両うどんのヘラブナ釣り

ヘラブナ釣りで人生を楽しんでいる日曜釣り師です

常時50枚の釣果と大助を釣り上げるために

 ヘラブナ釣り 道糸とハリスの性格

 釣り糸のことをテグスと呼んでいた事をご存じでしょうか。お歳を召している方には聞き覚えがあると思いますがテグスは天蚕糸と書きます。元々はヤママユの繭(まゆ)から作ったものですが、実はそれ以前には繭から取るのではなくて幼虫の絹糸腺で作られていました。絹糸腺とは繭や巣を作るために糸を出す気管で、幼虫のサイズより何倍にも伸びて2m以上の長さになります。ただこの絹糸腺は生きている幼虫から取り出す作業が必要ですから、量が多く取れませんので繭から作られるようになります。


 ところが繭で作った天蚕糸は強度不足なために釣り用としてはそのまま使えず、柿渋に浸けて強度を増す必要があったのです。
 実はヘラブナに使われている道糸に赤茶色が付いているのは、この天蚕糸を柿渋で染めていた名残で色付きの道糸が多いのです。道糸の視認性を良くするために色が付いているとの説明は後付けで、もし視認性を良くするためだけであればもっとよく見える蛍光色でも良いはずですが、いまでこそ視認性の高い白色の道糸がありますが今でも赤褐色が多く使われてています。


 実は日本で使われている糸の太さを表す号数は、この天蚕糸の取引で使われていた単位から来ています。ヘラブナ釣りでは余り表現しませんがヒロという単位があります。海釣りでは良く使う単位ですが1ヒロは約1.5mのことで、磯釣りなどではハリス2ヒロとか浮き下4ヒロ半なんて表現するのですが、単純に両手を広げた長さを1ヒロとして計算しますのでメジャーなど測りを使うことなく釣り場で簡単に長さが決められるのです。


 さて号数ですが天蚕糸で1ヒロを100本束ねた重さから割り出したもので、100本で1匁(もんめ)だとすると1本は1厘(りん)ですがこれを1号としました。元々は重量でしたがその後は直径を基準とした規定に変わり0.17㎜を1号としています。重さの単位から太さの単位になっていますが、外国メーカーでは強度が基準となっていますのでポンド表示となります。日本の規格では1号は4ポンドの強度がある事になっていますが、外国基準では4ポンドで切れる事を意味します。
 そのため海外の製品は強度の表示ですから太さにバラツキがあるのですが、国内製品は太さが基準ですから強度に差が出てしまいます。ただ安価な製品はその強度を補うために規格より太い製品も作られていますので、単純に号数と強度や太さを信用することは出来ません。勿論有名メーカーの製品はそんなことはないと思うのですが、ある製品は太さを合わせたためでしょうかとても弱いものがありました。


 道糸の色は好みのものを使われたら良いのですが、他魚の仕掛糸と違ってヘラブナ釣り用の道糸とハリスには特徴付けられているのです。それは道糸には伸びがとても少ないナイロン糸が使われ、反対にハリスはとても柔軟度があるように作られています。道糸が伸びが少ないのは合わせが効くためですが、ハリスに柔軟度があるのは合わせ切れを防ぐためです。この場合のハリスの柔軟度とはバネのように伸び縮みをする事を差します。ハリスで仕掛け全体を作ってみると解るのですがビックリするほど伸びるのです。1度18尺の仕掛けを作ってみたのですがビョーンビョーンって感じでとんでもなく伸びるのです。流石にこれには驚きましたが勿論使い物にはなりませんでした。


 つまり同じ号数表示だとしても性質が違いすぎるので道糸とハリスは代用が出来ないんです。実際他のナイロン糸でこんなに伸びる性質があるのかどうかですが、私が使った限りではヘラブナ用のハリスのような柔軟度が高いハリスは見つかっていません。


 そういう意味では魚種による道糸やハリスが売られていますが、釣り方などの違いも含めて適した糸を使用する必要があるのでしょうね。ついつい代用品が内科と探したりするのですが、1号以上の太い糸ならまだしも0.4号などでは余りにも違いを感じます。
 各メーカーが研究して出した答えが今の製品ですから、素人がアレコレと考えても意味がないようで、魚種に合わせた道糸やハリスを選ぶべきだと続く感じたのです。