両うどんのヘラブナ釣り

ヘラブナ釣りで人生を楽しんでいる日曜釣り師です

常時50枚の釣果と大助を釣り上げるために

 ヘラブナ釣り 餌の不思議と人の思い込み

 いつかも書いたことがあるのですが、魚が好む餌は人間が考えるものとは随分と開きがあると思っています。
 人は美味しいと感じるのは味覚によるものでしょう。塩梅が良いとか歯触りが良いとか香りが良いとか等々です。また知識によるものも多くてアワビは美味しいとか、神戸牛は美味しいと感じるのは、高価であるとか前評判が良いからで本来の食味以上に美味しさを感じてしまいます。人が美味しいと評価した尻馬に乗っているだけで自身の味覚で感じ取れているか微妙ですが、万人が同じように美味しいと感じることはないはずです。


 *尻馬=しりうまと読み何の考えもなく人の言動に乗ってしまうことをいいますが、馬尻と書くとウマシリではなくてバケツと読みます。そう水を汲む道具のバケツですね。但し地名や人名ではバジリと読みます。ついでに馬尾と書くとバビですが脊椎の神経のことになります。


 京都のある有名料理屋さんで一人前の食事だけで5万6万円もするお店があります。お酒が入ると・・・嫌になるほどの金額になりますが、評判が評判を呼んで予約が取れなくなっているようです。ただ私的には高価な食材で目くらましをしているだけのような気がしてなりません。ノドグロの塩焼きは絶品だと思っていますが、それは料理人の腕ではなくて素材の美味しさでしょう。高価な食材を使って美味しいだろう!!だから高いんだぞ!なんてのは料理人の怠慢で、まして器や装飾に良いものを使っているなんてのは、料理屋さんの自己満足でしかないと思うのですが、私的にはどんな有名作家の器であったり骨董品だとしても、使い古したような薄汚れた器を有り難がって食べているより、清潔で真新しい食器の方が安心して食べられると思ってしまいます。そんな有名作家の器を壊したらそれこそ大変ですが、そんなの気にしなくて良いといってくれれば扱いも楽ですが、だからといって雑に扱うことも出来ませんので何を食ったか解らないと思ってしまいます。

 それより安い食材の魚を使ってノドグロに勝る料理を作ってこそ料理人の腕と思うのは貧乏人の僻みでしょうか。


 しかし高価な食材は美味しいものだとの思い込みがあるのは事実で、どんなに美味しいものでも豊富に用意できれば価格は下がるもので、価格が下がったから不味くなったなんてことは決してないのですから、経済的論理を食味に持ち込むのは馬鹿げているのは間違いないと私的には思っています。


 ただそんなことも人間だけの話で他の動物たちには高価であるかとかは全く関係なく、欲する栄養素など必要といるものを摂取して命を生きながらせています。もし人間がポンと自然界に放り出されたりすると、アッという間に命の灯火が消えてしまうことでしょう。それが野良犬や野良猫に限らず自然界にいる鳥や動物たちは、自然界の厳しい季節の移り変わりに耐えながらも子孫を残していくのですから、その生命力は人間とは比べものになりません。だからこそ必要なのは味覚ではなくて生きながらえるための栄養素を採ろうとしていると思うのです。


 少し視点を変えてみてみますと家庭犬として生まれて成犬になるまでドッグフードしか食べた事がないとしても、ドッグフードで育っているのですからドッグフードを良く食べるはずですが、多分生肉やソーセージなどを食べさせた方が貪り食うはずです。
 日本近海の魚は貝やエビにゴカイを食べて育ったはずですが、釣り餌としてはエビやゴカイよりオキアミの方が良く釣れます。
 養殖されている鯛やハマチを放流している釣り場でも、養殖用の撒かれているペレットよりも鶏の肝や団子餌で良く釣れます。
 それこそ鯛ラバなんて釣り方は単なるゴムのヒモですが、エビで釣るより釣れてくるのですから不思議です。


 そこでヘラブナ釣りです。どうしてヘラブナ釣りではペレットが集魚材として有効となっているのでしょう。多くの考え方はペレットで育ったからだとか池で撒かれている餌だから食べ慣れているからとのことです。
 前記の例のように育った餌が好物とは限らないはずです。どうしてペレットが集魚材として有効としたのかですが、単に養殖池や釣り堀で撒いているとヘラブナが集まって食べている様子を見ているからでしょう。


 確かにある水産センターの釣り池ではペレットが撒き餌として売られていて、それを撒きながら釣るととても良く釣れるのですが、いってみれば養殖場の給餌行動を利用した方法に過ぎなくて、その給餌行動を再現している中に釣り餌であるペレットの団子を落として釣るのですから釣れて当たり前です。


 但し通常のヘラブナ釣り場では撒き餌が禁止されています。もし養殖場の給餌行動を再現するには、それこそ機械的な打ち返しを繰り返すことで再現できるのではと思いますが、そんなことをして何が面白いと感じてしまいます。
 先の水産センターでは釣り師というより初心者や子供達のために釣れるような工夫をしているに過ぎず、ベテラン釣り師が真似しても良いとは決して思いません。


 少し横道に逸れてしまいましたが、ここでいいたいことはペレットは決して集魚効果のあるまた摂食行動を起こさせる有効な餌とは限らないのではないかということです。


 もう一つの例としてイワナやアマゴなどの渓流魚を釣る場合です。天然の渓流魚もさることながらニジマスなどの養殖魚を釣り上げる場合に有効な餌はイクラです。鮭の卵など見たことも食べたこともないはずですがとても有効な餌です。それこそミミズやブドウ虫より有効ではないかと思うのですが、どうして見たこともない餌を食ってくるのかです。


 ここに摂食行動を起こすなにかのメカニズムが隠されているのではないかということです。ペレットで育ったヘラブナも食べたこともないジャガイモやサツマイモの餌を食ってきます。場合によってはサナギ粉にも反応するようですが、植物性食のはずのヘラブナがどうしてサナギに反応するのかです。


 我が家の金魚も植物性食を示す個体と無視する個体がいます。植物性食を示す個体では水草も食いますし浮き草も食べてしまいます。ところがそこに金魚用の餌を撒くとその餌に反応してしまいます。水草や浮き草を食べているにも拘わらずどうして餌を撒くとそちらに反応してしまうのかです。やはり水草より餌の方が食べたいとの本能的な行動を示していることになります。


 残念ながら今のところヘラブナ釣り用の餌としては、イヌがドッグフードより生肉を貪り食うような餌を見つけることは出来ていません。キットヘラブナにも見たことも食べたことのない餌でも極端な反応を示す餌があるのではと思うのです。それが見つけることが出来ると爆釣が待っていると思うのですがこれはただの幻想でしょうか。
 ただ釣り堀などでは生き餌禁止となっています。ヘラブナは植物性食のはずなのに生き餌が禁止されているのは不思議だと感じていますが、案外ミミズや赤虫も良く食べるので禁止になっているのではと思います。そうなると植物性食そのものが眉唾物ではないでしょうか。


 餌メーカーが日夜研究をしていまだに新しい餌を開発し続けていますが、思い込みが激しくて新しい発想がわかづに、貪り食うような餌はおいそれとは見つけることは出来ないのかも知れません。釣り人側からもキット良く釣れる餌があるはずだとの思いは、鉄から金が作れるという錬金術があるはずだと思うのと同じ部類の幻想かも知れないですね。


 でもね。もしそんな万能な餌を見つけることが出来たとすると、案外ヘラブナが簡単に釣れ過ぎてしまって面白くもなんともない釣りになってしまうかも知れませんね。


 実は・・・同じだと思い込んでいるペレットですが、淡水魚用のペレットには数種類のものが作られています。
 成分表に粗タンパク 00%以上、粗脂肪 0%以上、粗繊維 0%以下、粗灰分 00%以下、カルシウム 0%以上、リン 0%以上と書かれていますが、その%はメーカーや対象魚別に含有量が違っています。どの割合がヘラブナが好むのかを探ると面白いかも知れません。但し釣具店で売られているペレットには成分比が書かれていませんので、養殖用の飼料を購入する以外なさそうです。