両うどんのヘラブナ釣り

ヘラブナ釣りで人生を楽しんでいる日曜釣り師です

常時50枚の釣果と大助を釣り上げるために

 ヘラブナ釣り アオコの発生と酸素溶解度

 コロナがまん延したことで色々な知識を身につけることも出来るようになりました。その中には重症度を測るのに適しているオキシメーターなるものも知られるようになっています。このオキシメーターは正式にはパルスオキシメーターというのですが、パルスとは脈拍のことでオキシとは酸素のことですから、脈と酸素を測る測定器となります。日本語の正式名称は「経皮的動脈血酸素飽和度測定器」と一気に難しい表現になるのですが、とても解りやすい名称でもあります。


 いつものように脱線しますが、オキシと聞くとオキシドールを思いだしませんか?このオキシドールは消毒剤の一種ですが、コロナなどには全く有効ではなくて、運動場で転けたときの擦り傷の消毒に使った記憶がないでしょうか。オキシドールを塗ると泡が出たと思うのですが、過酸化水素が3%含まれていてそれが水と酸素に分かれることで泡が発生します。
 この泡がとても重要で土の中にいる破傷風細菌を死滅させるために使います。破傷風細菌は酸素にとても弱いので、運動場などで転けて擦りむいたりすると土壌内にいる破傷風最近に冒される可能性があるため、オキシドールを塗られて消毒したのです。消毒薬といいますが単に高濃度の酸素を発生させていたに過ぎませんので、他の最近には全く効かないのです。
 実は同じ過酸化水素水でも消毒効果の高い過酸化水素が6%含まれるような、高濃度の安定化過酸化水素は薬品扱いで一般には市販されていないのです。


 オキシメーターは経皮から動脈の血管に流れる血液の酸素濃度を測る機器ということで、指に挟んでその血液の色(赤み)を確認することで酸素濃度を見ていることになります。血液には酸素を隅々まで運ぶ役割があるのですが、血液の中の赤血球に酸素がくっつくことで運ばれます。 
 赤血球(ヘモグロビン)には最大4個の酸素をくっける事が出来るのですが、全ての赤血球に酸素が4個付いた状態が100%となります。健康体の動脈血酸素飽和度は96~99でほぼ100はないと解釈しても良いはずですが、反対に95を下回った場合はなんらかの疾患がある場合があり、90を下回ると呼吸不全の症状となります。
 ただ安価なメーターは不正確である可能性がありますので、ある程度の誤差は許容範囲として捉える方が良いのかも知れません。現実的には医療機器認証を受けたものが良いのですが当然価格も相当上がってしまいます。ネットなどでは安価なものが出回っていますが、参考程度にしかなりませんが、同じメーターで測り続けることで日々の管理は出来るはずです。


 ここで敢えてオキシメーターを取り上げましたのは、この飽和度や溶解度を理解するためです。つまり血液中に溶解できる酸素が100%とだとしても決して気泡にはならない事です。そんなのは当然だとの指摘を受けそうですが、では湿度100%はどうでしょう。


 湿度とは飽和水蒸気量のことで、空気が最大量の水蒸気を含む状態を表しています。当然湿度100%であっても水の中ではなく、あくまでも空気が主役でその空気に溶解できる量となりますから、100%を超えると水滴に変化します。雨雲の中や熱帯雨林が湿度100%です。
 この湿度は気温に比例して高い気温ほど多く含むことが出来て、低温ほど溶解度は減ってしまいます。仮に気温10度で湿度が100%だったとすると、同じ量の水蒸気が真夏の気温になると20%程度ととても低い湿度となるのです。


 ではヘラブナ釣りに関係する話として水中に溶け込む酸素飽和度はどうなのかです。淡水の場合に最大酸素溶解度で安定する量は決まっているのですが、10度で10.92mg/L・15度で9.76mg/L・20度では8.84mg/Lと水温が上がるほど酸素飽和度は減ります。これを溶存酸素濃度と表現しますが、mg/Lとの単位がわかり難いと思いますがそのままPPMに置き換えることが出来ます。当然真夏の30度を超えるような水温になると酸欠を起こすほど飽和度が減ることになりますので、ヘラブナも食い気を一気になくしてしまいますが、雨や風などによって酸素が供給されて溶存酸素が上がると安定する単位までになります。


 水中の酸素濃度と空気中の酸素濃度は単純に比較できないのですが、それは元々の体積に違いがあるためですが、空気中に含まれる酸素濃度は約20%です。これをPPMに換算するとなんと200,000PPMとなります。単純に人間が水中で呼吸が出来ないのはこのためですが、高山で酸素ボンベが必要になるのは、実は高山ほど酸素が薄いのではなくて単純に空気圧が低いために空気の量が少なく、結果として酸素の量も少ないために酸欠になってしまうのです。


 やっとアオコの話まで来ました。水温が高くなるとアオコが発生する場合があります。アオコは単純に微細藻類ですから光合成をします。つまり水中酸素濃度を増やす役割を持っていますので、適度な量では害をなすことはなく釣果にもあまり影響しません。そのため単にアオコが発生したからとして敬遠する必要はないのですが、湖面を覆うような多量に発生すると、水中にある藻類が光合成が出来ずに酸素量が極端に減ります。また覆っているアオコが枯れると湖底に溜まり硫化水素を発生しますので、そこに放されているヘラブナも酸欠となって場合によっては死滅しますが、そこまで極端でない場合でも酸欠状態となり食い気が落ちてしまいます。


 それを防ぐためにはエアレーションをするか水質の改善を計る必要があります。閉鎖水域の池だとしても井戸水が供給されていると随分と改善されるのですが、水の入れ替わりが少ない場合は富栄養化が進み大量にアオコが発生してしまいます。
 そういう意味では池の管理の状態によるところが大きいのですが、山上湖や川を仕切った釣り堀などではアオコが発生しにくく、夏場でも高水温にならないために釣果を得やすいのは間違いのないところでしょう。


 ただ水質悪化は釣り人にも大いに責任があり、残った餌を池に捨てたりする行為は厳に慎まなければなりません。特にうどん餌を長いまま捨てる行為は感心しません。カットしてあるならまだ食ってくれるでしょうが、長いままではただ腐るだけではないでしょうか。
 関西でうどん限定池が多かったのは小さな箱池だったのもあるのですが、うどん程度の餌を池に打ち込んでも池の水を汚さないからです。団子餌などでは当然食い切れない程の量が使われて簡単に汚染しますので禁止となっているのです。


 池を汚しアオコが発生しヘラブナが釣れないと嘆くのは、残餌を捨てたのが原因の可能性もあります。まさに天に唾する行為だと理解して残餌は決められた場所に捨てるか、持ち帰って処分するようにすべきでしょう。


 あっ!忘れてましたヘラブナは植物生食とされていますが、未だかつて水面に漂うアオコをヘラブナが食べている光景を見たことがないのです。これはいったいどうした事なんでしょう。