両うどんのヘラブナ釣り

ヘラブナ釣りで人生を楽しんでいる日曜釣り師です

常時50枚の釣果と大助を釣り上げるために

 ヘラブナ釣り 朱紋峰 嵐月 インプレッションⅡ

 前日に引き続いてシマノ朱紋峰 嵐月16.5尺のインプレッションです。
 先ずは外観です。写真のように紋竹模様ですがなんとなく目新しは感じられません。その分釣り場でも全く目立つことはないのです。ダイワの兆やHERA FXやF、シマノの閃光Pや皆空のように一目瞭然でどの竿かわかるというものではありませんでした。反対に目立ちたくないと思われる場合には適している竿となるでしょう。


 次に持ち重り感いわゆるモーメントですね。がまかつではモーメントを求めて表示されていますが、他のメーカーでは取り入れられていないのが不思議です。このモーメント差は1尺違うだけで随分と違う感じを受けます。実際の竿の重量よりモーメントの違いによって操作性が良いか悪いかの違いとなって現れます。そういう意味では本式の17尺はとても優秀で軽快に振れる竿ですが、ダイワの兆17尺は胴の柔軟度が高く手元が細いために、竿の重量そのものは本式の17尺が93gで兆の17尺は98gと5gの違いしかないのですが、明らかに兆が重く感じてしまいます。この要因の主原因は手元が細いための手元が軽くて、同時に竿先の硬度を増してある兆の先重り感を起こしていると思われます。その為に竿のバランス点が握りから遠い位置になってしまいます。


 ではこの嵐月はどうかですが16.5尺で96gです。0.5尺つまり15㎝の違いがあるとしても、本式と兆の丁度中間の重量となっています。竿の重量そのものには大差がないとしても仕上げには違いが出てきます。
 先ずは竿の直径です。嵐月の穂先/元竿では1.1/12.0㎜です。本式が1.1/11.8㎜で兆が1.1(1.0)/11.2㎜ですから、兆のテーパーが緩い事がわかります。反対に嵐月の方が本式に比べてややテーパーが強い事がわかります。
 がまかつの採用しているモーメントとは正確にはモーメント指数というのですが、竿の重心位置が竿全体のどの位置にあるかによって決まります。つまり実際の竿の重量よりも竿尻に近い部分に重心があるほど軽く感じるわけです。単純な言い方をしますとどんなに軽量な竿を作っても穂先に近い部分に重心があればとても重い竿になります。つまりモーメント指数が高いわけです。嵐月の16.5尺は4.95mです。この竿の場合の重心は竿尻から1.5mの所にありました。
 テーパーの数値だけを見ると嵐月が一番軽い操作性のはずですが実際はどうでしょう。案外普天元 獅子吼が同じ1.65尺でも113gもありますが、1.1 /12.9とテーパーが強いので、手元が重くて先が軽く感じるのではないでしょうか。


 ということで先ずは実釣の感覚から解説したいと思います。握りの感覚ですがそれ程目新しさは感じませんが滑りを抑制した握りになっています。ただ団子餌だと中に入り込んだ汚れが詰まってしまって簡単に綺麗には出来ないと思われます。そういう意味でも釣行毎に歯ブラシを使って掃除することをお勧めします。時間が経てば経つほど容易に掃除は出来なくなってしまいますからね。
 今回1日の大半を嵐月の16.5尺で通したのですが、私は基本的に手袋をしていますので滑りも抑制されていたのですが、インプレッションのために手袋を外して釣り続けてみました。滑りはそれ程感じませんので素手でも使えると思うのですが、問題点として素手で使っていると握りが硬くて2時間もしない間に痛くなってしまったのです。軟弱な私の掌では指に当たる感触はとても硬いと感じたのです。このタイプの前にあった閃光Xでのカーボン握りよりは柔らかく感じますが、シマノの本式や煉に使われている旧タイプのしっとり綾織り握りの方がまだソフトな握りだと感じます。形状的にせっかく竿尻まで回り込んだ握りで掌に優しいはずこの点は残念でした。もう少しソフトに仕上がっていると素手で使い続けてもも痛くならなかったでしょうが、現状ではやはり手袋をしていた方が良さそうです。
 また思った以上にこの尺数にしては握りが細目です。その為に私には握りやすいと思いましたが、体格の良い掌の大きい方には細すぎるのかも知れません。それを解消するためにも手袋の使用が適しているように思います。



 その後ダイワの兆の17尺を使って見たのですが、やはりダイワの新触感へらグリップの方が手にソフトに当たりますので手袋を外していても痛くなりませんでした。また餌汚れも付き難い仕様になっていると思います。


 次に竿そのものの操作性ですがとても軽快に扱うことが出来ました。これはちょっとした驚きです。先調子ですから神威のようなコシの強さ故の操作性の難しさを想像していたのですが、軽量系の竿に似た軽快な操作性なのです。その操作性のお陰で疲れにくいのではと感じましたが、操作感はどちらかというと朱紋峰 本式に似ているのです。


 また水切れがとても良くて合わせが楽です。ただ穂先を深めに入れると水切りはそれ程良いとは感じず抵抗感が増してしまいますので、多くても穂先部分だけで穂持ちまでは入れない方が良いのではと思いました。
 また合わせてから取り込みまでですが、本式に比べると随分と先調子に仕上がっています。ただ心配していたコシの強さですがその点はとても上手く処理されていてそれ程コシが硬いとは感じない仕上がりです。ただ実際には先調子そのものでパラソルを差していても取り込みが楽でそれ程苦労するとかは感じませんでした。


 この写真でもわかると思うのですが竿の曲がりは間違いなく先調子ですから、パラソルが邪魔で取り込みにくいとは感じなかったのです。実はこの取り込みの時に42.6㎝の大助を釣り上げていたときで、嵐月の本領発揮をしている曲がりでどう見ても先調子ですが、それでも腕や肩に負担を感じることはなかったのです。勿論強い引きのときはもっと胴から曲がる場面はありましたが、取り込み段階での曲がりは先調子に移行していたのです。
 これが本式であれば6:4程度の曲がり方をしていたはずです。


 この時に釣り上げた42.6㎝の大助です。


 また次のマブナ系の強い引きを味わっていたときの曲がりですが、それでも7:3~6:4までの曲がりでしょうか。そして結構沖の方で浮かすことも出来たのです。


 実際の自重は本式が17尺で93gで嵐月が16.5尺で96gですから、嵐月の方が持ち重り感があるはずですが、あえて比べるとすると軽快感は嵐月の方が上かも知れません。ただ殆ど変わらないのではと思いますが、今回は嵐月と兆とを比べてみましたので本式の感覚は私の記憶での比較となっています。次回は本式と嵐月を使い分けてみてどのように感じるか試して見たいと思いますが、実際は本式を所有しているのであれば嵐月を無理して購入する必要はないかもとも感じたのです。
 ただパラソルやテントを使用する場合を想定しての竿選びであれば、やはり嵐月の先調子は捨てがたいとこで、そんな目的を含めて選ぶのであれば嵐月は大いなるアドバンテージを発揮する価値ある竿かも知れません。


 今回は2m程度の浅棚(底釣り)の沖打ちでしたがヘラブナを掛けてから伸される場面はありませんでした。この点も非力な私には神威と比べとても使いやすいと感じました。軽快感と腰の強さが両立するのは新しく開発された竿のためでしょうか。
 先調子故にヘラブナも結構沖で顔を出すことが出来ますが、流石に大助ほどの重量感と馬力があると簡単に顔を出させることはできません。その点では煉やHERA Xの方に軍配が上がりそうです。そういう意味でも場面場面で竿の使い分けをするともっと楽しいのではと思いますがそれ程多く竿を用意しないのであれば、嵐月だけで正にオールマイティーな使い方が出来るのではと思いました。


 竿の特性として軽快感を持たせるとコシが柔らかく仕上がると思うのです。それは閃光LやHERA Fのような腰の柔らかさとなるのでしょうが、第1投目から感じた期待以上の軽快感には驚かされました。同時に餌の振込についても的確に打ち込めましたので、その点でもストレスのない釣りが展開できています。パラソルを出していても別段不自由さは感じなかったのも操作性の良さだったのかも知れません。
 またヘラブナの引きに耐えているときにも軽快感が損なわれないのも、コシが上手く機能しているのではないでしょうか。もしヘラブナに主導権を取られず軽快感と操作性の良さを求められる場合には、この嵐月はお勧めの1竿となるのは間違いないでしょう。但しあくまでも16.5尺限定でのインプレッションの話です。これが13.5尺や15尺の中竿や8尺9尺の短竿でも同じように感じるのかはわかりません。たの竿でも感じたように尺数によって全く違った印象になる可能性も高く、それぞれの尺数は別の感覚を得ることがあることもふまえて頂きたいと思います。