両うどんのヘラブナ釣り

ヘラブナ釣りで人生を楽しんでいる日曜釣り師です

常時50枚の釣果と大助を釣り上げるために

 ヘラブナ釣り 水温とハリスの関係

 ヘラブナ釣りでは基本的にナイロン糸が使われています。フロロカーボンが使われる方もいるようですが、その比重の高さから浮きを沈めてしまいますので長竿では使わない方が良いと思っていますが、個人の好みですからこの際横に置くとして、良く使われるナイロン素材について取り上げてみたいと思います。


 釣り場で仕掛けを作られる方は別として、事前に作っておいて釣り場では竿に繋げるだけの方が、早く釣りたいとの気の焦りもあって仕掛けを釣り場で作るより事故も少なく、直ぐに釣り始められる利点があると思うのですが、仕掛けに巻き癖が着くのを嫌う方もいます。
 その為に丸のスプール状の物を使われる方もいるようですが、多くは20㎝程度の仕掛け巻きを使われている事でしょう。それでも実際釣り出してみてその巻き癖が気になった方はいるでしょうか。多くの場合は1投2投と打つ間にすっかり巻き癖がなくなっていることに気がつかないでしょうか。
 ヘラ釣りの場合は道具も多く持参しますので20㎝程度の仕掛け巻きでも良いのですが、鮎釣りの場合の仕掛け巻きは、5㎝程度の仕掛け巻きに9mもの長さがある仕掛けを巻きます。ヘラ釣り比べてもっと細かな巻き癖が出るはずですが、全くといって良い程巻き癖が気になることはありません。これは0.4号以下の細い糸を使っているからでもあるのですが、あっという間に巻き癖が取れるのは、ナイロンの特性でもある浸透性と温度変化があります。


 ヘラ釣りの場合は特に水中に仕掛け全体を沈めますので、ナイロン素材にも寄るのですが10%もの吸水をしてしまうものがあります。吸水するとナイロン糸の特性として柔軟性が増すのですが、その昔飲み物を飲むストローの入っていた紙の筒を小さく絞り、そこに水滴を1滴落とすことで、また伸びる様子を見たことがありませんでしょうか。ナイロン糸も同じように曲がっていた癖を水分を吸水することで伸びてしまいます。
 また温度によっても簡単に柔軟性を示す特性がありますので、暑い真夏などは特に柔軟度が上がりますが、同時にナイロン糸は弱くなってしまいます。


 立冬が過ぎて徐々に水温が下がりだし、水温の低下と共に当たりが小さくなったと感じないでしょうか。先日も1節の半分や黒線程度の当たりで釣れて来ることが多々ありました。そろそろ冬の釣りへと変わってきていると感じたのですが、これからはもっと違ってくるのではないでしょうか。
 井戸水が常時供給されている場合や湧き水が豊富な池だとしても、10度程度にまで落ちてしまいますが、井戸水や湧き水が供給されてない池では、もっと極端な水温低下を招いているはずです。ある釣り堀などは氷が張ってしまうこともあるようですから、ボーズ覚悟の釣りとならざる得ないでしょう。


 そんな水温低下が始まることで当たりも小さくなります。その結果として浮きのトップをパイプからムクに替える人も多いと思いますが、当たりが小さいのはヘラブナの吸い込み力が落ちたからだけではないと思っています。


 いわゆる仕掛け全体が熱変化の大きいナイロン糸を、ヘラブナ釣りに使っていることを再度見直す必要があるのではないでしょうか。
 高温時は柔軟性も上がりますので、ヘラブナの吸い込みに対してもスッと口に入るでしょうが、低水温時にはナイロンは硬くなってしまいますので、吸い込まれても綺麗に曲がらず、結果として小さな当たりになったりカラツンになってしまうと考えられます。


 水温低下と共に硬くなったナイロン糸は、同時に強度が増していることにもなりますので、道糸やハリスの号数を落とす事が可能になります。
 多くの釣り師は、ヘラブナの引きが弱くなることや活性が落ちるから切れないだろうと、細い糸に切り替えられるようですが、水温低下に寄るナイロンの物性が変化することにも注目をすることで、仕掛けの見直しが出来るのではないでしょうか。
 夏場は活性が高い為にハリスが切れやすいと考えて号数を太くし、冬期は活性が落ちているからヘラブナの引きも弱くなるので、号数を落としても切られないとの論理で号数選びをされていると思いますが、夏場のハリスは水温が高いために弱くなり、冬場は水温が下がるために強くなる。このようなハリスを選ぶ上での考え方も持っていた方が良いと思います。


 他にメーカーや種類によってコーティング剤が使われている場合がありますので、一概に号数だけでなく特性を理解して使い分けるのも良い方法と思います。


 ハリスの硬さについては、次のような確認をすると良くわかります。餌を付けないで状態で針から5㎝程度離れた部分のハリスを持って、ハリスを水平にしてみるとわかるのですが、どの程度針が垂れ下がるかでハリスの柔軟度がわかります。冬期にも拘わらずピンと張っているようでは、当たりが出ないか出てもカラツンが多くなってしまうと思いますので、号数を何段階か落とすようにするとカラツンが減ることもあります。
 またそのつまんでいるはハリスを指先で捻るように回転させますと、より多く垂れる部分やピンと張る部分があります。それはハリスが巻かれていた状態がある程度影響していることもわかります。その巻き癖がどの程度取れるかによって、そのハリスの硬さや柔軟度も確認出来ますので、釣り始めて30分以上経過した段階で再度ハリスを持って回してみる事をお薦めします。思った以上に柔軟性がなくて、案外いつまでも巻き癖が残るタイプのハリスがある事がわかります。
 巻き癖が残ってしまっているハリスで巻かれた針で、針先が柔軟に曲がる方を向いていれば良いのですが、曲がり難い方向を向いていると針掛かりしにくくなっています。また横を向いている場合も掛かるチャンスは減るように思います。


 そのような巻き癖の残りやすいハリスだとしても、号数を落とすことで気にならない場合も多々ありますので、何号まで落とすかはそれぞれの考えでもあると思いますが、取り敢えず今より0.1号0.2号落としてみるのは如何でしょう。前回と違った釣りが出来るかも知れません。


 ハリスの特性を別として季節要因でハリスの号数を落とす目安は、当たりが小さくなりだしたときが1つのチャンスです。または水温が15度を下回る時期になったときではないかと思います。反対に15度を上回るようになると徐々に太目にするのも良いのではないでしょうか。


 なんでカラツンばかり続くのかわからなくなった場合、ハリスを細くするのが手っ取り早い方法かも知れないですね。