両うどんのヘラブナ釣り

ヘラブナ釣りで人生を楽しんでいる日曜釣り師です

常時50枚の釣果と大助を釣り上げるために

 ヘラブナ釣り ヘラ釣りは年寄りの釣りか

 静かに糸を垂れてじーっと浮きを見つめている動作からか、ヘラブナ釣りは年寄りの釣りと表現されるようです。確かに行動的で体力のいる釣りとは到底思えませんが、歳と共にヘラブナ釣りの良さや奥深さが感じられるようになったとも言えそうで、どんな趣味でもそうですが極める度合いによって理解が深まっていきます。ヘラブナ釣りは行動的な釣りではないですが、もっと自ら考えを深めて理論的な釣りだといえないでしょうか。


 ヘラブナ釣りでの入門編では竿も特殊な物は必要なく、安価な竿で十分に釣りが楽しめます。それが少しずつ理解が深まる毎にそれぞれの竿の特徴が理解出来て、その違いを楽しむことも出来るようになるのでが、得てしてその楽しめる竿は高価な部類に属しています。その為に趣味性も高まっていき、それぞれの道具類にもお金が掛かった所有欲も満足させていく世界に入り込んでしまいます。
 もし入門当時にそのような高価な竿や道具類を使ったとしても、その良さを感じることは出来なかったことでしょう。


 例としては随分と内容が違いますが1玉30円のうどん玉と1玉100円のうどん玉では随分と美味しさが違っています。同じような小麦が使われているはずですが、その小麦の産地や品種の違いが味として感じ取る事が出来るのは、何年もうどんを食べ続けた結果としてわかるのではないでしょうか。
 美味しいお肉にしても同じ事で同じ牛から切り分けられた部位によって、また随分と違いを感じるものですが、あるステーキハウスのご主人は美味しいステーキを食べるには、そのお肉選びが80%で焼き方は残りの20%だといっていましたが、歳と共に脂っこいものは余り受け付けられなくなり、サーロインやカルビよりヒレ肉(テンターロイン)の方が美味しく感じるようになっています。
 実際の所はもっと手軽にハンバーグが美味しいとも感じるのですが、100%ビーフというよりもタマネギが入っている方が軽く食べられています。そうそうハンバーグってハンブルグステーキが訛ってハンバーグステーキになったとの話があります。
 そのハンブルグステーキも元をたどればモンゴル襲来にまで遡ります。モンゴル人の(1民族であるタルタル人)が硬い肉をミンチ状にして食べていた生肉が元で、それをタルタルステーキというようになったのですが、それをドイツ人がアメリカに移住してタルタルステーキを焼いて食べていたのでジャーマンステーキやハンブルグ出身のドイツ人が食べていたのでハンブルグステーキともいわれるようになったとの話です。


 いつものように横道に逸れてしまいましたが、美味しさを感じるためには素材が80%締めているのですから、ヘラブナ釣りを楽しむためには竿の占めている割合は80%はあるのでは無いでしょうか。残る20%がヘラ釣り師の腕による楽しみだとすると、何年も経験を重ねれば重ねるほどにその良さが理解できていくのですから、奥深い楽しみを知っているのは年寄りだということも出来るはずです。


 歳と共に筋力が落ちて長竿を振り回すのが困難になって来ますが、それだからこそ余計に自分に合った竿選びという楽しみが膨らむはずです。話としてお聞きするのが野池では鯉やソウギョなどに竿を持って行かれると困るのでそんなに良い竿は必要ないとのことですが、勿論私的にも野池やダム湖で高級な竿を使う意味は余り感じていません。野生化しているヘラブナの引きは釣り堀とは比べものにならないでしょう。使用するハリスの号数も釣り堀では0.8や1号なんて全く必要ではないはずですが、野池では1.5号や2号までの太いハリスを用意される方もいます。乗っ込み期の重量感たっぷりの大型ヘラブナを相手にする場合は、それ程強いハリスが必要なのですから、強引なやり取りも時にはあるでしょうから繊細な竿の調子は必要ないと感じます。
 ところが釣り堀のような日々責められているヘラブナは、当然警戒感も高くて食い当たりもとても小さく、そのちょっとした浮きの揺れのような当たりでも的確に合わせて、ゆったりと引き寄せるその間の感触を味わうには、やはり洗練された竿が優雅に感じられると思っています。


 そんな優雅な時間を楽しむにもある程度の年数が必要だとするなら、年齢を重ねている年寄りこそがその境地に達しているわけですから、若者とは大きなアドバンテージをもって楽しむ事が出来ているはずです。


 とはいえ若者には年齢的な経験をも凌駕する俊敏性と視力の良さがある訳です。ちょっとだけ真剣に取り組むことが出来たとすると、大会などで上位独占もあり得ると思うのですが、如何せん他の釣りと比べても道具類が多く辛気くさい釣り方ですから、若者が入門するにはなかなかハードルは高そうです。
 ただルアーなどは入門しやすいのですが、なんのことはないルアーも多数用意する必要があり、陸っぱりでなくボート釣りに填まってしまうとヘラ釣りどころの話ではなく、とんでもなく高価な釣りの世界となって行きます。釣具店でもヘラ釣りの販売スペースと比べると何倍どころか何十倍もの売り場スペースを割いてルアー関係の釣具が置かれています。


 最近海釣りですら釣った魚を放流して帰る釣り人が増えています。渓流魚ですらルアーやフライで釣ったイワナやアマゴも放流してしまいます。漁協が管理している川でもルアー・フライ専用地域を指定して、そのポイントで釣れた魚は放流する規定になっていたりします。私なんかはヘラブナ以外は釣れた魚は持ち帰るのですが、放流する考え方が増えていくことでヘラブナ釣りも見直されるかも知れません。


 若者を釣り場で見かけたら邪険に扱うのではなくて、優しくヘラブナ釣りに導くような楽しさを伝授していただければと思います。もし必要でなくなった道具類があった場合は、釣り堀の事務所に貸し出し用として提供するのも、次の世代を育成するためにも必要ではないでしょうか。実際そろそろ終活も始めなければなりません。釣り仲間に形見分けをする前に道具類の整理を1度考えるのも良いかもしれません。