両うどんのヘラブナ釣り

ヘラブナ釣りで人生を楽しんでいる日曜釣り師です

常時50枚の釣果と大助を釣り上げるために

 ヘラブナ釣り うどん餌の楽しみ

 本来うどん作りは門外不出のもので、それぞれが独自の工夫をして作り上げているものだろう。
 先ず初めに、遠い昔の記憶を辿ると、海苔の佃煮が入っているような瓶詰めにしてあるうどんがあった。初めの頃はカットされてない長いままのもので、それをブリキで出来たまぶし用の入れ物の上に、ゆで卵の輪切りを作るような針金線が張ってあるところに乗せてフタを閉めると、等間隔にカットが出来て下に落ちる。受け皿には前もってさなぎ粉などのまぶし粉を入れておき、容器を振ってまぶし粉に絡めてうどん餌の出来上がりだった。
 それが時が進み事前にカットしてあるうどんで売られるようになり、とても手軽に使えるようになっていた。ただこのうどんの難点はとても柔らかい事だった。
 短竿でそっと振り込んでいる間は良かったが、少し長めの竿での振り込みは至難の業で、如何にショックを与えずに振り込むかと難儀したものである。
 そうこうしている内にうどんを尿素で煮ることを考案された。あのお茶の間に人気のあった料理研究家の土井勝氏が考案したのだ。どうして尿素を思いついたのかは知らないが、うどんを煮て柔らかくしてから尿素で煮ると針持も良くて傷みにくいものが出来上がった。


 初期はヘラブナのサイズも小さく、30㎝が上がると大助として喜んでいたくらいだから、うどんも細く針も小さいハリスも0.2号程度で竹竿に優しい釣りが続いていた。
 その当時あくまでもヘラブナは植物性のものを補食すると思い込んでいたので、まぶし粉はマッシュの粉末など植物性のものを使用していた。まぁ未だに植物性食と思っている人も多く、メーカーの出す餌もマッシュポテトや麩にとろろと植物性が多いのだが、現実はペレットで養殖されている。ペレットは魚粉が使われているのでヘラブナも魚粉に慣れてしまっているため、まぶし粉だけでなくグルテンや団子餌も主流はペレット系で魚粉が大量に使われている。
 そのまぶし粉にも独自の配合があり、何と何をどのように配合するかも秘密の秘になっていて、おおざっぱな配合は教えても何をどのように添加するかは薬剤師の如く極秘になっていた。


 時代が進むにつれて食用のうどんからわらび餅用のわらび粉でうどんを作るようになっていく。太さや堅さも自在に出来てまさに独自のうどんが作れるようになった。わらび粉といっても本当のわらびの粉はとても高価で餌には使えない。わらび粉の表示がされていても成分はサツマイモのデンプンで作られている。
 ここで正体がデンプンだと知られるようになり、じゃあデンプンは他にもあるって事で片栗粉やタピオカにコーンスターチと使われるようになり、配合も独自で決まるようになっていく。
 そんな中で売られるようになったのが「Gうどん」だ。個人的には利用していないが、取り敢えず入門には最適ではないだろうか。決まった量の粉に決まった量の水を加え、決まった時間電子レンジに掛けるととても手軽に作れてしまうのでお薦めだが、個人的には既製品で釣るのは面白くなく、独自の配合で作りそれで40㎝オーバーや釣果も伸ばしては1人悦に入っている。


 わらびうどんの難点は、時間経過と共に劣化することだろうか。デンプンに水を加えて熱を掛けるとドロってした状態になる。これを「糊化」という。この状態で冷水に入れるとほどよい堅さに固まってくれるのだが、時間の経過や温度により変化していく。これを「老化」という。専門的にはミセル構造というのだが、これが崩れた状態が「糊化」であり時間と共にミセル構造の元に戻っていく事が「老化」であり、基本的なデンプンの性質なので防ぐことが出来ない。
 それを少しでも防ぐ方法として、市販されているのが安定剤と称されるものだが、実は保水すれば老化が遅くなるので簡単には液糖や蜂蜜を添加すれば良いことになる。他にも方法があるが色々と試行錯誤して貰いたい。それもまた楽しいのです。


 釣りに科学を持ち込むのはうどんを尿素で煮る方法も同じ事で、未だに食用うどんを尿素で煮ている人が居る。わらびうどんとの釣果の差は特に感じないので、自分の使いやすく信じて使えるうどんで良いのが本当のところではないだろうか。
 季節により太さや柔らかさを変える人もいるが、1年を通して全く替えない人もいる。どのような餌を使ってもヘラブナは食ってくれるから、釣り人に優しいと思うが、それでも実は釣果の差が出てしまう。そこにヘラブナ釣りの奥深さがあるのだろうが、同じ仕掛け、同じ餌、同じまぶし粉を使っていても、圧倒的な釣果の差となって表れてしまう。
 その差を如実に感じながら、益々熱くなっていくのもヘラブナ釣りだろう。


 メーカーの用意してくれた餌を使うのも良いが、あれこれ考えてうどんを作り、それ以上にあれこれ考えてまぶし粉を擦るのもまた楽しい。
 釣りをしている間だけが釣りではなく、仕掛けを作っている時間、針を結んでいる時間、そしてうどんを作りまぶし粉擦る、この間もヘラブナ釣りの楽しみだろう。
 おっと!うどん餌は釣り堀や箱釣りでお試しを、私は野池でも使っていたが今では釣り難いと思います。