両うどんのヘラブナ釣り

ヘラブナ釣りで人生を楽しんでいる日曜釣り師です

常時50枚の釣果と大助を釣り上げるために

 ヘラブナ釣り 水温低下時の引き出しその4-4

 仕掛け全体について個々の対策は別として、大体の所は押さえたと思うのですが、それぞれの細かな調整は釣り方にも寄りますので、自分なりの工夫を加えて頂きまして、依り釣果の上がる釣り方を突き詰めて頂きたいと思うのですが、もう一つのポイントになるであろうヘラ竿そのものについて付け加えておきます。


 ヘラブナは竿を選んで食ってくるわけではありませんので、どのヘラ竿を使おうが同じはずです。でもそれが違うとしたらどうでしょう。
 ある竿を使うと30枚が限界だとして、別の竿を使うと50枚釣れた場合に、それは単なる偶然だったのでしょうか。


 大前提としてヘラブナの活発に動くシーズンであり、どんな釣り方をしようが釣果に大差ない時期は、それこそ竿の違いは出にくいと思いますが、これからシビアーな当たりが出だす時期に入りますと、誰も釣れない日に1人だけ釣果が伸ばせるとしたら、やはりヘラ竿を選ぶ必要があるのではないかと思えてきませんか?


 最低限14尺以下の中尺から短竿について竿の差は無い!と断言出来るでしょう。いや少しはあると思っていますが、その差は微々たるものですから気にしなくて良いと思います。それが15尺以上の長竿になると、釣果の差は広がるばかりだと思うのです。1日釣って5枚から10枚程度の差が出るとしたら如何でしょう。


 ヘラ竿の違いにはなにがあるでしょう。長短は取り敢えず横に置くとして、ヘラ竿を評価する場合に何を基準としているかですが、なんといっても先ずは竿の重量ではないでしょうか。


 仮に18尺を基準として話を進めたいと思いますが、シマノの閃光Lは18尺で80gです。比較的新しく発売されている同じシマノの嵐月では105gあります。ダイワのヘラFXでは81gであり、同じダイワの兆では103gあります。
 両者の重量差はたった20gでしかありませんが、この20gが釣果の差になって現れてしまいます。
 またこの重量差には現れませんが、胴のしなり方もとても重要な要素であるのは間違いないのですが、まず重量差が何に影響を及ぼすかについて話を進めてみましょう。


 これからシビアーな当たり方を示すようになるのは誰しもわかっている事ですが、ホンの黒線程度の当たりも出るようになります。場合によっては線で表せない程度のクンと浮きにショックが出る程度の当たりが出るようになります。
 そんな小さな浮きの変化を的確に見定めて、間髪入れずに合わせをするには、軽量竿に軍配が上がってしまいます。
 そんな小さな当たりは取らないと豪語される釣り師もいますが、それではこれからのシーズンに数を稼ぐ事は諦めて頂くしかないのですが、少しでも数を伸ばしたいと思うのであれば、小当たりでも間髪入れずに併せられる軽量竿が間違いなく適しています。増して1日の内に何度出るかわからないそんな小当たりを的確に合わせて行くには、竿の重量はとても重要な要素となってきます。


 私の経験でしかないのですが、シマノの朱紋峰煉の16尺を使っていますと、合わせ動作は1日の後半にはとても緩慢になってしまいました。煉は16尺でも98gもあります。またとても胴が硬いので合わせショックが腕や肩の負担となり、軽快な合わせが出来なくなってしまいました。
 多くの場合は出番がなくなってしまった煉ですが、混雑している釣り場やヘラブナの強い引きが期待される釣り場では、胴の硬さ故にヘラブナに振り回されませんので積極的に使うようにしていますが、一般的な釣り場ではまず使う事がなくなってしまったヘラ竿の1つです。同じような理由で全く使わなくなったのが神威ですが、こちらは煉以上の腰の硬さがありましたので、非力な私には使いこなす事が出来ずに手放してしまいましたが、そんなに腰の強い神威でも13尺では柔らか過ぎると感じますので、同じ銘柄のヘラ竿だとしても違った印象を受けますから、全てが使い辛いとはいえないと思っています。


 この竿の20gの差は、ヘラブナを釣り上げた場合にはもっと差が広がってしまいます。ヘラブナの抵抗と竿の重さとの相乗効果でとても重く感じてしまいます。同じサイズのヘラブナだとしても、軽量竿だと腕に掛かる負担が遙かに軽いと感じる事が出来るのです。
 それは軽量竿でも腰の柔軟度が高い程、釣り上げるには時間が掛かりますが、腕や肩に対する負担が減りますので、1日振り回し続けても疲れる事が少ないのです。


 力のモーメントとの言葉は聞かれた事がありますでしょうか。いわゆるてこの原理ですが、てこは力点・支点・作用点から出来ています。釣竿の場合は、竿を持っている手が力点と支点が同じ位置になります。
 竿の長さが18尺の場合仕掛けも18尺あるとすると単純計算で10mあります。実際には角度が付いていますので、チョウチンの場合はそのまま6mとしても、3本の水深のある場合は、約13mとして計算するのが妥当でしょう。
 ヘラブナの重量が1㎏あるとして水の抵抗が0.5㎏、そしてヘラブナが逃げようとするチカラが1㎏の場合、竿先に掛かる重量はチョウチンの場合15㎏、3本の水深の場合は32.5㎏となってしまいます。これに比例して竿の重量を加味します。
 竿を持つには、この重量と釣り合うチカラが必要で、それをチカラのモーメントと表します。
 実際にはこの重量に速度を作用する竿の角度を加えますと・・・計算出来ません!


 実際にヘラブナの抵抗力は測った事がないのでいい加減な数値ですが、掛かり場所によっては竿が立たずに伸された事があるはずです。
 100gと80gの竿の重量差は、仕舞った段階では20gですが伸ばすと100g近い差になっているはずです。ヘラブナのチカラにその竿の重量差も倍数として掛かってきますので、竿を持つ手には毎回それ程の重量と均等が取れる腕の力が必要と言う事になります。そうなるとやはり竿の軽量化と柔軟度はとても重要な要素となるはずです。
 腰が硬い程その力は竿の柔軟度によって分散されず、腕や肩にダイレクトに伝わってしまいます。大凡ですが竿重量が20g近い差だとすると500g程の差になるかも知れません。
 重い竹竿が釣竿として成立するのは、その重量を打ち消す程の本調子のような腰の柔軟度に寄るところが大きいと思います。


 仮に1日の内で100枚釣り上げる釣り師は、いったい何回竿の上げ下げをしているのでしょう。的確な当たりだけを合わせたとしても、150回程度にはなるのではないでしょうか。私のようなへたっぴは、もっともっと上げ下げの回数が頻繁になりますので、たった20gの差がとてつもなく負担になってしまいます。


 また他にヘラ竿の柔軟性は重要な要素を示す部分があります。つまり小当たりを合わせる動作だけでなく、振り込みの容易さにも竿の特性によって違いが出る事があります。例えば竹竿の方がカーボン竿より簡単で的確な振り込みが出来ます。それは穂先や捕持ちの柔軟度に起因すると思うのですが、カーボンは比較的硬くて軽い仕掛けでは曲がり難いのですが、竹竿では簡単にしなりを見せてくれます。そのしなりの反発によって軽い仕掛けであっても飛んでくれるのです。
 このように竿の特性によって仕掛けの振り込みに的確さが加わるかどうかでも、その日の釣果に差が出てしまいます。


 仕掛けの重量によって違いも出るのですが、全体として堅い竿ではこの的確性が損なわれるように思うのです。そこは釣技の差でもありますので、私のような未熟な釣り師は少ないですから、私のような極端な差はないと思いますが、ヘラ竿による違いは必ずあるという証拠の1つでもあると思っています。
 あっ!基本私の仕掛けは軽いので軽い仕掛けの前提の話となっていますね。


 例えば、渓流魚を釣る方法としてフライがあります。フライは道糸(フライライン)の重量によって毛針を飛ばすのですが、遠くに飛ばす場合は硬いフライロッドで重いラインをつかうのですが、硬いフライロッドを曲げるだけのラインの重さが必要になるため重いラインが必要で、軽いラインではロッドがしなってくれないので全く飛ばす事が出来ません。反対に柔らかいロッドに重いラインを使うと、ロッドがラインの重さに負けてしまって反発力が使えなくなり、こちらも全く仕掛けを飛ばす事が出来なくなってしまいます。


 それはヘラブナ釣りでも同じ事で、自分の使っている仕掛け全体の重量に適しているヘラ竿が必要なわけです。寒さに伴って仕掛け全体が繊細になっていきますと、当然仕掛け全体の重量は軽くなっていきます。どんな軽さでも的確な振り込みが出来る釣技の持ち主は別として、私のような未熟さでは彼方此方に飛んでしまってポイントが作れなくなってしまいます。その為にも仕掛けが軽くなればなるほど柔軟度が高いヘラ竿が必要になるのですが、軽量竿が必ずしも柔軟度が高いともいえませんので困った事ですよね。
 一昔前にあったような軽ピンシャンでは釣りになりません。


 このような竿の重量や腰の硬さそれに竿の柔軟性について、始めに指摘しましたように短竿では差が出にくいと思うのです。ただ短竿であったとしても特性の違いはありますので、如何に的確にポイントに振り込むか、軽い合わせを頻繁に行い針掛かりさせる事が出来るかまた釣り上げるまでに掛かる時間など、仕掛け全体の重量と餌の重さなどを加味して竿選びが必要になってくると思っています。


 最後に矛盾した話となるかも知れませんが、軽量竿で強く引けない竿では回転が遅くなってしまいますので、腕力に自身のある方は軽量竿は反対に釣れない竿となってしまいます。最終的には自分に合った竿を選ぶしかないのですが、それを選び出すのもまた楽しい作業ですよね。


 別にヘラブナ釣りが数を稼げば良いとは言いません。重い竹竿で1枚を釣り上げる楽しみを感じるのも良い事です。
 どれが自分に合った釣り方なのかも併せて考える必要があり、人それぞれの楽しみ方があって良いわけですが、私のような欲張りは、釣れないシーズンこそ多く釣り上げたいですし、1枚を釣り上げる楽しみも味わいたいのです。同時に小心者ですから隣の釣り師に迷惑を掛けたくないがために、ヘラブナに弄ばれる事なく硬い竿でさっさと釣り上げたい時も出てくるわけです。


 そんな事を考えて毎回釣行を繰り返しては、ああでもないこうでもないと悩み続けているのであります。
 次回の釣行はどんな楽しみ方をすれば良いでしょうねぇ。冬の釣りになる前の強い引きを味わうために、腕が痛くなるような釣りを楽しむ事と致しましょうか。