両うどんのヘラブナ釣り

ヘラブナ釣りで人生を楽しんでいる日曜釣り師です

常時50枚の釣果と大助を釣り上げるために

 ヘラブナ釣り 魅力は成長が感じられるから

 ヘラブナ釣りの世界には一筋50年なんてベテランが多数おられます。魚釣りとしてはそれこそ多数ある中でどうしてヘラブナ一筋で何十年も続けられるのでしょう。
 実際私自身は多種類の魚を相手にしてきました。淡水魚のオイカワ、クチボソ、マブナ、ナマズ、ウナギ、コイ、鮎、アマゴ、イワナと釣り方も使用する竿も違っています。海水魚では黒鯛、真鯛、カレイ、メバル、カサゴ、穴子、キス、太刀魚、アジ、マゴチ、スズキ等でしょうか。
 それらを一通り相手にしてからヘラブナの世界に足を染めてしまいました。私の場合の変更理由としましては、海までの距離が相当ある事が重要な要素でした。少なくとも2時間以上掛けて釣り場まで行くのですが、行きはよいよい帰りは怖いで帰り道が辛くなってしまって海まで行く機会が減ってしまったのです。
 海釣りの場合多くが夜討ち朝駆けで、仕事が終わってから夕食も済ませ日付が変更される直前に出発して、途中餌店に寄ってアレコレと注文し、場合によってはその場で撒き餌のブレンと作業をしてから釣り場に到着です。
 磯釣りの場合は最盛期には夜中の2時頃出船です。真っ暗な海の中を走って磯に上陸、ヘッドライトを頼りに仕掛けを準備してケミホタルを浮きのトップに刺して釣り開始です。その時間が大凡朝の4時頃でしょうか。その後釣り続けたとしても朝の9時には納竿して迎えを待ちます。
 磯上がりをしてそのまま自宅までとって返すのですが、帰りの道中眠くなって車で寝てしまうのですが、その距離が徐々に短くなり最後には渡船場の駐車場でそのまま就寝してしまい目が覚めるとその日の夜になっていたのです。
 釣りごときを命がけでする必要はなく、それを切っ掛けに夜討ち朝駆けを辞めてしまったのです。


 鮎の場合も解禁日などでは前日から場所取りをしていましたが、その熱も冷める頃には朝の9時頃自宅を出て11時くらいから釣りスタート、午後の2時くらいにはもう釣り上がっているような状態で、とても楽な釣りになっていたので鮎の友釣りは長く続けることが出来たのです。


 そうこうして近場でも釣れる鮎釣りだけが残っていたのですが、川は増水すると暫く釣りが成り立たず、水が引いても濁りが取れるまで友釣りは出来なかったのです。そこで雨でも釣りが出来るヘラブナへと手を染めることと相成りました。その前に実は40年ほど前にもヘラブナの世界を覗いたことがあるのですが、余りにも職人芸的で素人が簡単に手が出せる対象魚ではないとの印象を持ちましたので、そのままヘラブナの世界からは当座来る事となりました。


 ヘラ池が近くて釣行しやすかったのは良いのですが、やはりヘラブナ釣りは職人の世界だったことは変わらず、皆さん気難しい方達だと思っていたものです。それこそ簡単には声も掛けられません。というか実は今普通に通わせて頂いている淀の釣り天狗池に初めて行ったときは、釣りクラブの人達の話し声に驚き逃げ回っていた記憶があります。また静かに釣られている方もとても気難しそうな方で、隣や向かいの釣り座には到底入れませんでした。
 勿論そうは簡単に釣果が得られません。いったいどうしてこんなにも釣果が違うんだろうとアレコレと悩んでは工夫していく事となったのです。


 暫くすると釣りそのものは長年続けていましたので、理屈が解るとそれなりに釣果が得られるようになり、気がつくと池主催の日曜大助大会にも入賞できるようになりましたし、何時しか優勝争いにも参加出来る事もありました。


 つまりこの釣果として結果がハッキリと表れるように変化していくことが、ヘラブナ釣りの一番の魅力なのかも知れないと思うのです。


 ヘラブナ釣りは人によって魅力を感じる点は色々でしょう。小当たりを合わせる痛快さ、竿を弓なりに差せる強い引き、大型サイズを求めていたり、数を釣り上げたいとか、魅力的な道具を持ちたい、有名竿師の竿を持ちたい、ヘラブナの引き味が良い等など。人によって魅力の感じ方が違うと思うのですが、他魚種に比べますとヘラブナほど自分の成長が感じられる釣りはありません。初心者が初めてヘラ竿を持ってビギナーズラックは起きたとしても、決してベテラン達の釣果に肩を並べる数を釣り上げることは出来ません。


 私自身多種雑多な対象魚を相手にしてきましたが、腕の生長を感じられたのはヘラブナと鮎だけでした。それは1回の釣行で何匹の魚が釣れるかです。
 今までの釣りの対象魚の中で一番時間を割いたのは黒鯛釣りです。磯と筏と防波堤で釣り続けていたものです。釣り方も浮きフカセから紀州釣りに代表される団子釣りや落とし込み釣り等などです。腕の成長があったとしても、20枚30枚も釣り上げる事は出来ません。磯釣りでは多くても5枚程度でしょうか、筏で小さなサイズを相手にした秋はそれなりの数ですが、防波堤でも多くて10枚程度でしょう。


 他の対象魚でも40匹50匹釣れる魚はいません。アジやイワシのサビキは別として1匹ずつ釣り上げる魚としては、鮎とヘラブナが圧倒的に多いのです。
 鮎も1日数時間の内で50匹釣れたとしても、初心者が50匹釣り上げられることは決してありません。やはり川を読み鮎の泳がせ方などまさに腕の見せ所満載です。ヘラブナも同じ事で初心者が50枚釣り上げる事は至難の業でしょう。結果としてベテラン釣り師との差は10枚20枚30枚と明らかな釣果の差となって表れてしまいます。勿論この場合のヘラブナは釣り堀でのことであって野池ではありません。


 ヘラブナ釣りの1つの魅力は、アジやイワシのような小魚ではなくてそれなりの体長のある魚が数多く釣れることにあります。その数多く釣れるお陰で釣果として腕の成長も実感出来ることです。
 つまりヘラブナ釣りの面白さは、数が多く釣れることであり、結果として自分の成長も感じられることではないでしょうか。
 ただ人間は贅沢に出来ていまして、労せずして100枚を突破出来てしまうと面白くも何ともないのです。余りにも簡単に釣れると嫌になってしまいます。それを100数十枚釣り上げたとかお聞きしますと、良く飽きないものだと思ってしまうのです。まぁそんな釣り場に初心者を連れて行くのも方法でしょうか、そう簡単に釣れるのがヘラブナとも思われたくなくて、ヘラブナ釣りは簡単ですねなんて台詞も腹立たしいですからね。


 もし何年も経験を積んでも釣果が伸びなかったら、ヘラブナ釣りを続けて面白いと感じられるかどうかは疑問です。勿論腕の成長以外にも多数の魅力があるのはわかった上での話です。回りで40枚50枚と釣り上げられているのに自分だけ10枚程度に沈んでいたら、もうヘラブナ釣りなんてやっていらない!って竿を投げ出したくなるのではないかと思うのです。


 天釣会のメンバーの中で印象深かったのが近藤相談役です。野武士の如く竹竿を駆使して大助を釣り上げている姿は余りにも印象的で、近寄りがたい釣り姿筆頭だったのです。川久保師匠は比較的遅めの出勤なのですが、先に釣り出している私が釣れる前に快調に釣り上げる姿は眩しくすらあったのです。菱田規定委員長と竹藤副会長は数もサイズも良くて、池からは「あの菱田さんが使っているまぶし粉です」との宣伝文句が付くほどだったのですから、どれほど良い成績を残されていたか良くわかるというものです。そして大助名人である大西名誉顧問は、池の大助賞として張り出される張り紙の数最多だったのです。しかしそれは今も変わらず大助を釣り続けられているのですから恐れ入ります。


 そんな超ベテラン揃いの中に紛れ込んでは、恨めしそうに眺めていたのですから逃げ出しても良かったのですが、徐々に工夫の成果が現れて数釣りが出来るようになったのですが、それこそがヘラブナ釣りの気むずかしさから面白さへと変化していった瞬間だったのです。


 人にヘラブナ釣りの魅力を伝えるのはなかなか難しいですが、成長が実感出来る釣りだとするのも1つの説得材料ではないかと思うのですが、言葉での説明ではわかりづらいですかねぇ(笑)。
 ただね。成長はどの程度まで続くのかです。無限の成長なんてないわけですからどこかで頭打ちしてしまいます。その後にも楽しみが残っているのだとすると、それはヘラブナ釣りの中毒性なのかも知れないと思うのです。


 ん?結局ヘラブナ釣りの魅力は中毒性ってことになってしまうのでしょうか、これでは人に勧められないですねぇ。う~ん・・・困りました。