両うどんのヘラブナ釣り

ヘラブナ釣りで人生を楽しんでいる日曜釣り師です

常時50枚の釣果と大助を釣り上げるために

 数を上げることがヘラブナ釣りなのか

 今更ながらなにいうてるねん!といわれそうですが、他の釣りをしてきた者にとっては、何となく不思議な感覚を持っているのです。
 1番多く励んでいた釣りはチヌ(黒鯛)釣りでした。初めは防波堤から始まり筏や手こぎの伝馬船で牡蠣筏など内湾から、今度は暗い内から磯へ渡して貰って釣りを楽しんでいました。
 防波堤では、年無しなんてのは少なくて、手のひらサイズから30㎝程度、筏も乗っ込みシーズンを除くと30センチ前後までが多かったように記憶しています。数は筏が一番多く釣れていました。磯では5枚も釣ると大漁の部類だったと思います。現実的には、1枚か2枚が精々でボーズも良くある事と思っていました。
 それほどチヌ釣りは難しく数釣りを目的にしていたようには思いません。どちらかといえば春の年無しとまではいいませんが、40㎝程度を目標にしていました。
 1日といっても磯の場合は、真夜中の2時3時に渡船して貰い、遅くとも朝の9時には引き上げていました。ホームグラウンドが若狭湾だったこともあって、日が完全に昇ってしまうと釣りにならず、現実的に4時間程度の釣り時間だったように思いますが、それで1枚から3枚で十分満足していたものです。
 その他としては、鮎釣りは今でもしていますが、確かに鮎釣りは、琵琶湖に注ぐ河川などでは40~50匹釣れることも珍しくはないのですが、海に注いでいる大河川の大型鮎を狙っていると20匹程度だったように思いますが、それでも十分満足出来る釣果と思っています。


 ではヘラブナ釣りではどうでしょうか。チヌ釣りのようにボーズ覚悟とはいいませんが、1枚~3枚で満足出来るとは思えないのです。厳寒期の厳しい時期ですとあり得るのですが、だからといって満足出来たかというとそうでもないでしょう。
 最低限当たりが出るか出ないかも大きなポイントとは思うのですが、結果的にカラツンだけで終わるなんてこともないはずですから、ある程度の枚数を釣り上げてこそ納得がいく釣りのように思います。


 といって数を釣り上げることに血眼になるのもどうかと思うのです。鮎は、釣り味がとても素晴らしく、ヘラブナの引きとは全く別次元のものと思いますが、カーボンが使われる前までは、竿先をひったくっていく当たりは強烈そのもので、磯の王者石鯛の引きが味わえると評されていたほどです。まぁ今はカーボンなのでひったくる前に針掛かりを知ることが出来ますので、そんなひったくるような当たりは減ってしまいましたが、鮎はその強烈な引きとおとりの駆け引き、そして何よりも食味が良いことでしょう。私自身は殆ど食べないのですが、お裾分けして喜んで頂ける魚ですのて、釣り上げた後の楽しみもある魚です。


 一方ヘラブナは、ルアー釣りが盛んになる前からヒットアンドリースが常識で、それも出来るだけ魚体を傷めないようにそーっと扱っていたものです。静まりかえった池でバシャバシャと音を立てただけで怒られてしまう、まさに静の世界そのものだったように思います。
 それがいつしか数こそ命のように、どうすれば数釣れるかを競うことになってしまいました。関西のうどん池では底釣り限定ですから、上ずっているヘラを釣ってやろうとするカッツケなんて、愚の骨頂と白い目で見られるというか、ヘラブナを釣る資格がないといわれるほどのものだったと思います。
 べつに昔を懐かしむつもりもなく、カッツケが悪いとはいいません。カッツケであろうが宙釣りであろうが、釣り技の1つですからそれで良いのですが、数釣れさえすれば良いのかとの疑問がどうしても残ってしまいます。


 別に競技が悪いともいいません。人間の楽しみですから命を粗末にしているには違いないのですが、ヘラブナを生きものとして扱われているのだろうかと感じてしまいます。
 数釣りが競技のルールですから、当然いち早く釣り上げて次の当たりを待つ、釣り上げている途中のヘラブナの引きを楽しむのは二の次どころか、全く眼中にはない取組がなされています。
 メーカーから出されている竿もその1つで、ヘラブナに遊ばれないで早く浮かし、水面を一気に滑られて取り込めるような、手返しを重視した硬調先調子に仕上げてあります。
 そんな調子の竿でヘラブナ釣りが楽しめるとは思わないのですが、競技を離れた日曜日の釣りでは、微妙な浮きの動きの中から、的確な当たりを見定めで掛けたヘラブナの、いってみれはせっかく食ってくれたのですから、玉に収まるまでは十分な引きを楽しむ時間を持てる。そんな釣りを私はしたいと思っているのです。


 出来ればカーボンでも胴調子の竿を、理想的には竹竿ですが、竹竿では強引に水面をひっぱって取り込むなんて出来ませんので、ヘラブナの動きを感じながら、ヘラブナに主導権を取られないようにその引きをいなしながら取り込む。
 数こそ命ではなくて、取り込むまでの引きを楽しめるような優雅な時間を楽しめたらと思っています。
 そういう意味では短竿を使うと楽しむ時間が減ってしまいますね。


 ん?新ベラを60枚も釣って喜んでいるのは誰だって?


 人は得てしてわがままなもので、自己矛盾を抱えている生きものなんですよねぇ(笑)。どもどもでした。


 次の日曜日は竹竿を出す事にしましょうか。。ハイ