両うどんのヘラブナ釣り

ヘラブナ釣りで人生を楽しんでいる日曜釣り師です

常時50枚の釣果と大助を釣り上げるために

 ヘラブナ釣り エステル製ハリス インプレッション

 最新の仕掛糸として出てきたのがエステルラインです。海釣りではPEが全盛となっていますがヘラブナ釣りには全く適してない糸でした。PEが出始めたころですからもう7~8年前に1度使って駄目だと結論付けてしまいました。それは比重が軽すぎるのが難点で水に沈まないんです。無理に沈めたとしてもスカッと軽く水の抵抗がないために合わせが効かないのです。


 ヘラブナ釣りでは道糸を水中に沈めて釣るのが当たり前になっていますが、その理屈をどの程度理解されていますでしょうか。このブログでも何度か取り上げましたが、道糸の周りに水があるから合わせが効きます。その理屈は至極簡単で竿先を上げたエネルギーが針先にまで伝達できるからです。
 そんなの当たり前と思われるかも知れませんが、空気中で竿を上げても針先にまでそのエネルギーは伝わりません。つまり竿先から伸びている道糸に伝わったエネルギーが、道糸の周辺に放出されてしまうからです。道糸が繋がっているだけではエネルギーの伝達は起きません。
 自転車のブレーキはワイヤーですが実はワイヤーだけでは腑ブレーキは効きません。周りにビニールの被覆があるからブレーキまでエネルギーが伝わるのです。そのビニールの被覆の役割を池の水がしている事になります。


 この理屈によってヘラブナ釣りのような一瞬の合わせが必要な釣りにはPEが適してないと私的には解釈しています。
 海でのルアー釣りやボトム釣りでは直線的引き合わせをしていますので、使用できることになります。


 海釣りのように波がある水域では餌が安定しやすいのでフロロカーボンのハリスを使います。またヘラブナ釣りの場合は比重の重さのために簡単に水に沈んでくれますので、穂先から浮きまでの道糸が沈んでいるかどうかなんて全く気にする事なく使用できます。水中に沈んで尚且つ比重が重いために合わせという意味ではフロロカーボンが適しています。
 但しフロロカーボンはPEと全く逆で比重が重すぎて長尺の竿で使用すると、仕掛糸の全長が長くなり浮きのオモリバランスより1メモリ以上沈めてしまうのです。穂先から浮きまでの距離があればある程、道糸の重さのために重くたわみやや手前に戻ってきます。
 宙釣りでは道糸の重さも含めてオモリバランスを取りますので関係ないのですが、長尺での沖の底釣りではやはりとても使い難い糸となっていました。
 短竿の場合はそれ程の長さがありませんので無視して良いとは思いますが、絶対的にフロロカーボンの方がナイロン糸より弱いのです。何故かフロロカーボンの方が強いとの誤解がありますが、先行販売されている会社が実際の工数よりややふと目に作ったのが原因ではないかと思っています。


 ナイロン糸の場合は水よりホンの少し比重が重いので沈む糸のはずですが何故か浮いてしまうことがあります。池の水の汚れか道糸の汚れが原因しているのかも知れませんが、スッと竿を引いて沈める作業が必要になったりしていました。ただナイロン糸には吸水性がありますので、使っている間に簡単に沈むようになりますのでやはり道糸としては最適だと感じています。
 高級道糸は加工がされていますので簡単に沈めることが可能なんですが、その加工が比重を重くしている場合はフロロカーボンと同じで使い難いと思っていますが、親水性を持たせた道糸であれば比重はそのままで沈みやすい道糸に仕上がっています。 


 さて今回のエステル糸ですが道糸ではなくハリスとして使ってみました。先ず糸の感触ですがナイロンと比べるととんでもなく硬いと感じました。硬い糸としてはフロロカーボンですがフロロカーボンより明らかに硬いのです。イメージとしては0.5号が1号に感じるほどです。実際はナイロンの1号の方が柔軟度は高いですから、やはり全く別の性質のものだと感じました。
 確かに製品の説明文にある通りです。「適度に張りがあるため、ヨレにくくハリス同士が絡みづらい。」とあります。
 しかし適度に張りがあるどころではないのです。これでヘラブナが吸い込んでくれるのだろうかと思うほどでした。


 実際使ってみて釣れなかったかというとそうでもなく、当たりは普通に出ましたので使えなくはないというのが結論です。但し続けてまたエステルのハリスを使うかと問われると、私には合わないので使わないと答えます。


 ただ使い方として想像するのですが、ハリス長が長くなればなるほどハリス同士が絡みやすくなってしまいます。私も実験的にナイロンで長いハリスを作った事があるのですが、ハリス同士が絡まってとても使えなかったのを記憶しています。
 その点エステルラインは硬くてハリス同士が簡単に絡まることはないと感じました。ただ反対に絡みにくいハリスということはそれだけ硬いことも理解して使う必要がある事を意味しています。
 ただ硬いからこそ当たりがハッキリと出るのかも知れません。


 勿論ナイロン糸もそのままでは使い難い性質のものですから、メーカーは色々と工夫されています。道糸は沈みやすい加工がされていたり伸びが少ない加工もされています。反対にハリスは柔軟度を高めて伸びのある性質を設けています。


 つまりエステルラインとナイロンラインは正反対の性質を持った製品だということがわかりまか。


 ナイロンハリスは柔軟度を高めてあるので合わせショックにも強いのですが、エステルは伸びがありませんのでナイロンより弱く仕上がっています。
 道糸の場合も同じ事でナイロンラインは伸びを抑える加工がされていたとしても、エステルラインよりは伸びますので、合わせはエステルラインの方が効くことになります。実際はナイロンラインで合わせが効かないと思ったことは無いのですが・・・
 結び目もナイロンより弱いとされているエステルですが、実際針を結んだりヨリモドシを結んだ感覚では、ナイロンよりしっかりと結べた印象がありました。それも硬さ所以だろうと思うのです。


 実際自分の釣り方でどの性質を必要としているかです。やはり私的には柔軟度を重視したいのでナイロンの製品を選びたいと感じましたが、何事も経験ですから使って見るのもアリたと思いました。


 そうそう「カタイ」は「硬い」「堅い」「固い」と漢字が違いますが、どのように使い分けられているでしょう。
 辞書によって案外違っていたりするのですが、硬いは石偏が使われていますが外からの力によって簡単に形が変わらないものを意味します。反対語は柔らかいです。
 固いは容器に入れた中の物が壊れないように保護しているその固さを意味します。元々城壁と兜から出来た文字ですからなんとなく解りますよね。こちらの反対語は緩いです。
 堅いは堅実との表現があるように心の強さを意味しますがこの漢字はかためた土から出来た文字です。こちらの反対語は脆い(もろい)です。
 なんとなく解ったような解らない解説ですが反対語から本来の意味が解るような気がします。まぁ実際の使い分けは案外無頓着にしているとは思いますね。


 といつものように横道に逸れましたが、個人的感想としてエステルラインはハリスとしてはとても使い辛いと感じましたが道糸の場合は案外有効かも知れません。でもやはりナイロン糸の柔軟性は捨てがたいですよね。
 お好みで使い分けるのもありかと思いますが、冬期になればより硬くなることも考えておく必要があるのではないでしょうか。