両うどんのヘラブナ釣り

ヘラブナ釣りで人生を楽しんでいる日曜釣り師です

常時50枚の釣果と大助を釣り上げるために

 ヘラブナ養殖飼料からみるペレット

 釣り対象魚としてのヘラブナについて直接的有効な餌という意味ではなく、養殖に適しているペレットはどんな組成をしているかを解説してみます。
 その中から自分に合った飼料を釣り餌に利用するかどうかは個人の考え方としたいと思います。


 先ず、茨城内水試験場の実験による資料を利用させて頂きました。その他各地の内水試験場のデーターからも抜粋として利用させて頂きました。



 ヘラブナ用飼料としてペレットが使われている事は先のブログにも載せています。また飼料から釣り餌への加工もされている事もお話ししていますが、飼料としては圧倒的に消費量が多かった鯉用が基本餌であった事も書き続けてきました。


 現在内水面で養殖魚は、単価ベースではウナギが圧倒的価格として取引されています。続けて鯉・ニジマス(その他イワナなどの渓流魚)・鮎・金魚類・スッポンそしてヘラブナの順でしょうか。出荷トン数では鯉がウナギの倍以上を締めます。
 当然飼育数量の多い順と採算ベースに乗る対象魚別に飼料が研究され、よれ生産性を高める工夫がなされています。
 内水面での漁獲量としては、断然シジミがトップに来て次はワカサギ・シラウオと続きエビ・鮎・フナと続きますが、鯉は1%程度であり出荷の多くが養殖魚だという事がわかります。


 ところが出荷トン数の多かった鯉の消費量が減少してしまったため、養殖業者が次に手がけるものとして浮上したのがヘラブナで、これは全く同じ設備で飼育が出来る事に他ならないからですが、そこで乗り出してきたのが茨城内水試験場となります。
 養殖業を支えるためにも存在するのが試験場ですから、より生産性を高めるにはどのような飼料が適しているかを研究する事となります。


 過去の事例からヘラブナ養殖池でアオコが発生するのは、ヘラブナが飼料を食べ残したことが原因とわかっています。
 アオコは、ご存じのように淡水産単細胞藻類です。今までの釣り人としての常識では、ヘラブナは植物性プランクトンを捕食している事になっています。ですがこのアオコを補食しているヘラブナを見た事がないのです。養殖池に大量発生した状態を見て養殖業者が餌を減らす事が出来るなんて話は全くしないのです。それどころか死活問題となります。
 アオコの大量発生は、魚貝類を一斉死滅させる原因となるからです。
 その為に養殖池では、アオコを如何に発生させないかと腐心する事となりますが、養殖業者としては、ヘラブナの飼料捕食率を上げる事で水の富栄養化を防ぐ対策が迫られるわけです。


 そこで試験場としては、捕食率を上げるための対策としてペレットに含まれている成分率を変える事で、ヘラブナの補食率に効果があるかとの実験をすることになります。
 その実験効果は体重の増加をバロメーターとして計ることが出来ます。飼料に対する含有率の違うグループを一定期間飼育することで、他のグループとどのような違いが出るかとなるのですが、いよいよ本題です。遅いですねぇ(笑)



 ペレットに含まれる祖タンパク質の量の違いがあることは既にお話ししていますが、それの裏付けとも言うべき数値が発表されています。
 祖タンバク質量は次のグループに分けて実験されました。
 1.15%
 2.20%
 3.25%
 4.30%
 5.35%
 結論としては、25%が1番体重増加しているグループでした。次が20%と35%が同程度で次が20%でした。この結果タンパク質量が多すぎても少なすぎても適正量ではないことがわかります。
 また鯉は祖タンパク質量は35%と高い率が成長率も高いこともわかっています。


 ここでわかることは、鯉用のペレットはヘラブナの捕食率が下がる、つまりあまり食べないということです


 次に第一リン酸カルシウムの含有量も調べられています。0.数%の単位での違いが調べられていますので、釣り人的感覚でいえば数字がとても小さいので気にする範囲ではないのですが、少ない方が適している(1.0%以下)ことも実験でわかっています。
 鯉用は1.9%と比較的高い数値となります。


 この第一リン酸カルシウム量も鯉用は高いのでヘラブナは食べにくいのです



 これら実験によってヘラブナに対する飼料は、鯉の飼料に比べるとかなり低タンパクと低リンとの実験結果となりました。また同時に給餌量も実験されているのですが、鯉の60%程度の給餌量もわかりましたので鯉より養殖に適しているとの答えも出ています。
 ただ、琵琶湖畔では鮒寿司として食用さされていますが、釣り対象魚としての消費量だけでは養殖業者の生き残りは難しいのでしょう。



 随分横道に逸れてしまいましたが(いつものことです(笑))。釣り餌としてペレットを利用する場合、実験の結果として祖タンパク質割合が少ない方が捕食率は高いのですから、これからまぶし粉や集魚剤としてペレットを利用する場合も、祖タンパク質量の少ない製品を選ぶ方が良さそうです。


 釣り餌として見分ける方法は色白のペレットを選ぶことです。
 養殖用飼料には袋に印刷されていますので確認可能です