両うどんのヘラブナ釣り

ヘラブナ釣りで人生を楽しんでいる日曜釣り師です

常時50枚の釣果と大助を釣り上げるために

 ヘラブナ釣り 道糸とハリス 2

 前回は道糸とハリスの特長についてとりあげましたが、今回は仕掛け糸の成り立ちを取り上げてみたいと思います。
 ヘラブナ釣りでは何の疑問もなく道糸には道糸用の糸を、ハリスにはハリス用の糸を使っています。実はここにはとても深い意味があるのですが、他の対象魚の釣りでは道糸ハリスの区別なく使っている場合が多いのです。
 ヘラブナ釣りの最大の特徴は数㎜の浮き下の違いで釣果に差が出る釣りです。底釣りだと特にその差は大きくて、正確なたな取りが要求されるように釣っている最中に、道糸などの伸びによって棚ボケが起きるとそのまま釣果に影響してしまいます。そういう意味では緻密な寸法安定性は要求されるのです。
 ところでその道糸ですがルアー釣りが入ってくるまで、道糸に色が付いているのはへ洞ブナ釣りだけでした。他の対象魚ではハリスと同様透明なナイロン糸が使われていますが、不思議とヘラブナ釣りだけけは色糸が使われています。それはいったいどうしてでしょう。


道糸の成り立ち
 道糸には色が付いていますがそれはどうしてでしょう。釣り人からは視認性を高めるためとされていますが、もし視認性を高める必要があるのであれば、もっとケバケバした視認性の高い蛍光カラーが良いはずです。日本にブラックバスのルアー釣りが持ち込まれた時期には、とてもハッキリと見える蛍光色のイエロカラーのラインも輸入されました。今まで透明な糸しか知らなかった私にはとても新鮮に映ったのですが、水中に入ると透明になるとの触れ込みでそのカラーラインをリールに巻いて使っていたものです。
 そのころのヘラブナ用の道糸は渋皮色かベンガラのような色でした。とても視認性が高いとは思えないのですが、今でもメーカーによってはその色が使われていますが、実は元々釣り糸としては天蚕糸(てぐす)が使われていました。少し誤解があるのですが天蚕糸は蚕は蚕でも、蚕で飼育されている家蚕(かさん)ではなくて野蚕(やさん)の絹糸腺を取り出して作られていました。野蚕も実際には飼育されているのですが、緑かがった光沢のある絹糸が採れます。
 ただ絹糸腺は絶対量が少なく絹糸がそれにとってかわります。それを菅糸(すがいと)というのですが、管とは小型の蛾のことですから蛾の糸という意味です。その管糸はそのままでは強度が不足しますので、撚りを掛けて柿渋で染めて強度を増したものが作られます。それを紛い糸(まがいいと)といいます。
 紛いとは紛い物(まがいもの)つまり偽物という意味になるのですが、実は金糸に対して付けられた表現で、純金で作られた糸は本金といいますが、本紛(ほんまがい)糸は銀糸のことで銀糸を燻して金色にしたものをいいます。本物の紛い糸とはおかしな表現ですが金糸業界では偽物という意味で使われるというよりは、金糸にな変わる新製品との位置づけとされているようです。
 横道に逸れましたが紛い糸=天蚕糸として表現され、その天蚕糸に付けられた柿渋染めが現在に続く道糸の色になっていると解釈できます。ナイロン糸が開発されて元々天蚕糸を扱っていたメーカーが危機感を覚え、その対策として東レの製品を加工して販売するようになります。その加工された道糸には天蚕糸の名残である柿渋色が付けらたのです。


釣り糸の号数
 このテグスは、5尺(約150cm)の重さによって、4毛から1分2厘までの種類に分けられて販売されていました。この場合の毛と厘は長さでなく重さの単位です。単位当たりの重さの違いを太さとしたのです。1厘のテグスの太さが約0.165mmだったので、1厘のテグスの太さのナイロン糸を1号としたのです。その後規格が決められて次の表のようになります。


 ただこの規格ではあくまでも太さの基準でしかなく強度は全く関係がないのです。一部では号数当たりの強度がポンド表示されている場合があるのですが、メーカーの保証するポンド表示とは違っています。つまり海外の規格はその糸の強度を示す溜にポンド表示されているのですが、太さには相当なバラツキがある事になります。そのため仮に1号は約4ld(ポンド)とされているのですが、実際には強度が重要であって太さは関係なく作られていますので、メーカー間製品別に太さには違いがあるのです。


ポンド表記と号数表記性
 ヘラブナ釣りでの競技には仕掛けの強度による違いはありませんが、海外での特にカジキのトローリング競技では、カジキの重量と同時に何ポンドの仕掛けで釣り上げたかによって優劣を付けるのです。つまり弱い仕掛けで寄り大きなカジキを釣り上げた方が上位となるのです。そのために釣り人側も仕掛けの太さより何ポンドで切れるかを知る必要があるのです。それが日本の場合は強度の規定がありませんので、商品名に最強とかのメッセージが付いているのです。つまり4ポンドと書かれている糸は、糸の価格差がどんなにあろうが4ポンドの強度を保証しなければならないです。つまり4ポンドと書かれている限りは価格差に関係なく4ポンドの強度があるのですが、日本の規格では1号と太さを表示しているだけですから、同じ1号でも強度差があってもおかしくはないのです。そのために最強なんて文字が出てくることになります。ただその最強には根拠がなくどの製品と比較して最強としているのかどうかです。もし同メーカーの他の製品に比べて最強なんて表示すると、最強以外の製品は売れなくなってしまいます。といって他のメーカーとの比較かというとそうでもないのですから、ただ文字が躍っているだけと解釈すべきでしょう。