両うどんのヘラブナ釣り

ヘラブナ釣りで人生を楽しんでいる日曜釣り師です

常時50枚の釣果と大助を釣り上げるために

 ヘラブナ釣り 魚の臭い

 ヘラブナ釣りをしていますと、否応なしにヘラブナを触る事もあるのですが、あの匂いは閉口もので極力触りたくないと思いますし、魚体保護の意味もあって出来るだけ触らないようにしています。


 しかしヘラブナをすくった玉も天日干しをして、完全に乾燥させなければ臭くて仕方がありません。それこと車に乗せたままにしようものなら車内がとんでもなく臭くなってしまいます。


 魚は一般的に魚臭いと表現されますが、その匂いの元は何だと思った事はないでしょうか。


 単純に淡水魚と海水魚とでは臭みが違いますが、根本的に何が違うから匂いの違いがあるのかです。


 先ず生息域の違いによるところが大きく、海水魚は当然海水の中で生息しています。淡水魚は淡水の中で生息しています。ということは短時間は別として海水魚は淡水では生きられず、淡水魚は海水では生きられません。その原因は浸透圧の問題が挙げられます。


 海水は水1㎏に対して35gの塩化物が溶けています。感餌物とはカルシウム塩やナトリウム塩などです。浸透圧の関係で海水魚からは体外へ水分が出よう出ようとしています。そのため海水魚は大量の水を飲んで水分を保持するのですが、余分な塩分はエラから排出できるようになっています。


 一方淡水魚は体内に水分が入ろう入ろうとしていますので、大量の尿として排出し続けて水分量を調整しているのです。


 この作用のために海水魚と淡水魚では水の取り込み排出方法が違いますので、海水魚は淡水では生きられず、淡水魚は海水では生きられないのです。


 ただ釣りをする人なら知っていると思いますが、アマゴやヤマメは川から海に出てまた川に戻るタイプがいます。鮭なども海から川に入り産卵をしますが、汽水域に差し掛かると体質変化が起きて、それが見て解るのが鱗の状態で海水から魚体を保護するために鱗が厚くなり銀毛になります。その状態がアマゴからサツキマスに変化した瞬間です。
 川を上る鮭も銀色の鱗から婚姻色が出るようになるのも、鱗の変化で体質の変化を起こして生きながらえることが出来るのです。


 この体質のために海の魚は常に海水を飲み続けているので、淡水魚のような生臭みが少なくなっています。反対に淡水魚は常に体内に水が浸透していますので、その生息域の水の汚れがそのまま体内に取り込んでいますので、生息域の水が汚れているほど臭みが強くなってしまいます。この匂いの成分はトリメチルアミンという物質です。


 淡水魚を食べるときに泥を吐かせるといわれるのも、実は泥を吐いているのではなくて綺麗な水に入れることで、綺麗な水を体内に浸透して汚れた水を排出させているのです。
 この匂いの元は2-MIBやジェオスミンという物質です。


 ただこれられ魚の体内の匂いでいわゆる刺身で食べると感じるにおいで、体表の匂いは別のものです。
 詳しく知りたい方は北里大学 水産学部教授の太田静行氏が発表された論文を読まれると良いのですが、長いです(笑)。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jos1956/29/7/29_7_469/_pdf


 海水魚の場合は匂い成分が水溶性のために、実は水道水で洗い流すと匂いは極端に軽減することが出来るのです。昔から水を付けないようにして魚を捌くとされていたのですが、今では水道を出しっぱなしで魚の処理をします。うま味成分を残すより臭みを取った方がいいとの考え方です。


 ただ魚の体表に着いている匂いは簡単ではありませんが、即水で洗うのが皮膚の中に匂い成分が入らなくて効果的です。
 また玉に付く匂いも前もって玉を水で降らしておくと比較的匂い残りが軽減されます。しかしあれほど臭くなっていた玉が、天日干しをすると匂いが消えるのですから太陽光は偉大ですよねぇ。


 最近なんでも熟成が良いとされていますが、タンパク質が分解する段階でアミノ酸が増えますので、それがうま味として感じるのですが、腐敗一歩手前でもあるのど素人は決して手を出してはいけない範囲です。


 そうそう蟹の匂いや海老の匂いは腐敗臭でもあるのです。新鮮な蟹や海老からは全く匂いはしませんからね。