両うどんのヘラブナ釣り

ヘラブナ釣りで人生を楽しんでいる日曜釣り師です

常時50枚の釣果と大助を釣り上げるために

 ヘラブナ釣り 冬期対策の善し悪し

 ここでも何度か書いていました冬期の釣り。先ずは仕掛けから手を加えるのが定説でしょう。
 そんな中で先ずは道糸を細くすることで季節風などによる道糸の流れを防ぐ方法です。その理由はなんといっても余計な浮きのシモリを防ぐためです。


 1.0号の道糸とはどんな太さでしょう。号数と直径の関係は釣り用品の標準規格として決まっています。1号は0.165㎜です。ちょっとわかりにくいですが日本人の平均的髪の毛は0.08㎜です。欧米人は0.05㎜ですから黒髪の方が太いのかも知れません。ただ歳と共に細くなっていきますので、私は既に欧米人より細くなっているかも知れません。
 また若い頃剛毛だったと表現される方がいますが、その剛毛ですら0.15㎜程度ですから1号よりは細い事になります。


 0.8号の太さは0.148㎜ですから1.0号との差は0.017㎜です。単純に0.017といっても空気抵抗の計算式として次の公式で計算できます。


D=(1/2)×ρ×V^2×S×CD


ρ: 空気密度(20℃)=1.2(kg/m^3)
V: 速度(m/s)
S: 物体の前面投影面積(m^2)
CD: 抗力係数(物体の形状で決まる定数)


 ナイロン糸ですから比重は同じですからVの速度には影響しませんが、ρの空気密度の部分が水の密度になりますので、水の抵抗値はレイノルズ数によって支配されます。
 レイノルズ数はRe=ρVL/μによって導き出されるのですが、ここでは計算がやや濃くしなりますので飛ばしましょう。頭が痛くなる話はパスが宜しいようで。


 何が言いたいかと言いますと、抵抗値を計算すると0.017㎜の太さも無視できないって話です。それが0.6号の0.128㎜になりますと0.037と大きくなりますので、1号に比べますと相当数の抵抗が減らせることになります。


 これが道糸は細いほど風や水の流れに影響されにくくなる原因ですが、根本的に風に流されると何に影響が出るかです。


 風や流れに影響を受けた道糸がもたらす最大の影響は、浮きの出方をオモリとは関係なく沈めてしまうことです。いわゆる余計なシモリ現象です。

 仮になじみ巾を5節出るように調整していたとしますと、風の抵抗によって4節や3節にシモラせてしまいます。これが影響の受けにくい道糸を使っているだけで余計な沈み込みを防ぐ事ができますので、冬期の小当たりも的確に出すことが出来るわけです。
 実は同じ理由で盛期でも風の強い日は細い道糸が適していることになります。


 また浮きの沈みを考慮して浮力の高い浮きを使ってしまうと、そのシモリ現象を抑制できたとしても餌の安定を阻害してしまう可能性が高くなりますので、宙釣りの場合は簡単に流されてしまいますし、底釣りでもズリズリと餌が引きずられてしまいます。
 これが誘いになる場合もあるのですが冬期の動きが鈍くなっている時期では、警戒しているか追い食いするほどでないのか、当たりを出せなくなってしまう可能性が高くなってしまいます。


 それを解決するための方法が道糸を細くする最大の意味です。


 またハリスを細くすることで結果としてバランスを取るために道糸を細くしてしまうこともあるでしょう。
 ではハリスをどうして細くするのかですが、一般的には吸い込み力が落ちたために柔軟度の高い細いハリスを使うといわれています。仮に0.5号を常時使っていたとしても0.4号や0.3号に落とされる方が増えています。
 そのように細くして釣り上げるのは理屈としてわかるのですが、そのもう一つの要因は冬期は引きが弱くなるからとの指摘もあります。結果として大助でも0.3号で十分との考え方です。


 ここで強度について0.5号のハリス強度は0.907㎏です。0.4号で0.726㎏です。0.3号で0.544㎏となります。勿論この強度は単体の強度であって結び目は当然強度が落ちます。
 ヘラブナの重量は大助になると1.0㎏は超えてしまうのですが、それこそ大物になると2㎏近い魚体となりますが、決して水中から持ち上げることはないので、その重量によって切れることはないのです。但し魚体から伝わる重量感と強い引きは相当な力量となるはずです。


 しかしこのハリスの強度を補填しているのが竿のしなりで、強い引きのために竿が伸されてしまうと簡単にラインブレイクしてしまいますが、竿が折れそうなほどの強い引きでも案外切れないで耐えてくれるものです。
 ただ硬調子の竿より軟調子の竿の方がラインブレイクは減りますが、当然簡単には寄せることが出来ませんので釣り辛いことになります。竿の調子に合わせた取り込み操作が必要なわけですから、フシャッと強い合わせをする人はあまり硬調子は使わない方が良いのかも知れません。


 これらの対応は人間心理としてとても理解しやすいのですが、ヘラブナはどの程度違いを感じているのでしょう。


 確かに風に流されるのは防ぐ必要があるのですが、無風とは言いませんが風の弱い日であれば、それ程の細仕掛けは必要ないのではないかと思うのです。
 現実に風が弱い厳寒期に盛期の仕掛けで良い釣りが出来ます。当たりもしっかり出ていて強い引きをも経験していますので、細仕掛けでは耐えられないのではないかとも感じたのです。


 ただ仕掛けは盛期のままであったとしても、全体として当たりが弱くなっているのは間違いないですから、極微少の当たりだとしても積極的に合わせていく必要があり、あんな当たりで?と思うほどの小当たりで上唇センターで釣れてきます。
 それに対応した敏感な浮きに変更することを強くお勧めしますが、最低限ムクトップで細かい節巾の浮きに変えることで、その微少な当たりを捉えることが可能となります。


 人は縁起の良い浮きを使いたいもので、大助浮きと表現される浮きもあるようですが、浮きだけは季節によって変更出来るだけの本数は用意すべきだろうと思っています。


 結論としては冬期だからと極端な細仕掛けは事故の元。季節風などの状況に合わせた仕掛けで対応できるように、号数違いで数種類は用意すべきではないかと思いますが如何でしょう。


 まっいつまでも迷いに迷って苦労した結果に釣り上げた1枚は格別です。その結果として他の釣り人達より頭1つ抜きん出る釣果を得られるとやはり嬉しいものですよね。