ヘラブナ釣り 音による警戒心と好奇心
ヘラブナ釣りでは煩くしていると静かに釣るようにと注意されます。それは当然のことと理解されているでしょうが、どうして音を出すことに注意が必要かです。
ヘラフナはコイ科に属していますが、コイ科は骨鰾系に属し骨鰾系は骨鰾上目に属し骨鰾上目は骨鰾亜区に区分されています。骨鰾上目(こっぴょうじょうもく)はなんぞやですが、骨鰾上目とは警報物質とウェーバー器官を有する魚種のグループをいいます。
つまり大雑把にいいますと警戒音を判断出来る魚類となります。ウェバー器官とは浮き袋と内耳を結ぶ器官です。浮き袋で感じた振動を増幅させて内耳に届くようになっているのです。
浮き袋で関知した異常音を増幅させて内耳に届くことで、一気に警戒を強めてしまいますので、当然一目散に分散してしまったり食い気を落とす結果となります。そのため桟橋を歩くときも静かに歩き、玉などを置くときもそーっと音を立てないように置く必要があるのです。
音に関しては側線で関知することは知られていますが、実はこの側線は低周波の音を拾っていると言われています。つまり側線で低い音を聞き浮き袋では高い音などを聞いている事になり、通常の音以外を聞き分けていることになります。
ただ反対に餌を撒かせる音や仕掛けを振り込む音は、釣り堀では餌が貰える事を学習しているために、警戒して逃げるのではなくて反対に寄ってくる効果があると理解しています。
またこの骨鰾類は恐怖反応の一種である特有の警報物質を持つのですが、この物質は表皮で生成されるフェロモンで、同種同士であればこの警報物質が感知できるのです。恐怖物質が感知できるということは恐怖を伝達することが出来るわけです。
ではこのフェロモンはどうして発生するのかですが、魚体が傷つきその傷口からこのフェロモンを放出させてしまいます。
ということはヘラブナ釣りをしていてスレを掻いてしまった場合に、その傷口から警報物質が放出されて、近くにいるヘラブナ達にその恐怖心を伝達してしまい、集まっていたへブナが警戒心を持つために餌から離れたり食わなくなったりする事になります。
ヘラブナは幾ら釣り上げても警戒されることは少ないのですが、スレを掻くと食いが一気に落ちるのはそのためで、反対にスレでも釣り上げてしまうと警戒されなくて良いのです。
まっ静かに釣ってスレを掻かないのが一番ですが、もしスレを掻いたらその警戒心をも薄めるために、暫くは餌打ち回数を増やして食い気が警戒心を上回るようにすることで、また釣果が伸びる事になります。
しかし音や餌に反応して集まりすぎた状態ほど手に負えないものはないと感じています。盛期だからこそ如何に寄せすぎずに静かに釣るか。さてどうすれば良いのでしょう。
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