両うどんのヘラブナ釣り

ヘラブナ釣りで人生を楽しんでいる日曜釣り師です

常時50枚の釣果と大助を釣り上げるために

 ヘラブナ釣り 釣り糸の科学

 ヘラブナ釣りに於いて道糸やハリスは重要なアイテムの1つであり、イメージとしてヘラブナ釣りは繊細であり、より細仕掛けでなければ餌を食ってこないと思われています。
 実際のところそれ程の重要度はないと思っているのですが、一般的には道糸は1号程度が標準だとすると、0.8号で十分だとかいやいや0.6号にすべきだとかの話が出てきます。1.2号や1.5号なんて道糸を使っているとそれこそバカにされるのがオチです。勿論これは釣り堀でのお話しですが、その道糸の太さの基準は道糸の強度ではなくてハリスの細さに寄るところが大ですよね。


 ハリスの標準的サイズが仮に0.5号だとすると、釣り堀では太くても0.4号で十分だとか、0.3号でなければ食ってこないとか、0.6号を使っているとそんなに太仕掛けでは食ってこないとか、0.8号なんか使っていると鯉釣りではないぞ!との声が飛んできます。まぁそれぞれの釣り師によって色々な意見や思い込みがあるのは間違いなさそうです。


 では釣り堀で実際どの程度の号数を使うべきかですが、正直なところ自分が納得出来る号数で良いって事になります。


 ある人が言うように0.3号だと食ってくるが0.4号では食わないとか、0.6号なんか一生食ってこないなんてことは全くないのです。


 但し号数の差で食わない事が起きるのも事実です。それはそのポイントの状況にで左右されるからです。
 1つは水の流れです。ナイロン糸はとても抵抗が強くて、水のチョットした流れにも大きく影響を受けてしまいます。その為に太いから食わないのではなく、水の抵抗によって流されていたり、水に煽られて餌が食いにくい状態になっている。または食っても当たりが出難い状態になっていると考えられます。
 結果的に細い糸の方が水流の影響が受けにくいのですから、太いより細い方が釣れる確率が高いことなります。


 じゃぁ細い方が良いではないかとなりますが、山上湖や川を仕切ったワンドなど極端な環境は別として、釣り堀の多くは止水ですから水流は余り気にしなくて良いはずです。勿論池によってはポンプが動いているために常に水流が起きている池もありますが、そのように場所こそ特殊なわけですから、時と場合によって使い分ければ良いことになります。


 といって何が何でも太くて良いわけではありません。池の規定が必ずありますのでその規定は守らなければなりませんので、その規定いっぱいの太さを使う事を先ずはお薦めします。


 ではどうして規定いっぱいの太い仕掛けを使うかですが、それは掛けてからの安心感は格別だからです。少々サイズが良かろうが突進力が強かろうが強引に止めることが出来ます。結果的に速い回転で釣り続けられますので釣果が伸びます。同時にポイントを荒らしませんので良い状況が続くことになるからです。


 ここでハリスの太さが決まったのですから、それに合わせて道糸の太さが自動的に決まると思いますが、それは当然ハリスが切れて道糸が残ることを前提とした考え方のはずです。高価な浮きを使っている方は特にその傾向があると思うのですが、how to本にはハリスの倍の太さを推奨しています。つまり0.5号のハリスの場合1.0号の道糸を使う事になります。
 それは2本のハリスが同時に底掛かりした場合、道糸が負けて切れてしまうので、号数差が少ないものは避けた方が良いとの論理によるものです。


 日本の釣り糸の号数表示は、糸の太さ(元々は重さ)であって強度ではないところにややこしくしているのですが、ざっとした換算法では1号は4ポンドの強度があります。2号は8ポンドと元の号数×4=ポンド 0.5号なら0.5×4=2ポンドの強度となります。


 但しその強さ(ポンド)が釣り糸に掛かれば確実に切れるという意味であって、0.5号だから2ポンドまで切れないという意味ではないのです。


 では1ポンドとは何㎏でしょうか。1ポンドは0.454㎏ですから454gとなります。
 0.5号だと2ポンドですから908gの強度で切れる事を意味します。


 釣り糸として利用している道糸はハリス0.5号の場合1号を使っているのですから、道糸1号の強度は単純には1.814㎏ある事になっています。普通に考えますと908gの強度のハリスと1.814㎏の道糸では当然ハリスが切れるはずです。
 ところがハリスが必ず切れるとは限らないのです。良く高切れが起きたと聞きませんか?かく言う私自身も先日高切れを2回もしてしまったのです。


 この原因の1つは、0.5号1本分が1.0号1本の道糸より強い事を意味します。そう0.5号2本分が1.0号より勝るのではなくて0.5号の方が強いことがあるのです。
 普通に考えるとそんなことはないはずでかすが、切れることが案外多く発生しています。多くの場合は道糸を沈めていないとか、浮きまでの道糸に弛みが出来ていたために強いショックが掛かって切れるのですが、案外結び目ではなくて中途半端な位置で切れた経験はないでしょうか。どうして道糸やハリスの途中で入れてしまうのか、極当たり前には傷が付いていたのだろうかとか考えるのが普通ですよね。


 理論的な構成としては、単体としても釣り糸の強度は上記の計算で成り立ちますが、実際には何カ所も結び目を作っていますので、その場所は間違いなく強度が落ちています。平均して7割程度になっていると考えられます。
 また浮きを取り付ける場所で何度も浮き下の調整をしていると、道糸が擦れてしまいますのでその場所は結び目以上に強度が落ちてしまっています。結果としてハリスより強度不足が起きる場合があるのですが、実はそれ以上に道糸側に負担が掛かっているのです。


 結果として結び目などで切れるとは限らないことになります。それは道糸にもハリスにも伸びがあります。製品の特性として道糸よりハリスの方が良く伸びるように作られていますが、釣り糸が伸びるということはバネと同じ役割がありますので、合わせショックの吸収をしてくれますので切れ難いのです。


 通常ナイロン糸の道糸素材は10%の伸びがありますが、ハリスは12%以上の伸びがあります。伸びがあればあるほど切れ難いのですが、全長が長くなればなるほど当然その分も伸びるのですが、長さが長いほど伸びしろが大きいので切れ難いはずです。
 この伸びる糸はくせ者で、ハリスを道糸代わりにしたことがありますでしょうか。これはもうとんでもなく伸びてしまって使い物にならないのです。


 さて伸びることによって切れ難いはずですが、釣り糸とバネとの大きな違いは伸びた分が元に戻らないことです。バネであれば50㎝が60㎝に伸びたとしても50㎝に戻りますが、道糸の場合10%伸びてもそのまま10%分が元に戻らないのです。1度伸びた釣り糸はある程度は戻りますが何度も力が加わると弾力がなくなっていきます。その為に次のショックを受け止められない事が起きてしまいます。


 それを補完するのが竿の弾力性となるのですが、まさに竿の弾力性はショックアブソーバーそのものですから、衝撃吸収を受け持ってくれていることになります。
 この竿の役目は竿を伸されると簡単に釣り糸が切れてしまった経験をされていると思うのですが、竿の弾力を失って釣り糸単体の強度では、ヘラブナの突進は耐えられないことを意味しています。
 この竿の弾力によって0.3や0.4号のハリスが切れないのですが、0.3号のハリスでも切れないと豪語されるのは、竿の弾力が上手く使えているベテランや合わせショックを与えない釣り方をされているからで、0.3号は544gしか耐えられない強さなのですから、大助が掛かると一発で切れるはずです。しかし上手く針掛かりさせてしまえば簡単に切られることはないのです。


 話を元に戻しましてヘラブナ釣りの場合の仕掛けは、細いハリスで食わせようとする考え方が基本にあり、仕掛けの消耗や事故を防ぐために太い道糸を使っているわけです。その結果として短竿といえども当然道糸の方がハリスより長いはずです。
 しかし細いハリスで食わせるのですから道糸よりハリスの方が弱いとの考え方は、科学的には間違っているのです。いや単純には太い道糸の方が強いに決まっているのですが、考え方を少し変えてみるとどうなるかです。


 15尺の竿を使っているとします。仮に0.5号の道糸4mと同じく0.5号のハリス50㎝の15尺の仕掛けだとすると間違いなく道糸側が切れてしまいます。勿論道糸とハリスはヨリモドシなどで連結されていて通してはない前提です。ではそれはどうして道糸側が切れてしまうのかです。
 この場合の考え方としましては、素材差ではなくて仕掛けに占める割合の問題となります。4.5mの仕掛けは4mの道糸と50㎝のハリスの場合の比率は8:1の割合になっています。仕掛け全体でヘラブナの突進を受け持っているのですから、その比率が多い方が負担が大きいのです。この場合約8倍の強さを道糸が受け持っていることになります。強度が同じ号数を使っているのですから、8倍の負担をしている為に道糸側が切れてしまうのですが、ここにナイロン糸の特性を加えるとより途中で破断する理屈が見えてきます。


 ナイロンは必ず伸びがあることです。またその伸びる部分は自動的に断面積が小さくなるのですから、0.5号が一部分伸びることで0.4号になっているとすると、自動的に0.4号部分が寄り多く伸びますので、その部分で切れてしまうことになります。
 釣り糸は工業製品ですが均一には決して作られていません。必ず断面積の違いが起きているはずです。仕掛け全体に10%の伸びがあるとしても、実際は少しでも細い部分が寄り多く伸びてしまいます。その部分が伸びることで他の部分は全く伸びないなんて事も起きてしまうのです。
 この結果として道糸の何でもない部分、つまり途中で切れてしまった!となるわけです。


 随分話が長くなってしまいましたが結論的には


 道糸はハリスの倍の太さを使っても切れることがある。
 道糸とハリスは伸びが違うので強度も違っている。
 メーカーが違う事で特性が全く違ってしまう。
 高価な製品であればあるほど均一に作られている。
 細仕掛けには大きな意味がない。
 釣り糸の強度は竿に依存している。


 私は、理屈を無視してとっても安い製品を使い続けています。それは高価な糸を何度も使うより、安価な糸でも速い回転で新しく作り替える方が事故が少ないからです。
 それに実際は安い糸ほど号数表示より太いのです(笑)。その為に池の規定号数通りでも太い仕掛けが作れるのです。


 まっ色々と理屈をこねましたが実際は何も考えていないのですけどね。釣れる時は釣れますし釣れない時は釣れないのですよ。ハイ!