冬期こそ餌を考える時期 ペレット編
養殖魚の世界では、第一に考えられているのが経費の削減であるのは間違いないでしよう。それは商業取引をしている限りいつも付きまとう第一の問題ですよね。特に原価的に高価となるのは間違いなく人件費です。その人件費の削減を計るためにも飼料は考えられています。飼料の与え方が面倒だと大きな問題になりますので、人手を必要としない機械的に自動給餌できる装置が使われています。そうなると小粒で乾燥している事が条件となるでしょう。
当然飼料そのものの価格もとても重要で、飼料メーカーも人件費と原材料に対してはとてもシビアーな対応をしているのも間違いのない事実です。
その上で原材料費を如何に下げて、尚かつ歩留まりが良く生産し成長の早い飼料が開発されていきます。
飼料はこのように人間側の都合で考え出されたものであり、飼料を与えられる側のこの場合はヘラブナを限定と致しますがヘラブナの嗜好は考慮されていません。
例えば牛は、誰もが知っているように草食獣です。牧草を主に食べ続けるために胃が5つもあり反すうを繰り返して消化吸収をしていきます。ですが人間側の論理では、牧草ばかり食べていては牛そのものの成長速度が遅く、ある一定の重量まで生長させるには、飼育期間が延びてしまい結果として、肉質も悪くなり経費もかさむことになるために、同じ牛の死体つまり肉骨粉を混ぜて食べさせ成長速度を早めています。
本来草食獣であるはずの牛に肉食をさせる事で無理矢理生長をさせるわけです。当然無理もありますので、色々な薬品添加をして食べさせ続ける必要が出てきます。病気にもかかりやすくなりますので抗生物質なども添加されているようで、一時期問題になった生肝には多量の薬品が蓄積していますので、食べない方が良いに決まっていたのですが、食品として出回っているのも事実でした。
今でも牛・豚・鶏の肝は売られていますが、鶏は特に多量の薬品が使われている様子ですから極力食べる事を減らす方が良いと個人的には思っています。
話が逸れましたが、ヘラブナの養殖について話を戻しましょう。今では一部の飼料メーカーはフナ用として開発されていますが、多くの場合はコイ用を流用する形が取られています。同じ淡水系の魚ですからそれで良いのでしょうが、鯉はフナ以上に雑食性で小魚やザリガニも食べてしまいます。ですがフナがザリガニを食べたなんて聞いた事がありません。
フナにもギンブナやキンブナそしてニゴロブナと数種いますが、基本食性は違っています。ですがこれらを養殖または飼育しようとすると、飼育数量の多いコイ用が元原料として使われているはずです。
コイ用は養殖用と観賞魚用に大別する事が出来るのですが、生長促進には養殖用で十分で観賞魚用には、それらを元にして色揚げ効果を高めた飼料が添加されます。エビやオキアミなど甲殻類の色素が利用される事になります。まぁ生長段階で幼魚用など時期に合わせた飼料も開発されています。
ではヘラブナ用の飼料として考えるなら色揚げは必要ありませんが、成長促進のために魚粉が大量に使われています。魚粉つまり魚を乾燥粉砕したものです。
ではヘラブナはフィッシュイーターだったでしょうか。
海の魚は基本フィッシュイーターつまり口に入る程度の魚を捕食します。ピラニアのように肉をかじり取って食べる魚は例外で、基本的には口に入る程度の魚を補食してしまいます。淡水魚では誰しもが思うのはブラックバスや琵琶湖固有のハスがいますね。オイカワとは違い(似ていますが)口が明らかに大きい種です。
フナ類でフィッシュイーターはいません。雑食性のギンブナでもミミズや赤虫程度しか捕食しません。水生昆虫を補食する魚はフィッシュイーターには分類されませんが、ヘラブナも昆虫を補食すると考えられます。
釣り場でナメクジを落とすとパクっと食べてしまいますので、ミミズや赤虫など陸上の虫も補食しますが、小さな木の葉は吐き出してしまいます。という事は陸上植物は食べないが昆虫も含めて虫類は補食するといえるでしょう。
*釣り堀で生餌禁止と書かれているのは、この点が含まれているのかも知れません
さて、ヘラブナの養殖には、ペレットが利用されています。先に述べてきましたようにペレットは成長促進と経費を抑えるために与えられている飼料です。つまりヘラブナの嗜好に合わせているわけではない事になります。
ここで、いやいや好んで食べるではないか!との意見が出るはずです。
釣具メーカーも集魚材と称して、ペレットを粉砕したクランブル状態の餌が売られています。ペレ匠や粒戦がそれでしょう。団子餌に集魚材としてこれらを添加して釣られている方も多いと思います。また我ら両うどん釣り師達のまぶし粉は、基本ペレットをクランブル状にしたものです。その荒さは個人の経験と好みによって使われています。
誰しも疑問に思わないこのペレットに疑いを掛ける事か今回のテーマです
やっとテーマにたどり着きました(笑)
飼料は生産性が基本であることは間違いありません。ですからよく食べる事も絶対条件です。
ペレットで育っているのでペレットをよく食べて当たり前だとの論理が成立します
その答えは合っているのでしょうか
私は、熱帯魚を含めて魚類を現在も飼育していますが、観賞魚店で売られている餌はどれでもよく食べる・・・なんてことはないのです!
熱帯魚の中にはフィッシュイーターが多数います。ナマズ系は勿論の事でピラニアや今話題になっているアリゲーターガー、その他ピラルク・アロワナなど多数飼ってきました。
基本の餌は、小赤と称する金魚です。縁日で金魚すくいするあの金魚は、真夏以外では金魚すくいようより餌として利用される方が多いのですが、餌として毎日与えるには高価ですので、日本に限らず熱帯魚の飼育先進国であるドイツのメーカーも代用飼料を多数販売しているのですが、やはり金魚にはかないません。
それらの代用飼料の多くは、ペレットのような混ぜ物がされている乾燥したものですが、余程慣れさせなければ食べようとはしません。
次に代用品としては乾燥エビです。多くは淡水性のシラサエビ系が利用されているようですが、東南アジアやアフリカなど原料の安い地域から輸入し加工されていますが、フィッシュイーターの魚たちは、この乾燥エビは代用飼料よりは捕食しますが、やはり金魚には及びも付かないのです。
養殖魚でこのフィッシュイーター的存在がウナギです。ウナギが狂ったようにペレットの団子にむしゃぶりついている光景を見た事は多いと思いますが、あれはウナギ用ペレットを湯で練って団子状に仕上げたものです。
*前回のブログでこのウナギ用のペレット粉末を混ぜる方法をお伝えしました。
熱帯魚にはフィッシュイーター以外に水中昆虫食も多数います。1番食べるのがイトメです。ミミズの何十倍も小さな虫ですが、その昔には道路脇の溝に多数住んでいましたが、それ以外ではミジンコでその次には釣りにも使う赤虫です。これにらも代用飼料としてフレーク状に乾燥した飼料がドイツメーカーから売られていますが、それら以外にも乾燥イトメに乾燥ミジンコ・乾燥赤虫とありますが、やはり捕食率はとんでもなく低いのです。
生体に近い冷凍赤虫や冷凍ミジンコは争って捕食しますが、何故か乾燥するだけで食べようとはしません。本来食べるはずの虫ですから乾燥しただけで食べようとしないのは何故かとなるはずです。
そのような餌を色々と与える状態を見ていて、飼育魚に対してペレットの粉末やクランブルを与えてみると、初めは殆ど食べようとはしません。見向きもしないのですが、食べ出すと成長がとても早いのです。他の餌と比べてこの差はとんでもなく大きくて驚きを隠せません。
色々な餌を試しに与えていたのですが、そのなかで1番食べないのがペレットだったのですが、1番生長したのもペレットだったのです。
このようにペレットが如何に成長促進に特化した飼料であるかがわかるというのです。
反対にいえば魚の嗜好は考慮していないのです。餌を絶ち空腹時様態を何日か続ける事でペレットを食べるようになるのです。それ程に実はペレットは好んで食べたいとは思わない餌だとわかります。
その為に色々なアミノ酸を添加して食べ残しを減らす工夫がされているのが、これが養殖用ペレットの本質となります。
となると本当にペレットは集魚材として有効なのかとの疑問が出てきます。
養殖時代に食べさせられていたからペレットに慣れているのだから食べる!・・はずとなるのですが、そうだとは私は思えないのです。
前出のフィッシュイーダーが、代用飼料に慣れたとしても金魚を与えると水槽内で大暴れして金魚を追いかけてしまいます。代用の餌では落ちてくる餌を静かに食っていた魚が、まさに目の色を変えて捕食するのです。
フレーク状の餌に慣れている熱帯魚でも同じです。ランチュウなどを飼育している人はわかると思いますが、金魚用に餌を幾ら与え続けていても、ミジンコを与えると狂ったように食いだしてしまいます。
盛期や温暖な時期は別として、冬期の餌に対する関心が薄れてしまっている時期にこそ何が良いのかを見つける事で、厳寒期の中でも特別な釣りが成り立つのではないでしょうか。
その餌は何か!!
となるのですが・・・そんなの知りません!(笑)
そんなのわかっていたら苦労はしません
でも、ペレット信仰は疑問に思うべきでしょう
そこから何か違った答えが見つかるかも知れません
トーナメンターの人達はメーカーお抱えでしょうから、与えられた条件の中で頑張っておられますが、日曜釣り師は自由です!
何かを見つけてしまう事で、そんなトーナメンター達をギャフンと言わせるのも痛快かも知れません(笑)
勿論どんなに良い餌を見つけたとしても、私のように腕が追い着いていない者では宝の持ち腐れです。
ベテラン諸氏の幸運を!いや始められたばかりの初心者こそ、ベテラン達に泡を吹かせるのも痛快かも知れまんん。
但し何でも程々です。恨まれるほど釣り上げるのは厳禁ですよ!!
池を汚すような餌は禁物です!!
生態系を狂わせるような物質も使ってはいけません!!
好餌のヒントは文中に隠れていましたがわかりましたか?
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