ヘラブナ釣り ヘラ専科用未掲載原稿 浮き選びの考え方
ヘラ専科用の原稿を事前に用意していたのですが、今回休刊となりましたので、ここに発表することと致します。実はこのブログで書いている内容を、そのまま掲載しても良いとはいわれていたので、ここに発表してから原稿として使えないわけではないのですが、また機会があれば載せようかと思ったりしますが、基本別の内容にすべきと涙ぐましい努力をしている私です(笑)。
ただ私の原稿は「ですます調」で書いているのですが、編集部は「~だ」と断定した言葉に変更されます。変更されると何となく私の表現ではないと感じるのですが、それは仕方のないことと諦めています。
ヘラ浮きの作者や専門家から見ると、随分と的外れなことをと感じられるこでしょうが、素人の日曜釣り師の戯れ言として、笑って許して戴けたらと思っています。
ここからが下書きしていた原稿です。
ヘラブナ釣りで重要なアイテムの1つに浮きがあります。その浮きの形状には特定の釣り方を想定した作り方をされているのですが、その形状にはどんな意味合いが含まれているのかを知ることで、状況に合った浮き選びが出来ます。また自分の釣り方にはどの浮きが適しているのかを知ることで、店頭に多数並んでいる浮きの中から的確に選ぶことが出来るようになります。
浮きの浮力の捉え方
浮きは足・胴・トップの3つのアイテムによって構成されていますが、この構成比を変えることでそれぞれの釣り方に適した浮きの形状となっています。
先ず素材として足はカーボン・グラス・竹と大きく3つに分けられ、胴も葦・羽根・桐の3種類が主流です。トップは実はとても細かく分けることが出来るのですが、単純に分けるとパイプトップとムクトップの2種類です。
この素材によって何が違うかですが、実は殆ど違いを見つけることが出来ないのです。以前からまことしやかに語られているのは、パイプトップは浮力が高いとか竹の足は浮力があるとかです。実はこれも実験すると解るのですが、ムクトップでも軽くて浮くタイプがあり、反対にパイプトップでも沈むものもあります。自分で作る場合は別ですが市販品は、どのような性質の部品が使われているかは解りませんので、素材による浮力の違いはあまり考慮する必要はないのです。
ただ多くの場合はイメージと思い込みで判断されているのが殆どで、勿論全く違いがないわけではないのですが、浮きの浮力は素材の違いより形状による水の抵抗と浮力で考えるべきだろうと思います。つまり素材差よりも胴の長さや太さなどの形状の違いが重要で、それが浮力や当たりの出方など全般に影響を与えます。
その浮きの浮力を細かく計算するのはとても大変で、重力加速度(しゅうりょくかそくど)や垂直抗力(すいちょくこうりょく)という物理の法則から計算するのですが、単純に100gの浮きを机に置いた場合には机に100gの重さを掛かりますが、そこに重力加速(約9.8m/s2)を乗じると100g×0.98=98Nという数値が出ます。机は浮きに対して98Nで押し返している事になります。また浮きと水に掛かる抵抗値や、摩擦係数を計算することで浮きの浮力を割り出すことが出来ます。ただ実際のところそれほど細かい計算をしたところで意味はないので、ここでは詳しい説明は割愛しますが、興味のある方は調べてみては如何でしょう。
これらの計算を細かくすると感度の良い浮きを見つめることが出来ます。それはカーボン足でムクトップそして胴は唐辛子タイプの小型のタイプで、浮力がとても少なく結果としてとても感度が良いことになります。但しとても使い難い浮きになってしまいますので、感度が良い浮きが、何よりも優先するポイントではない事が解ります。
左の浮きは抵抗が少なく浮力も弱いので、感度がとても良い浮きとなります。右図は浮力は高く抵抗が強いので、感度が悪い浮きとなります。

竿の尺数違いで浮きを選ぶ
浮きを交換することで当たりが出るのはどうしてでしょう。それには浮力による浮きに掛かる抵抗よりも、餌の沈む速度に関係していると考えています。浮力が変わることで使用するオモリが違ってきますので、餌の沈下速度が変わり、その事がヘラブナに与えるアピール度に違いが出ることで、結果として当たりに繋がります。
つまり最初にセットした浮きを基準として、その浮きより早く沈む方が良いのかゆっくりと沈む方が良いのかを、その都度考え対応することで、その日にとる対策が違ってくるはずです。特に盛期で餌が棚に届くまで揉まれすぎる場合は、浮力のある浮きを使っていち早く沈める工夫をとり、水温が低い時期など当たりが遠いと感じた時は、反対にゆっくりと餌を落としてアピール度を増すために、浮力の弱い浮きを選ぶという具合です。
ただ視認性を上げるために浮力の小さな浮きを使うと、棚ボケをしやすいので、一概にゆっくり沈める方が良いとはならないのです。
また浮きの形状としてトップと足が長くて胴の短い浅棚用、足が短く胴が長くややトップの短い底釣り用、足がやや長く胴も長くトップは極端に長い深宙用と大きく3つのタイプに分けられます。そしてそれぞれに胴の長さと太さによって浮力に差があり、全長に違いがありトップの長さと太さの違いがあります。
これらをなんとなくの使い分けをしているのですが、どれを使っても当たりを出すことは出来るのですからアレコレと迷う必要はないのです。ただ最低でもそれでも竿の尺数によってはサイズを違えて使用することでとても使い易くなります。
短竿では比較的短く小さな浮きを使い、中長竿になると長く大きなサイズを使います。これは餌打ちのしやすさを優先した選び方で、結果として長竿になればなるほど浮力のある浮きを使うことになるわけです。浮力があるということは自動的にオモリの量も増えますので、長竿ほどオモリの量が多い方が餌打ちがしやすいので、浮力のある長めの浮きを自動的に選ぶことになります。
ここで参考にしていただきたい浮きの動きですが、重いオモリを使った場合と軽いオモリを使った場合では、浮きに出る食い当たりの出方に違いがあることです。それは重いオモリを背負う浮きは残存浮力も高いために、小当たりでは食い当たりに繋がらない場合があり、場合によっては小さな当たりでも、チクッと節のある当たりであれば針掛かりします。反対に浮力の小さな浮きは、残存浮力も少なくなりますので、とても小さな当たりでも食い当たりの場合が多いので、積極的に合わせると釣果が伸びます。

形状違いによる浮きの機能
浮きの形状は大きく分けて3種類でしたが、どうして浅棚用の浮きはサイズも小さくて足が長く胴が短い形状をしているのかです。短竿であれば小さな浮きでいいのですが、足が長く胴が小さいほど浮きを簡単に立たせることが出来ます。つまり餌が沈みきるまで浮きは立っていますので、ハリスが張るまでのヘラブナが食った当たりを出す事が出来るわけです。宙釣りですから針が宙のどこの位置にあっても良いわけですから、食い当たりは出来るだけ早く出したいので早く立つ浮きが必要になります。
胴の一番張っている箇所がどの位置かで浮きの立つ速度も変わり、下の位置にあると早く立つのですが上方の位置の場合は比較的遅く立ち上がります。その胴の同じサイズでも胴の張りの位置で、浮きの性格も違ってくる事も理解しておくと良いと思います。
またその張りがどこにあるかで浮きに出る当たり方が変わり、下にある程ピョコンとした当たりが出て、上にある程ツンとした当たりの出方をします。
底釣り用の浮きは足が短く胴が長いので浮きが立つまで時間が掛かりますが、底釣りですから中層でヘラブナに食わせませんので、餌が着底してからの当たりを取れば良いのです。そのため浮きの立つまでに時間が掛かっても良いのです。この場合も胴に張りがあるタイプとストレートタイプがあり、それぞれ浮きの立つ速度が違い、当たりの出方も違ってきます。張りのあるタイプはツンとした当たり方をしますが、ストレートタイプはムズとした当たり方になります。
また浮きの形状が細く長いのも底釣りの小さな当たりを表現させるためで、ここにも物理の法則が働いているのですが、小さな当たりでもそのエネルギーが横揺れなどで分散されることなく、縦方向の当たりとして表現させる事が出来るのです。そのため浅棚用の浮きを底釣りに使いますと横揺れがしますので、エネルギーの分散が起きて、小さな当たりが上手く表現出来なくなってしまいます。
このように形状によってそれぞれ浮きの立ち方に違いがあり、そのまま餌の沈下速度も違ってきます。もう少し早く落としたいもう少し遅く落としたいなど、浮力が同じだとしても形状を変えることで餌の沈下速度のコントロールが出来ますので、状況に合わせた浮きの選択が出来るとそのまま釣果に結びつくと考えています。
単純に浮きの性格分けをしますと、立ちの早い浮きの条件は、足が長く胴が短く、中間位置に張りがあり、トップの素材が硬いものです。反対に立ちが遅いものは足が短く、胴が長くストレートタイプで、トップが柔らかい素材です。これらの組み合わせによって違いが出てきますので、早く立たせたいのかゆっくりと立たせたいのか、狙った棚が浅いのか深いのか底なのかで、浮き選びも迷わなくなるのではないでしょうか。
ヘラブナ釣りを続けていますとサイズ違いで多数揃えたくなりますが、実際に使う浮きはほぼ決まっていて、サイズ違いを揃えるるより形状の違うタイプを揃えることで、その時々に適した浮き選びが出来ますので、釣具店でアレコレと想像しながら浮きを選ぶのもまた楽しい作業ですね。