両うどんのヘラブナ釣り

ヘラブナ釣りで人生を楽しんでいる日曜釣り師です

常時50枚の釣果と大助を釣り上げるために

 ヘラブナ釣り 集魚材について

 その昔「もんどり」という漁具があったのをご存じでしょうか。その昔は透明なガラス瓶で作られていました。後にプラスチックになったのですが、いつしか使われなくなりました。それは内水面漁業規則で禁止されたからです。
 主な禁止事項としては次のようなものがあります。(京都府の場合)
 (1) 水中に電流を通じてする漁法
 (2) 瀬干漁法
 (3) 透明性のもんどり
 (4) がわびき漁法
 (5) 箱づけ
 (6) 火光その他の照明を利用してする漁法
   (う飼漁法および食用かえるを採捕する場合を除く。)
 (7) 発射装置を有するもりおよびやす


 禁止を知らずか無視をしてか、大型のペットボトルを利用して作る方法が紹介されたことがあるのですが、今でもネットでは多数紹介されています。だからといって禁止されている都道府県では使わないようにしましょう。


 そのもんどりを水中に浸けているだけでは魚は捕獲出来ません。もんどりの中に魚の好む餌を入れることで入ってくれるわけです。
 禁止のはずなのにもんどり用の餌も市販されているのですから、どうしたものだろうと思うのですが、「寄せ太郎」なる商品名で餌メーカーのマルキューから販売されています。その昔は自宅で作ったものですが、この寄せ太郎の成分表をみますと次のようになっています。
 酒粕、ヌカ、アミノ酸、オキアミ粉末、酵母、さなぎ粉、香辛料、食塩、酒精、着色料、保存料、pH調整剤


 商品説明には次のように書かれています。
 もんどり用の集魚用のエサです。酵母の作用で魚の寄せの効果も抜群!ハエ、ハヤにオススメです。1個が手のひらサイズで適度な重さがあるので、流れがあるところでも使用でき、流れが緩いところではバラして使用することもできます
※使用を禁止されている区域では使用しないでください


※印が付きで使用制限事項が書かれていますから、使って良い場所も存在するって事でしょうか。


 さて、当然の如くもんどりの説明をするのがこのブログの趣旨ではありません。ヘラブナ釣りに関するブログなののですから、ここからヘラブナ釣りの話に移っていくわけですが(笑)。


 元々もんどり用の餌は自宅で作っていたものです。その場合の餌は団子状にしてもんどりの中に入れて、徐々に溶け出すことで集魚効果を長持ちさせなければなりません。
 基本的な餌主成分は糠でした。生糠をそのまま使う場合と1度煎ってから使う場合があったのですが、米ぬかに小麦粉とサナギ粉をブレンドして寒梅粉を繋ぎとして団子状に形成します。


 この主成分である米糠には多量のアミノ酸が含んでいます。子供の頃に使っていた餌ですから、一番安い糠を大量に使っていたのですが、どうして糠を入れると魚がもんどりに入り込んだかですが、糠に含まれているアミノ酸によって魚が集まってくれるのです。
 実は糠は淡水魚にだけ効果があるのでは無くて、海の魚にも効果があることは解っています。これもその昔ですが三重県の英虞湾へ釣りに行った折りに、地元の人達からグレ釣りには糠が一番だと教えられたことがあります。その後チヌ釣りをするようになって団子を作る場合には、糠が欠かせない成分となっていくのですが、淡水魚海水魚ともに食べたこともないはずの米糠に集魚効果があるのはどうしてかとなるのですが、アミノ酸効果に他ならないからです。


 米糠には次のようなアミノ酸が含まれています。
 成分名 値 単位
 イソロイシン 34 mg
 ロイシン 68 mg
 リシン
 (リジン) 52 mg
 含硫アミノ酸 メチオニン 19 mg
 シスチン 24 mg
 芳香族アミノ酸 フェニルアラニン 43 mg
 チロシン 29 mg
 トレオニン
 (スレオニン) 38 mg
 トリプトファン 14 mg
 バリン 54 mg
 ヒスチジン 31 mg
 アルギニン 82 mg
 アラニン 60 mg
 アスパラギン酸 96 mg
 グルタミン酸 140 mg
 グリシン 55 mg
 プロリン 44 mg
 セリン 45 mg


 当然全てのアミノ酸に効果があるはずも無く、この内のどれかに反応していることになります。


 また小麦にも多量のアミノ酸が含まれています。
 成分名 値 単位 
 イソロイシン 37 mg
 ロイシン 73 mg
 リシン
 (リジン) 22 mg
 含硫アミノ酸 メチオニン 18 mg
 シスチン 28 mg
 芳香族アミノ酸 フェニルアラニン 53 mg
 チロシン 31 mg
 トレオニン
 (スレオニン) 29 mg
 トリプトファン 13 mg
 バリン 44 mg
 ヒスチジン 24 mg
 アルギニン 38 mg
 アラニン 31 mg
 アスパラギン酸 44 mg
 グルタミン酸 360 mg
 グリシン 37 mg
 プロリン 120 mg
 セリン 50 mg


 ビックリするほどアミノ酸が含まれていることが解ります。その中でもグルタミン酸が群を抜いて多数含まれていますが昆布のうま味成分ですよね。一般には味の素の方が有名でしょうか。


 サナギはどうでしょう。詳しい成分表は残念ながらありませんが、タンバク資質が多量にありますので、アミノ酸の量も相当な数になるのは間違いありません。
 このように糠・小麦・サナギには多量のアミノ酸が含まれていて、見たことも食べたこともない糠団子に魚が集まってくるのは、このアミノ酸効果に他ありません。


 海釣り用の餌としてオキアミが使われていますが、日本近海には存在しないのですから、オキアミが有効な餌にはならないはずですが、このオキアミにも多量のアミノ酸が含まれていることが解っています。養殖用ペレットにオキアミが使われ出しているところにも、そのような理由があると思われます。
 オキアミに含まれているアミノ酸量は牛肉に匹敵するともいわれています。


 そうそう海釣り用の餌には多数ありますが、ゴカイや貝類にも多数のアミノ酸が含まれています。また海の釣り堀では団子餌も使われたり、鶏の肝も釣り餌として使われるのですが、鶏の肝にも大量のアミノ酸が含まれているのは解っています。
成分名 値 単位
イソロイシン 45 mg
ロイシン 87 mg
リシン
(リジン) 76 mg
含硫アミノ酸 メチオニン 25 mg
シスチン 16 mg
芳香族アミノ酸 フェニルアラニン 48 mg
チロシン 38 mg
トレオニン
(スレオニン) 46 mg
トリプトファン 14 mg
バリン 57 mg
ヒスチジン 28 mg
アルギニン 64 mg
アラニン 58 mg
アスパラギン酸 92 mg
グルタミン酸 130 mg
グリシン 51 mg
プロリン 47 mg
セリン 44 mg
アミノ酸合計 970 mg



 ではヘラブナ釣り用の餌に糠が有効かとなるのですが、団子にするならまだ良いのかも知れませんが、残念ながらまぶし粉には使えません。それは糠には多量の油が含まれていますので水に浮いてしまうからです。それこそ上ずって仕方ない事になってしまうのですが、私自身使ったことはありませんが浅棚用の団子餌には有効かも知れませんね。


 うどんを食うのは小麦に含まれているアミノ酸によるものですが、ワラビうどんにはアミノ酸は多く含まれていませんので、実は有効な餌ではない事になるのですが、まぶし粉にアミノ酸を多く含んだ物を使う必要があります。


 多くの場合はペレットが使われるはずですが、ペレットの主成分がイワシだと仮定しますと、イワシには多量のアミノ酸が含まれています。
成分名 値 単位
 イソロイシン 46 mg
 ロイシン 79 mg
 リシン
 (リジン) 90 mg
 含硫アミノ酸 メチオニン 29 mg
 シスチン 10 mg
 芳香族アミノ酸 フェニルアラニン 41 mg
 チロシン 33 mg
 トレオニン
 (スレオニン) 46 mg
 トリプトファン 11 mg
 バリン 53 mg
 ヒスチジン 51 mg
 アルギニン 56 mg
 アラニン 60 mg
 アスパラギン酸 98 mg
 グルタミン酸 140 mg
 グリシン 48 mg
 プロリン 34 mg
 セリン 39 mg
 ヒドロキシプロリン (4.6) mg


  その他色々なものにアミノ酸は含まれているのですが、相乗効果をもたらしますので、同じペレットだとしても別品種のペレットを混ぜることで含有アミノ酸のより多くの相乗効果を得ることが出来ると考えられます。


 反対にいいますと、人間が感じる美味しそうな臭いには全く集魚効果は無いと私的には思っています。特にバニラ臭は意味が無いと思います。バニラビーンズにはアミノ酸が含まれているはずですが、餌とか香料として使われているのは合成バニリンですから、単に人間が甘い香りと学習能力によって感じているに過ぎません。
 同時にニンニク臭にも効果が薄いと感じています。ニンニクのアミノ酸はアリインが含まれているのですが、すり潰したり加熱することで色々な成分に変化します。ついでの話ですが、ニンニクをすり下ろしたりして生で食べると殺菌効果がとても高いのですが、同時に腸内細菌も死滅させるとの報告もありますので加熱することをお薦めします。


 人間が感じる臭い成分は単純に香り成分でしかなく、魚の感じる臭い成分は人間では殆ど感じられない臭いというよりは味となるのですが、それもうま味と称される部分にアミノ酸が関係しています。
 ただ人間の感覚は余りにも鈍感なために、表現としてはうま味成分となりますが、魚の場合は狂ってしまう程の臭い成分となります。似た表現ではネコにマタタビでしょうか。
 それ程魚には効果のあるアミノ酸ですからこれは使わない手はないわけです。


 アミノ酸は相乗効果が高いことも解っています。単品より複数を混ぜ合わせることで寄り効果を高めることが出来ますので、薬剤師宜しくアミノ酸を多数揃えて組み合わせ実験を繰り返し、その時期その時期に合った最適な組み合わせを見つけることが出来ると、それこそ爆釣が待っている事になるかも知れません。


 とはいえ、臭い(アミノ酸)だけで成立するものではないのも解っています。そこに必要なのか視認性となるのですが、視認性については以前にどこかのブログに既に書いていますのでここでは割愛しておきますが、いずれにしてもアミノ酸効果を利用し視認性を高めることで爆釣・・・・難しいですけどね(笑)
 餌作りも大いに楽しんで見ては如何でしょうか。


 実はある強者がシナモンを混ぜて大助を釣り上げたことがあるのですが、実はシナモンにもアミノ酸が含まれているのです。さて効果の程は・・・・興味のある方はどうぞ。


 ん?私ですか?私はアミノ酸を混ぜるようなことはしていませんよ。(笑)