両うどんのヘラブナ釣り

ヘラブナ釣りで人生を楽しんでいる日曜釣り師です

常時50枚の釣果と大助を釣り上げるために

 ヘラブナ釣り 飽くなき欲求は道楽へと続く

 どんな趣味でもそうですがのめり込みすぎるとろくな事はありません。お金の無駄遣いに始まり時間の無駄遣いと続き、家族から呆れられる程度はまだ軽く場合によっては、呆れを通り越して見放されるてしまい家庭が破綻するまで進むのが趣味の世界でしょう。
 まぁそこまで行くと趣味とはいわず、世間では道楽者とのレッテルを貼り付けられるようになります。


 歌手の中村美律子さんはご存じでしょうか。河内おとこ節で有名になった方ですが、彼女の歌のレパートリーの中に「島田のブンブン」という歌があります。この島田のブンブンはある実在の人物をテーマとして作られた曲です。


 実在の人物であり今でもその会社は実在していますので余り詳しく書くことは出来ませんが、神戸にある企業の創業者で島田文六という方がいました。その後歴代の社長が同名を襲名していたのです。その何代目かはこの際横に置くとして、歌に詠まれるほど花街で名を馳せた人物でもあったのです。


 これなどはまさに趣味を通り越して道楽だったのでしょうが、経済人として別の見方をすると交際術の1つだったのかも知れませんね。


 さてヘラブナ釣りだとしても度を超すと道楽になってしまいかねませんが、どの程度の度が過ぎると道楽となってしまうのでしょう。その尺度は当然自分の持っている分別でしかないのですが、1つの目安はその趣味のために仕事を休むようになるかどうかではないでしょうか。
 ヘラブナ釣りは年中楽しめますので季節的要因は少ないと思うのですが、鮎釣りなどは夏限定の釣りです。最近でこそ釣り人口は減ったと思うのですが、その昔の解禁日などでは竿1本分の隙間すら空けられないほど混み合っていました。当然人が多ければ多いほど釣果には恵まれなくなってしまいます。そこで頭をもたげるのは人が少ない平日に釣行したいとなるのです。
 私自身は一度も仕事を休んでまで釣行したことはありませんが、それはそれは平日に釣行出来る人が羨ましく感じたものです。


 この鮎釣りと同列に語られるのが狩猟です。こちらも解禁期間が決まっていますのでその猟期の間に何度行けるか。それこそ仕事も忘れて猟に行く人が出てくるわけです。他に猟犬を飼ったり狩猟の練習のために射的に通ったりと、それこそ道楽と言えるほどの高額な浪費もついて回ります。
 この道楽の双璧である鮎釣りと狩猟は手を出してはいけないといわれていたものですが、その両方を熟す猛者もいるわけですから、家庭的にも恵まれているのかそれとも家庭などは顧みない状態になっているのでしょうか。


 そんな趣味道楽の世界ではヘラブナ釣りはどの程度の位置に属するのでしょう。釣りの中で1番の道楽は石物つまり石鯛やクチジロを対象魚とした釣りでしょうか。エサ代だけでもヘラブナ釣りの1年分以上を1回の釣行で必要でしょう。釣行費用もトカラ列島や八丈島など飛行機やチャーター船など、ヘラブナ釣りとは比べものにならない程に高額になってしまいます。
 確かに石鯛釣りなどでは竿なども1度買えばそれ程買い換えるものではなく、1尺単位で揃える必要もありません。1本の単価も良いものでも20万円はしませんので、ヘラブナ用の竿とそれほど遜色はありません。
 前出の鮎竿もそれ程多く揃える必要はありません。ただ鮎竿は良いものだと価格的に1本40万円程度ですから、釣竿の中では一番高価かも知れません。
 ただヘラ竿でも竹竿を含めるととんでもなく高価な物が存在しますので、ヘラ竿が一番高価であり道楽一直線に感じてしまいます。


 極普通にヘラブナ釣りをしている限りでは道楽になりがたいのですが、趣味から道楽に陥りやすいのも実はヘラブナ釣りだと思っているのです。
 竿は7尺から21尺程度まで1尺刻みで揃えますと15本必要です。それが調子違いで揃えると30本に増えます。そこによく使う竿で新しい物が発売されたり、トーナメンター御用達竿が発売されるや、トーナメンターにでもなった気になるのでしょうかついつい手を出してしまいます。
 それに竹竿に手を出してしまうともう止まりません。竹竿ほど千差万別の調子違いはありませんから、同じ作者でも同尺数の調子違いを手に入れたいと思ってしまうのです。また何周年記念とか特別仕様などが出ますと、1本100万200万と価格は跳ね上がってしまいます。


 竿を色々と手にしたのですから次は竿受けでしょう。竿受けそのものも単竿用に長尺物用でカーボン素材と有名竿師の竹製、それに引き続いて枕の素材は黒檀は安い方ですが自然木を使った物や形状違い、万力も素材違いや自然木などと多種発売されています。素材も高価な物は黒柿や屋久杉、古代杉などで作られている物にまで手を出してしまいますともう立派な道楽者となります。


 その次は玉枠と玉の柄でしょうか。その玉枠や玉の柄も有名竹竿制作者の銘が入っているものやカーボン素材などとあり、玉網も機械編みでも良いはずですが基本手編みが使われています。最後には玉が傷が付かないように銘入りの玉受けへと食指が進みます。


 次に待っているのが竿ケース道具箱でしょうか。ヘラ用の竿ケースやヘラバッグは他の釣りに比べてそれなりに高価な代物で数万円なんて当たりませの事ですが、アルミの竿ケースや道具箱を揃えてしまいますと、それぞれが数万から十数万へと上っていきます。道具箱も指物師が作ったものになりますと屋久杉とかも使われるようになりますので、それこととんでもない金額へと跳ね上がっていきます。


 そうそう浮きでもそうです。他の釣りでは浮きなどは全く脇役ですから、魚の反応が表現出来ればそれでいいわけです。いってみればそれ程繊細さを要求する必要もないのでしょうが、ヘラ浮きはこちらも銘入りが当たり前になっていますので、有名浮き制作者としての地位が確立されるほど、浮きに対する熱意も高いように感じています。


 その他お膳やうどん箱にうどん切りなどの小物類も、黒檀や屋久杉などあげると切りがありません。そうそう針外しも銘入りがありますよね。そんな小物類に至るまで銘入りのものを手に入れては悦に入っている。そんな自己満足の世界が大きく口を開けて待っていると私の目には映っていますので、ヘラブナ釣りは旦那の釣りだったように思えていました。


 それもあってヘラブナ釣りの世界には足を踏み入れなかったのです。その為に随分と遅れてのヘラブナ釣り入門となってしまいました。結果的に未だに初心者としての疑問が満載で納得出来る釣りには行き着いていません。ヘラブナ釣りの世界は40年50年選手が多数居られますので、私などの入門者はまだまだ教えを請う存在でしかありませんから、そろそろ道具類には目を瞑って腕を磨く方に専念すべきだと思うのですが、目新しい物を見るとついつい手に取ってみたいと思ってしまいます。


 どんな世界にも共通しているのでしょうが、どこにでも道楽の入口は大きく口を開けて待っています。
 その口に飲み込まれてしまうと暗黒の世界に居るにも拘わらず、トランス状態に陥って抜け出せなくなってしまいますのでくれぐれも注意をして下さい。
 と、私自身に向かって忠告をするのであります。