始めてヘラブナを沖で浮かせることが出来ます。いわゆる株理論が体現できる竿の調子です。


 下の写真は突進を止めている時で、16.5尺ではしっかりと胴から曲がってブレーキを掛けています。

 ヘラブナが浮き出したときの曲がりです沖の方から浮こうとします。

 ヘラブナを浮かせた段階での曲がりで竿が立っていることが解りますので、曲がりの頂点が上手く移動していることが解ります。


 ただ胴が硬いので柔軟性が使えず突進は両手で支えなければならないほどになります。


 こちらはHERA Vの13.5尺です。こちらの方が先調子に感じましたが写真ではこのような先調子ですが、自分ではもう少し曲がっているように感じていました。

 こちらも13.5尺ですが同じような曲がり方をしていますので正に硬式先調子に仕上がっています。


 使用感は同じダイワの月光剛よりも硬くて剛の17尺は105gありますが、剛よりVの16.5尺の方が持ち重り感は強いのは間違いなく、明らかに重い!との印象を受けてしまいました。
 13.5尺も75gと表示上は軽いのですがこちらも持ち重り感があり、竿の硬さが強い印象を受けてしまいました。


 結論的には硬調子を必要とする場面では良いと思いますが、通常使いとしては腕力のある方限定といっても良いのではと感じてしまいました。
 この持ち重り感は手元側の細さ所以ではないかと感じています。胴から先にかけて強さを持たせているために重心が先寄りになってしまったために、実際の重量より重さを感じる仕上げとなったようです。


 Vの印象としては硬式先調子ですがこの印象的はシマノの神威や嵐月を使った時の印象に似ています。ただ嵐月の16.5尺は96gですからほぼ同じか少し嵐月の方が重いのですが、Vの方が持ち重り感があります。
 ただVの16.5尺は37,000円ですが嵐月は99,700円です。同じような感覚の嵐月は約2.7倍の価格ですから、Vはバーゲン価格なのは間違いなく、同じような硬式先調子を求めるとすると、私のような庶民にはVを積極的に選びたくなってしまいます。


 但し嵐月でも感じるのですがこの硬式先調子を使い続けるには、相当な腕力の持ち主である必要があり、私のような非力なものにとってはそれこそ翌日に筋肉痛になるのではと思うほどです。まぁこれは私のように運動など全くしなくなったものの感想ですから、通常の人たちにはたいした問題ではないのかも知れません。


 16.5尺に比べて13.5尺は私でも使えます。ただ他のどの竿の14尺と比べても重く硬いです。この尺数もカタログの重量も使用する場合の重量感とは全く関係かないことが解ります。もっと短竿になるとこの重量感はなくなりますので、基本短竿使いの方にとっては重量は気にする必要はなく、硬式を求められる方には最適だと思います。


 また硬さのためにどうしても竿を簡単に立てることが出来ません。少しサイズが良いヘラブナが掛かることで伸さる可能性はあります。
 今回は16.5尺と13.5尺でしたが共に伸されそうになったのですが、それでも胴の硬さが反対に有効に働いてブレーキが掛けら取り込むことが出来ました。またこの調子はチョウチンには適していると感じました。


 このように今回は硬さばかりを強調しましたが、それが先ずは第一印象として直ぐに感じたことだったのです。同時に他のHERA Fや同価格帯の紅月・月光剛と比べてみたのですが、硬さ以上に持ち重り感が強い印象として残ってしまいました。この印象が次も感じるのか慣れることで違いが出るのかは解りません。


 本当は先に良いところを指摘するべきですが、今回は敢えて負の印象から先に述べさせて戴きました。その方が竿の印象が解りやすいと感じたからです。


 では良い点についてです。
 16.5尺の場合は5本継ぎですが穂先・穂持ち・3番が硬い印象で、たすき掛けでの振込では竿の硬さを感じたのですが、落とし込みでは少々重い餌でも的確にピンポイントに振込が出来ます。当日は風も強かったのですがその風の強さも余り影響を受けることがなかったのです。


 また簡単にヘラブナを沖で浮かせることが出来ます。その為に取り込みの時間は随分と早く出来るのです。その意味からも回転良く釣り続けられる竿でしょう。
 また大型魚のいる池には最適です。取り込みにおいても手前で潜られることもなく素直に取り込めます。釣り場が狭くヘラブナに遊ばれないようにしたいとか、手返しよく取り込みたいとか、まさに時と場所などシチエーションに合わせた竿の使い方として選ぶべき竿だろとの印象です。


 この印象は胴調子の本式とは真逆の竿の調子で、本式は本調子ですから柔軟度が高く簡単に浮かせられず、横走りも止めにくいのですが、胴が簡単に曲がるので竿さばきが楽です。また取り込みに時間が掛かるために釣り味を楽しめます。
 この反対がHERA Vの印象ですから正に好みの問題となります。


 今後私のVの使い方としてはパラソルを出した時になりそうです。まさにパラソル使用時こそ最適で、本式のような本調子ではパラソルが邪魔で取り込めないのですが、HERA Vでは簡単に取り込みができそうですから、雨の日や夏場は重宝する調子の竿だと思いました。


 しかし全体としてバーゲン価格なのは間違いなく、硬式先調子がこの価格で手に入るのは凄い事だと感じました。
 また私のお薦めは尺数としては12尺以下の短竿系だろうと感じましたが、皆さんはどのような印象をも鱈他でしょうか。



 つらつらと書きましたがこのインプレッションはあくまでも私の個人的感想であって、使われる方によって印象は違うと思います。実際に釣り具店や釣り場で確認されて使用されることを強くお勧めします。