両うどんのヘラブナ釣り

ヘラブナ釣りで人生を楽しんでいる日曜釣り師です

常時50枚の釣果と大助を釣り上げるために

 ヘラブナ釣り ダイワ兆 シマノ本式 再検証

 今まで色々なヘラ竿を使ってきました。入門用のカーボン竿から竹竿に合成竿そして軽量系の竿や競技用の竿そして趣味性の高い竿と試してきました。その竿の特徴は当然短竿よりある程度の中長竿だからこそ違いが如実に表れると感じています。


 10年ほど前までは竹竿で17尺や18尺を使っていたこともありますが、現実問題としてとても重くて1日使い続けるのは一種の拷問と感じるほどになってしまいました。竹竿の実用尺数としては14尺以下のように感じていますが、それでも軽量系の竿を使っているとついつい竹竿を繋ぐことが億劫になってしまいます。
 ただやはりなんといっても釣り味として竹竿は一級品です。現代的な硬調子より竹竿本来の本調子こそ、竹竿の特徴を表していると感じるのですが、それでも大助サイズを釣り上げるには至難の業で、おっとやそっとでは寄せることが出来ません。その時間のかかる寄せこそ釣り味を楽しむ時間なのでしょうが、釣り上げると腕がダルダルになって次の打ち込みが直ぐに出来ないほどに疲れてしまいます。


 そこで釣り味を楽しむカーボン竿となるのですが、私的にはなんと言っても兆に勝るものを知りません。実はダイワの天峰剣も好きな調子でした。今では月光がその調子を引き継いでいますが、月光よりずっと本調子に味付けされているのです。
 それほど兆を気に入っているのですが、それは各社のフラッグシップ竿を使ったことがないためでもあります。ダイワの枯法師やシマノの独歩(カタログ落ち)は全く知りません。増してシマノの獅子吼なんて見たこともありませんが、各社が競って作り上げようとしているのが、竹竿の釣り味を如何にカーボンロッドで実現できるかに腐心していると感じます。


 それは各社が竹竿の良さがわかっていると言うべきでしょうが、同時にメーカーお抱えのテスターが懐古趣味的に竹竿の良さを強調しすぎているのかも知れないと思うんです。私自身竹竿の釣り味の良さは理解しているつもりですが、それでもカーボンの優位性は否定できません。その最たるものは軽量化です。竹竿が幾ら好きだとしても1度カーボンの軽さを覚えてしまいますと、中長尺では間違いなくカーボンを手にする機会が増えると思っています。


 そういう意味でも当然カーボンの先進的な特性は軽量で高弾性なわけですから、それを如何に本調子に向けていくかはとても高い技術力が必要です。結果として塗装も竹竿に似せた段巻きや飾り節などの装飾が施されたりするのですが、そこまで竹竿に謙るようなものつくりは余り感心しません。竹竿に似せるのではなくてカーボンロッドらしい先進性の仕上げでも良いのではと思えてしまいます。つまり竹竿は竹竿の良さがありカーボンらはカーボンの良さがあるわけですが、それぞれを理解して区別した位置づけをすべきではないかと思ったりします。


 ただ釣り味としては竹竿的な仕上がりが今のところ好きですから、カーボンらしい操作性を残しながら本調子を実現させる。それこそ各社が目指している方向ではないでしょうか。そういう意味では今まで使ってきたカーボンの中で竹竿に似た調子の本調子が実感できる竿はダイワの兆だと私的には思っています。塗装も朱色の強い段巻きには好き嫌いがあるとしても、カーボンらしく竹竿とは一線を画していると思うのです。


 当然同じ本調子といえども元々の竿の重量が竹竿の半分以下しかありませんが、持ち重りとしてのモーメントは何倍もの違いがあるはずです。それを1日振り続けてもそれ程疲れないですむのですが、竹ざ゜おの中には重量はあるものの先が軽くてとても操作性の良いものもあります。反対に兆は現代のカーボンの中では先重りを感じてしまいますので、操作性の軽さを取るか本調子の優雅さを取るか、竿選びとしてはなかなか難しいところかも知れません。


 あるときのことです。シマノの本式から兆のに持ち替えたのですが、そのときの感触がとても面白かったのでご紹介しておきます。


 本式はどちらかというと先が軽い先調子に仕上がっています。それは神威のような胴が全く曲がらないような極端な先調子ではなくて、イメージとしては7:3に近いでしょうか。それが兆では6:4か場合によっては5:5と感じるほど胴が曲がるのですが、それより本式から持ち替えた瞬間手元がグニャと曲がるとの感覚を受けたのです。それも握りのすぐ前から曲がる感触です。それは釣り上げて引き寄せるときの感覚ではなくて、合わせた瞬間に竿の曲がりを手に感じたのです。それはそれはとても不思議な感覚を覚えたのです。


 ただその感覚は釣り続けると消えてしまいましたが、本式の元竿の堅さとの対比として兆の元竿の柔らかさの違いが、手元から曲がる感覚となって現れたと思いますが、それ程兆の柔軟度が高いと感じたのです。
 とはいえ昔の軟調子とは全く違っています。その昔の軟調子は竿が簡単に曲がって主導権はヘラブナにあり、全く寄せるどころかフニャフニャと曲がり続けましたが、兆はその柔軟な胴調子でもすーっと寄ってくる。そんな取り込みが出来るポテンシャルの高さを感じたのです。
 メーカーの宣伝文句には硬式胴調子となっているのですが硬調子とはあまり感じません。


 また反対に本式の良さは、先調子でありながら胴が極端な堅さがありませんので、ヘラブナの強い引きを上手くいなしながら寄せられる調子であり、竿先がとても軽いと感じるので軽く合わせや取り込み方が出来るのです。その為に風の強い日などでは兆より本式の方が的確にポイントに打ち込めて使いやすいと感じました。


 この本式の先の軽い様子や軽快感は先調子の代名詞的な神威とは全く違っていて、神威では極端な胴の堅さと9:1調子とも思えるほどの極端な先調子ですから、実際の重量よりとても竿が重いと感じました。
 また胴調子である煉とも全く違っていて、煉は全体として胴調子に仕上がっているのですが、その胴がとても強いために強い硬調子に感じてしまいます。この部分はダイワのHERA Xも同じような竿全体を曲げる胴調子の硬調子ですが、Xの方が柔軟度が高く軽さも感じます。


 今はこの兆と本式をメインに使っているのですが、そこにHERAF Xを混ぜて使い分けています。偶にHERA FとSの軽量系も取り混ぜるのですが、ゴツゴツとして手応えは好きになれずこの兆と本式に戻ってしまいます。


 この竿の差はそれこそ好みとしか言い様がありませんので、どちらが優れているとは言えませんが、カーボンで本調子を味わうなら兆であり、とことん釣り込むなら本式だろうと感じています。どちらを手にしても失敗したとは感じないのではないでしょうか。


 但しこれはあくまでもある一定の中長竿の話であって、14尺以下の中短竿は全く別の感想を持つような気がします。事実あれほど極端な先調子と思っていた神威が14尺では胴の強さが全く感じなかったのです。
 また他の持ち重りをしていた竿ですら短竿では全く苦になりませんので、正直短竿では竿の差をそれ程感じないと思いますので、無理に高価な竿は必要がないのではないかと思ってしまいました。勿論競技に使われる場合は別でしょうが、日曜釣り師としては如何に1枚のヘラブナを楽しむかですから、釣り味を感じるためには中長竿を使いたいと思ってしまいます。


 この釣り味を如何に味わうかが高価な部類に入る竿を手に入れる価値だと感じています。


 ヘラブナをただ1枚でも多く釣り上げるのではなく、数は極端に伸びなくとも1枚のヘラブナを如何に楽しむか。競技会は否定しませんが数釣りではなく1間対を大事にする、そんな楽しみがあって良いのではと思うのです。なんていいながら毎日曜日には1枚でも多く釣るためにと苦心しているのですからいい加減な話ですが、私たちの大会は幸か不幸か数釣り競争ではなくサイズ競争ですから、1枚でも多くとの釣り方ではないのが救いでしょうか。   
 
 ん?これは数釣りが出来ない下手くその言い訳かな?(笑)