両うどんのヘラブナ釣り

ヘラブナ釣りで人生を楽しんでいる日曜釣り師です

常時50枚の釣果と大助を釣り上げるために

 使ってみよう合成竿

 ヘラブナ用の竿としては、元々竹竿がありグラスロッドが発売されてからポリエステルが一時的に売り出され、カーボンロッドがオリンピックの特許技術として独占されている間は、ウィスカーやボロンなどの素材で発売されていたと何となくの記憶があります。
 その後カーボンの特許期間が終了すると共に、ダイワやシマノ、がまかつにリョービ、宇崎日新と色々なメーカーから発売されるようになったのは、皆さんご存じの通りと思います。ヘラ竿に限っていえば江戸川の金剛なんて名前も懐かしく感じますが、今でもとんでもなく高価ですが売られていますね。


 カーボンロッドの流れとしては2大潮流があると思っています。その昔はホソカルピンと、軽く細いけれどピンピンして釣り味が悪く、ポキッと折れてしまうと竹竿師達にはバカにされるというか、あんな物を使ってと軽く見られていたような気もします。
 私の経験でも他に類を見ないほどのとても軽い竿だったのですが、18尺の竿で合わせると手元がボキっと折れるなんて事があったくらいです。


 今ではカーボンの特徴を遺憾なく発揮して、長尺でもビックリするほど軽く仕上がっていますし、最近では合わせ折れなんて事故も釣り人の使い方以外では、殆ど聞かなくなりました。
 そのように長尺で軽さを追求する一方で、やはり釣り味を追求する竿も開発され続けています。昨今のヘラブナの大型化に伴って、腰のしっかりした竿になってはいるのですが、先調子から胴寄りに曲がりの頂点を移行させて、竿全体の曲がりでヘラブナをいなして釣り上げる方向になっているように感じます。
 これも少し以前であれば、支点を先調子で腰が曲がらないタイプがあり、私のような非力なものにとっては、竿が伸されてしまうことも多々ありましたので、もうお蔵入りの竿となってしまいました。


 軽さを追求した竿ともう1つの大きな流れは、如何に釣り味を良くするかの追求でしょう。その場合の手本となるのが竹竿です。
 竹竿の釣り味に近づけることに苦心されているようですが、釣具メーカーのインストラクターの趣味に合わせた結果なのか、元々ヘラ釣り師の追求の為かは別として、私自身も竹竿の釣り味はなかなか捨てがたいところがあります。
 カーボン製で竹竿の味を追求すると、どうしても重量が増してしまうようで、長尺では到底私には扱えない重量となってしまいます。



 さて、前置きが長くなりましたが、時代を逆行するのか先に進めているのかわかりませんが、カーボンの良さと竹竿の良さを併せ持った合成竿に話を進めることとします。


 合成竿は、今更解説するまでもないでしょうが、トップと2番がカーボン製で3番から手元までが竹製です。
 竹竿でも18尺なんてとんでもなく重くて、現実的には扱えない代物ですが、合成竿だとしても、幾ら2番までがカーボン製だとしてもやはり扱えないほど重くなってしまいます。
 実用的サイズとしては15尺程度まででしょうか。この程度であれば竿の重量はカーボンの倍以上の重さになってしまいますが、竿先を上げて合わせるというよりも胴を曲げて合わせますので、1日中使えないなんて事は先ずないと思います。


 合成竿の利点としては、なんといっても手軽に竹竿の良さが味わえることでしょうか。同時に扱い方が少々乱暴でも許して貰えるのです。


 ヘラ竿は、1番または2番までを水中に浸けて使用しますが、カーボンやグラスでは全く無視出来るすげ口の固着が竹竿の大きな問題でした。
 釣りを終わってさぁ片づけようとすると、竿に水分を吸収してしまい膨張しているのでしょう、竿が簡単に抜けなくなってしまうのです。それを無理に抜こうとすると決まって口割れ事故を起こしてしまいます。
 また釣り続けていると、竿の曲がりのためにすげ口の変形が常に起きていますので、差し込みが緩んでしまいスッポリと簡単に抜けてしまいます。竹竿の事故としては結構多い事案なのです。
 それを防ぐために先に竿を濡らして、竹の膨張を利用してすっぽ抜け事故を減らす方法があるのですが、固着で困るのも間違いなく、今度はロウを塗って固着しないようにするとなど涙ぐましい努力が必要になってしまいます。
 それが合成竿になるとある程度は気にしなくて良いのです。
 *ロウを塗ると滑りすぎて止まらなくなる場合もありますので、結局は何もしないことが1番良いです



 また、竹竿の大きな問題としては竿の変形クセがりがあります。カーボンでは起こりえない竿の曲がりは、どうしてもクセとして出てしまいます。
 その場合は我慢して使い続けることも出来ませんので、竿師または釣具店に持ち込んで火入れをして貰い、竿を正常に戻す必要があるのです。これもまたなかなか高価なもので、私のような貧乏人には簡単に依頼する事ができないのです。
 クセは濡れた場合、真夏の直射日光に晒された場合、無理に竿を曲げて取り込んでしまった場合などに起きてしまいますが、合成竿では、そんな穂先や捕持ちの曲がりなど心配する必要もなくで気軽に使えます。


 火入れと同じように胴拭きも問題でしょうか。竿に使われている漆はそんなに高価な物ではないのですが、長年使っているうちに徐々に剥げてしまいます。そうすると胴拭きをまた竿師にお願いすることとなるのですが、実はコレはある程度自分でも出来ますので、漆屋さんに相談すると詳しく教えてくれます。
 我が京都では何店か漆屋さんがありますので簡単に相談出来ます。今では乾かすための室も必要なく手軽に胴拭きが出来ますから、薄く薄く塗り上げてそのまま放置すると硬化します。
 1番水を吸っては困る穂先と捕持ちがカーボンなので、胴拭きはしなくていいのです。


 カーボンロッドで竹竿の味を追求している竿が、ダイワの玄むくや彼法師でありシマノの特作 天道や独歩でしょうか。共にとても高価なカーボンロッドですね。
 新品の合成竿は、竹竿同様に有名竿師のとても高価な竿もあるのですが、実は安価な部類に入るカーボンロッドと同程度で売りに出されています。
 8尺で25,000円程度で手に入りますので、カーボンロッドより易いくらいですね。また昨今では中古市場も充実していますので、試しに使ってみようとする程度の安価で売りに出されています。


 カーボンを1度使ってあの軽さになれてしまうと、なかなか捨てがたいのがあるのですが、1度試しに使ってみるとわかるのですが、あの胴のしなりとある一定を過ぎてからの粘り腰は、まさに釣り味として表現出来る楽しさがあると思っています。
 1枚でも多く釣るのが良いとの思いから、ヘラブナ1枚の釣り味を追求するのも、日曜釣り師としては楽しみの巾が広がると思います。


 晴れた日に1本竿袋に忍ばせて、優雅な一日を楽しむのは如何でしょう。
 その次は是非竹竿の世界へ導かれるのか、いやいやカーボンが良いとなるかは果たして・・・