両うどんのヘラブナ釣り

ヘラブナ釣りで人生を楽しんでいる日曜釣り師です

常時50枚の釣果と大助を釣り上げるために

 ヘラブナ釣りは人生に潤いを与えるか

 今年もあと2ヶ月となってしまいました。歳と共に時間は駆け足で過ぎていきます。そんな月日の流れの中で、人生に潤いを与えてくれる趣味を持つ事はとても素晴らしいと思っています。人それぞれ色々な趣味をお持ちの事と思いますが、釣りの与えてくれる潤いはどんなところにあるのでしょう。


 その昔海釣りに血道を上げていた事がありました。比較的釣果も良かったものですから、食べたいものを釣りに行こうとした時期がありました。今の時期では太刀魚や黒鯛釣りそして舟の鯛釣りやハマチ釣りだったでしょうか。真冬の間は、カレイやメバルを狙っていましたとし、春先はアマゴを狙い、GWにはスズキを狙い6月に入ると鮎が始まって、8月に入ると舟に乗ってイカの夜釣りに行っていました。今はアオリイカを狙う人が多いですが、その昔はスルメイカかケンサキイカでした。
 食べたいが為の釣りは家人も喜んでいてくれたのですが、食べない魚を釣り出してからは、釣りをする本人だけの楽しみであって、家人を喜ばせる釣りではなくなってしまいましたので、これほど自己満足な釣りは無いのかも知れません。


 こんな言葉を聞かれた事があるでしょう。
 「一時間幸せになりたかったら酒を飲みなさい。」
 「三日間幸せになりたかったら結婚しなさい。」
 「八日間幸せになりたかったら豚を殺して食べなさい。」
 「永遠に幸せになりたかったら釣りを覚えなさい。」 


 釣り人が如何に釣りが楽しいかを、釣りをしない人に説明するときに使う格言でもありますよね。


 「最良の仕事の日よりも最悪の釣りの日の方がまだマシである」なんて格言もあるのですが、釣り人だけが理解出来る格言ですね(笑)


 かの有名なイギリスの随筆家であるアイザック・ウオルトンは、
 「魚釣りは数字のようなものだ。というのは完全にマスターできないからだ。」
 この格言が理解出来るのも、日々苦労している釣り師だけでしょうか。


 このアイザック・ウオルトンは約300年前に「釣魚大全」を書いた人物でもあります。この本は、漁師との対話形式で書かれている部分が大半ですが、釣り自体を伝えたいというよりも、釣りから瞑想への道を説いているのですから、釣りで釣れないと嘆くのではなくて、釣り糸を垂れているその時間を楽しもうとする、それこそ釣れない事を嘆いたりするなといわれているようです(笑)。


 もう一つの格言もご紹介しましょう。
 「一日幸福でいたかったら床屋に行きなさい。」
 「一週間幸福でいたかったら結婚しなさい。」
 「一ヶ月幸福でいたかったら良い馬を買いなさい。」
 「一年幸福でいたかったら新しい家を建てなさい。」
 「一生幸福でいたかったら釣りを覚えなさい。」


 1日や1週間の幸せは別のものでも代用出来るけれど、一生の幸せをものにしたければ釣りをしなさいって所に落ち着いています。釣り師の身勝手さも窺い知れる格言ですね。


 「恋人を作らずに女を知ろうなどというのは、ちょうど釣り人が糸を振り回しただけで魚を知った気になるようなものである。」フランスの詩人ジュール・ルナール
 なんか耳が痛いですが、理解しようとする努力はかって頂きたいですよね(笑)。
  
 「もし釣りが仕事の妨げになるのなら、仕事の方をあきらめなさい。」
 スパース・グレイ・ハックルによるこの名言も釣り師ではおなじみの格言でしょうか。


 かの有名なヘミングウエイは
 「釣れない時は、魚が考える時間を与えてくれたと思えばいい。」と述べています。


 実に面白いですよね。釣りは幸せを運んでくれる、でも釣れないからと嘆くなかれ、その時間すら楽しみに変えてくれるのだから・・・う~ん・・・大変です(笑)。


 もう1人とても有名な人物として太公望がいます。太公望は中国陝西(せんせい)省中央部を流れる川の渭水(いすい)で釣りをしていたところ、時の太閤である殷(いん)末の周の王、文王(ぶんおう)によって見いだされたのですが、時の太閤が待ち望んだ人物として太公望と呼ばれるようになったのです。呂(りょ)尚(しょう)という名が本名ですが、太公望の方が余程有名な名前として残っていますよね。
 この太公望は、その川の岸に座り続けて釣り糸を垂れていたのですが、現在にも残っているその史跡は、岩に座った跡として正座していたように掘れて残っています。そんな事はあり得ない話ですが、中国では壮大な物語が好きですから、史跡となったんでしょうね。
 また太公望が釣りをしていたその釣り糸の先には針は着いていなかったそうです。太公望は実際に釣りをしていたというより、先の「釣魚大全」のように瞑想をしていたのでしょうね。太公望はその後釣りというよりは軍師として活躍していますから。


 私のような俗人にとってこの名言集は耳が痛いです。釣れないからどうしたらいいなんて考え続けているのですから、達観した位置にまで上り詰めるには残された人生の時間は余りにも短いです。
 瞑想をしている時間より、なんで当たらない!何で食わない!何で釣れない!なんて俗な思いしかしていないのですから、これからもただ悩み続ける時間が残っているのでしょう。


 それでも「永遠に幸せになりたかったら釣りを覚えなさい。」だと思うんですよ。大いに悩み苦しみ色々な対策をし、その結果が釣果として表れたときの喜びも一入(ひとしお)ですからね。