両うどんのヘラブナ釣り

ヘラブナ釣りで人生を楽しんでいる日曜釣り師です

常時50枚の釣果と大助を釣り上げるために

 ヘラブナ釣り 越冬魚研究からJudas technique(ユダ・テクニック)

 ヘラブナが冬期の釣れない根本的な原因は、単純に魚類は餌を食わなくても越冬できるからに他ないのですが、同時に飽和脂肪酸を蓄えている変温動物の魚類は、極端な水温低下が起きたとしても魚体が凍ることはありません。しかし変温動物ですから生活環境として適している場所に移動してしまいます。


 ある面白い魚類研究がありましたのでご紹介しておきます。それはJudas technique(ユダ テクニック)と名付けられていますが、あのキリストを騙したユダの名前を使うところに、西洋のキリスト教徒らしい名称だと思うのですが、簡単に言いますといわば他の魚たちを騙して一網打尽に捕獲する方法でした。


 元々の研究ですがコイに発信器を取り付けて、ウィスコンシンのメンドータ湖で行われた研究で、湖に放流して冬期の行動を把握するところから始まりました。結論的にいいますとそのコイは他のコイと共に集団である特定の場所に集まる性質がある事がわかったのです。その時の捕獲量は46トンにも上ったようですから相当な数だと思われます。


 その性質を利用して先に捕獲しておいたコイに発信器を取り付けて、捕獲すべき池や湖に放流をして冬期に集まっているところを一網打尽にする方法です。これがJudas techniqueです。
 この時の研究でコイだけでなく他の魚種も一堂に集まっていたとのことで、東京ドーム8から26個分の広さの湖のなんと半数から90%もの魚類を捕獲できたとのことです。(北海道大学 小泉研究室)


 ただ冬期にその湖の特定の場所に留まっていたのではなくて、その日によって回遊を続けていたこともわかっています。今までは湧き水があるとか物陰であるとか、ある特定の冬期に適した場所に留まると思われていたのですが、実際は日々変化していたようですからその原因はどこにあるかです。残念ながらまだ底までは解明されていないようです。


 他にニジマスなどの川での調査結果もわかっています。夏期では1つの川の100mの流域で平均6匹の魚体が確認できたのですが、冬期にはそれは一変して20匹から188匹と高密度に集まっていたのです。
 この調査は電気ショッカーを利用していますので、石裏に隠れているものも調査できますので数え間違いはないと考えられますが、ここで導き出された答えは冬期ほど集団で越冬するという事実でした。(北海道大学 小泉研究室)


 野池ではこのような行動を取っていると思われる魚たちですが、釣り堀でも同じようなことが起きているのではないかと思う訳です。
 釣り初めは釣れていたのに突如釣れなくなったり、朝から何も当たらないのに昼頃になるとバタバタと釣果が得られたりと、1日の内で何度かそんな場面に出くわすことがあります。まさにそれが池の中を集団で移動しているためではないかとも思えます。
 その集団が釣っているポイントにさしかかったときにポンポンと釣れて、その集団が通り過ぎると静まりかえる。そんなことが起きていそうな気がします。
 ある時のことです。朝からひたすら餌打ちを続けても全く気配を感じることなく、ただ時間だけが過ぎていったのですが、昼過ぎでしょうか3度の当たりが出て2枚釣り上げる事が出来たのですが、それからまた静まりかえってしまったのです。この3度の当たりが出ていた時間は長くて15分程度だったような気がしますが、その瞬間だけバタバタと当たりが出たにもかかわらず全く当たりが消えてしまったのですから、集団が通り過ぎるその瞬間にだけ当たりを返したのではないかと思えるわけです。
 いやそうでも思わなければ理屈に合わないのです。


 仮にこの説が合っていたとすると、冬期にアレコレと努力することにむなしさを感じてしまうのですが、その集団が1つではなくていくつかに分散していたとするならば、次の通りかかった集団を如何に足止めするかになるのかも知れません。


 いつも思うことですが池の水が濁っているから浮きを見続けられるので合って、もし透明で見渡すことが出来るとするなら、浮きの周りに何もいないことがわかるわけですから、浮きなんて見ていられないと思うんです。
 知らないことの方が幸せだってことが、こんなところにもあるのでしょうか。