両うどんのヘラブナ釣り

ヘラブナ釣りで人生を楽しんでいる日曜釣り師です

常時50枚の釣果と大助を釣り上げるために

 ヘラブナ釣り 釣り方の変遷(浮く餌・沈む餌)

 ヘラブナ釣りに於いて、新しい釣り方や釣り方の工夫を何かされていますでしょうか。時代と共に釣りも科学なのでしょう、新しい釣り方が考案されていきます。それに連れて見合った釣竿が開発され、その恩恵を現代の釣り人は受けているわけですが、先人の考案した釣り方がいつまでも最良とは限らない証拠かも知れないと、先日釣りのテレビを見ていて感じたのです。


 その昔には黒鯛の磯釣りに良く行っていたのですが、磯釣りは他の釣り方に比べて釣れる地合も短く、特にホームグラウンドであった日本海の小浜では、盛期には夜中の2時から遅くても3時には磯に上がり、懐中電灯の明かりを頼りに仕掛けの準備をして、空が白みだす4時前から電気浮きを着けて釣り出して、すっかり明るくなった8時には道具を仕舞い遅くとも9時には引き上げるようなまさに短期集中型の釣り方だったのです。
 その当時の釣り方は、1号か2号のガイドのある磯竿に道糸もナイロンの2号か3号を巻いたリールを取り付け、1.5号のフロロカーボなのハリスに伊勢尼の9号かチヌ針の4号程度の針で、長い棒浮きを使って3ヒロから4ヒロの間で遊動浮きにして釣っていたものです。
 その当時でも太平洋側では沈み浮きや玉浮きが使われていたのですが、日本海は比較的穏やかな海だったので棒浮きでもとても見やすく、黒鯛もスレていなかったのかも知れませんが、大きな当たりを返してくれていたものです。
 磯際に撒き餌をしてそれに同調させる釣り方が一般的で、如何にその撒き餌の流れに刺し餌を乗せるかも釣り技の1つでした。
 それが現代の新しい磯釣り方は、浮きも見ずに完全フカセの釣り方をするようです。浮きは付いているのですが、それは仕掛けを投げるためのものであり一定以上に刺し餌が沈まないためのもので、磯際ではなくて遠投して釣るのですから、昔の常識は全く通用しません。
 その釣り方自体は随分昔からではあるのですが、ポカン釣りというのがありました。サナギを撒いてその流れの先で黒鯛が水面にまで音を立てるように食い上がるのですが、それに合わせて仕掛けを流して釣る方法はありました。ヘラブナで言うところの上ずり現象ですね。
 現代の釣り方はポカン釣りの延長というよりは船からの釣り方の応用と思われます。船の場合は船上からオキアミを直接撒いて流れ任せるのですが、完全フカセの仕掛けを船尾から流し、撒いたオキアミの流れに同調させる釣り方があるのです。その場合も魚が食いついたら道糸が飛ぶように出て行くのを見て当たりを判断します。それを磯にも応用するようになって、浮きを見ずに糸が走るのを見て当たりを取る釣り方になっているようです。
 そういえば船用の竿も随分と変わってしまって、あんなに極端な曲がり方をして良いのだろうかと、とても軟調な竿を使われていますが、昔を知っている私にはとても違和感のある竿だと思えてしまいますが、その古い考え方が既に時代に乗り遅れているのです。


 また鮎釣りでも8.1mの竿に10m程の長い仕掛けを取り付けて、竿を高く捧げるように持ち上げて、オトリ鮎を流心近くに送り出す操作をしていたのですが、その鮎をポイントへ送り出す操作に腕の差があったわけです。素人ではそうは簡単に送り出すことが出来ず、足下をウロウロとさせていて一向に釣りにならないのです。
 また取り込みには竿を肩に担ぎ、長い道糸を両手の指でつまんでたぐり寄せ、腰に差したタモ網に吊るし上げてタモに落とし込むのが、1つの鮎の友釣りのスタイルとなっていました。
 腰のタモ網も京タモが主流でシルク素材の羽二重で作られていて、水に濡れることで生地が膨張し水漏れしない、それは合理的な道具が使われていました。


 それが今は平均的には9mですが徐々に短くなりつつあるようですが、仕掛けも9.5m程度になりポイントである流心まで空中輸送してポチャンと落とし、鮎が掛かれば抜き上げて空中に直径39㎝もあるタモ網でダイレクトキャッチして取り込むスタイルとなりました。
 風情がなくなったといえばその通りですが、合理的になりオトリ鮎も弱りにくいので主流になっている釣り方です。
 まぁ、今では流心で喧嘩をふっかけるような鮎も減ってしまい、群れで泳いでいる鮎の中を泳がせて、喧嘩ではなくて仲良く泳ぎだした鮎を引っ掛けるような釣り方になっているのは、鮎釣りの楽しみの殆どをスポイルしてしまっているようで、私には出来ない釣り方と思っていますが、数を稼ぐための釣り方なのでしょう。
 正直言いましてその釣り方をしている限り、やはり鮎釣り人口も減って幾日が居ないと思っています。あの豪快な竿をひったくるような当たりを知っている者にとっては、今の釣り方は性に合いません。出来るだけ激流の中に立ち入ってオモリを噛まして無理矢理激流の中を沈めて、豪快な当たりを感じたいと思っていますが、歳と共に難しい釣り方であるのは間違いありません。命をかけてまでの釣りはバカの骨頂ですから、激流は無理だとしても急流で釣りたいものです。


 このように時代と共に釣り方が変化していくのは、既に先人が確立したであろう釣り方には、まだまだ改良の余地が残されている証拠だと思うのですが、ヘラブナ釣りの釣り方は、他のどの対象魚よりも多様な釣り方を既にされていると感じています。でも案外まだまだ見つけられていない釣り方があるのでは無いかと思うことがあります。


 カッツケ・淺棚・深宙・段底・バランスの底と多様な釣り方が既にされていますので、全てが解明されているような気もしなくはないのですが、棚の違いや浮きの違いハリスの長さなど、それこそ無限の組み合わせがあるのですが、その中で何をチョイスするのかは釣り人の好みに時期や場所によるのでしょう。
 その昔のヘラブナは、サイズも小さくて30㎝を超えると大助と言っていたはずです。それ程小さなヘラブナを相手にしていたためか、仕掛けもとても繊細で0.2号通しで針も2号程度でしょうか。浮きも3ミリ程度の棒浮きに髪の毛程のムクトップが突いていました。
 それが今ではハリスも0.5号なんて当たり前でもっと太仕掛けを使われる方もいますし、浮きもパイプトップで浮力のしっかりとしたものが使われています。竿もそれに合わせて腰の強いものに変わっていていますが、最近は柳や玄むくのような軟調系の竿も出させていますので、少しずつ釣り方も変わっているのかも知れません。


 しかしそれ以外にはもう新しい釣り方は残されていないのでしょうか。案外人知れず新しい釣り方を考案されていて、ひとり爆釣を重ねている釣り師が居るのではないかと思ってみたりもするのですが、何となくというか暗黙の了解のように、ヘラブナ釣りでは御法度の釣り方も存在していますので、新しい釣り方を見つけ出すことには繋がらないのかも知れないですね。
 反対に時期によって良く釣れる人や時期によって大助を釣り上げる人は、年中同じような釣り方をされているのかも知れないと思うんです。


 さて、色々な釣り方があったとして、それに見合った餌が使われるはずですが、その餌は浮く餌か沈む餌かをどの程度理解して使われているのでしょう。
 団子餌の中には、少々強く丸めても浮いてしまう餌があります。ポンと池に落とすと水面で浮かび続けその場でバラケだし、塊としては一向に沈まない餌があります。
 また丸め方次第で浮く餌や沈む餌を作ることが出来るものもあります。反対にどんなにソフトに針付けしても沈む餌もあります。


 極々普通には浮く餌は中層の釣り方で使うでしょうし、沈む餌は底で使うのでしょう。それは至極当たり前の話ではあるのですが、実は中層で釣るときには沈む餌、底で釣るときは浮く餌を使う方法があります。
 中層でヘラブナがはしゃいで仕方ないときは、バラケを押さえた底釣り用を試してみると良いと思っています。反対に底釣りでウケが出ても食い当たりに繋がらない場合は、ばらける餌を使うと簡単に食ってくることがあります。
 かといってその餌を使い続けるとバランスを崩してしまいますので、どのように使い分けるかは悩まし所ではあるのですが、餌メーカーのうたい文句に左右されない、釣り人自身の判断で使い分けると面白い釣りが出来ると思っています。


 また両うどんの底釣りではまぶし粉を使うのですが、そのまぶし粉は見た目は同じでも浮く餌と沈む餌があることを案外知られていないようです。
 同じように釣っていてもヘラブナが簡単に上ずってしまうのは、案外浮くペレットを使っている可能性があります。


 元々ペレットは鮒用より鯉用を使われていました。その鯉用のペレットを砕いたいわゆるクランブルと称して、サイズによって3C・4Cとあるのですが、元のペレットが浮くタイプの場合は、砕かれていたとしても簡単に浮いてしまうのです。
 釣り終わってまぶし粉を池の中に捨てて帰る人がいますが、本当はゴミ箱に捨てるのがルールです。その捨てられたまぶし粉を見ていると殆どが水面に浮いているのです。
 当然浮くまぶし粉をうどんに付着させていると、上ずりが増えてしまうのは仕方ないのですが、元々沈むタイプの餌であったとしても、細かく砕くことで表面積が増えてしまい、結果として浮いてしまうまぶし粉になっている場合があります。
 その状態をしっかりと把握して、どの程度のドロを使うべきか、どの程度コロコロで押さえる必要があるのかを、うどんの状態と上ずり方を確認して対応する必要があると思っています。


 その上ずり防止にもキット他の方法があると思っているのですが、一時期ですが若干まぶし粉を湿らせて使っていたことがあります。その方がいち早く沈んでくれると考えたのです。が・・・ 
 湿ったタオル・乾いたタオルの実験を小学生の頃だったでしょうか、そんな実験をした経験は無いでしょうか。タオルをピンと張り上から水を落とすとタオルを通して下に落ちるまでの時間を見る実験ですが、常識的な感覚では乾いたタオルは水を吸水しますので、垂らした水は直ぐに落ちてこないと思うのですが、実は一旦濡らしたタオルは、水を受け止めてしまって落ちてこず、乾いたタオルは素通しで直ぐに水が落ちてしまうのです。


 つまり湿らせたまぶし粉作戦は失敗に終わったのです(笑)。じゃ寄り乾いているほうが良いかとなるのですが、まぶし粉そのものの性質として、乾けば乾いている程うどんに対する付着力が増します。その結果として簡単にうどんから剥がれずに底まで沈んでくれるのです。
 つまり余計なドロやコロコロで押さえる必要もない事になります。


 但し!!うどんにまぶし粉が付着するためには、うどんが濡れている必要があります。濡れているうどんの水分を吸水することで、まぶし粉はうどんに付着する力を得ることになります。実験で乾いたうどんにまぶしてみればわかりますが、全く付着することはないのです。反対に着けすぎたまぶし粉は簡単に剥がれてしまいますので、着けすぎは厳禁となりますので注意が必要です。


 とんかつ屋さんでとんかつを揚げる姿を見たことがないでしょうか。とんかつに小麦粉を付けて、その次には生卵を全体に付け、それからパン粉を付けているはずです。豚肉にはある程度の水分がありますので、小麦粉程度は付着しますがその上からではパン粉が付かないのです。味を良くする理由もあるでしょうが、卵で厚く濡らすことでパン粉のような荒い粒子でも付着させる事が出来ます。
 ただしそのパン粉が付きすぎていると油の中で散ってしまいますので、余分なパン粉をハタいて落としているはずです。
 うどんのまぶし粉も同じ事で、余分に付いているまぶし粉は沈むタイプだとしても、水面で簡単に剥がれてしまいますので注意が必要なんです。ただ人より余計に寄せようとする心理が働き、これでもか!って程にタップリと付けてしまう人がいますか、完全な逆効果になってしまっていると考えます。
 そんな人に限ってじーっと当たりを待っている姿を見受けられますが、それもその方の釣りスタイルだとすると理にかなっているのかも知れません。


 まぶし粉のサイズによっても剥がれる速度の差がありますので、自分はどの程度で当たりが出て欲しいのかも考えながら、付着の仕方やクランブルサイズを決めると面白い釣りが成立すると思います。


 私はいつものようにせっかちですから、うどんから剥がれる時間は少しも待っていられないのです(笑)。この性格から直さなければ良い釣りが出来ないのかも知れないですが、コレばっかりは簡単な事ではないんですよねぇ。
 取り敢えず1分以内に当たりを出す!これに尽きるのですが、水温の低下と共に遅くなってしまいますのでどうしたものでしょう。
 そうそうそんな私ですが、竿を握らずに1分2分浮きの当たりを無視しやおら竿を持ち直して、軽く誘いお掛けてからツンと入る当たりを合わせる釣り方をすることもあります。
 これって高確率で釣れてきますので1度お試しあれ。