ヘラブナ釣り ヘラ専科未掲載原稿 浮きの科学的選び方
こちらもいつかヘラ専科に掲載しようと思っていた原稿です。内容的には反対意見もあると思いますが、あくまでも個人の感想でしかありませんのでご了承下さい。
感度の良い浮き悪い浮き
ヘラブナ釣りでは浮きを欠かすことは出来ませんが、浮きを選ぶ上で何を基準としているかです。例えば感度の良い浮きとの表現があります。この場合の感度が良いとはどのような状態のことをいうのでしょう。何となくですが、ヘラブナが弱い力で吸い込んでも、しっかりとした当たりが表現出来ることのようにも思えますが、果たしてどれが正解なのでしょうか。
公式的に表現しますと浮力と重力の関係は次のようにになります。
・浮力と重力と吊り合っている場合は浮きは静止しています。
浮力=重力 静止
・浮力より重力が増すと浮きは沈みます。
浮力<重力 沈む
・浮力より重力が減少すると浮きは浮き上がります。
浮力>重力 浮く
浮力とはものを押し上げようとする力ですから、水より軽い浮きは水によって水面に押し上げられる力が常に掛かっていますので、吊り合っているバランスが崩れると浮きは浮き上がります。これが食い上げに現れる浮きの動きです。
反対にバランスが取れている浮きが沈むには、浮きを引き込むチカラが働くことで発生します。これが食い当たりやスレなどによる現象です。
この浮力と重力の吊り合った状態から、少しのチカラで浮く又は沈む浮きが感度の良い浮きとなるのですが、実は感度良く沈む浮きと浮き上がる浮きには正反対の力が掛かりますので、1本の浮きで両方の性質を持つことは出来ないのです。
少ない力で浮き上がるには浮力の強い浮きが適しています。反対に少ない力で沈むには浮力の少ない浮きでなければならないのです。
また浮力はR=ρ×Vで表しますが、具体的にはRは浮力、ρは水の密度、Vは体積計算しますので、浮力は体積によって決まる事が解ります。浮きで言うところの体積が大きいほど浮力があることになりますので、サイズが大きくなればなるほど浮力が高くなります。サイズが小さくても胴の張りが太いほど体積が増えますので浮力があることが解ります。この点はヘラブナ釣りをする人は自然と身についている理屈でしょう。
続いて水の水圧を計算する公式は、P=Po+phgで表します。液体の密度ρ、深さhの水圧P、大気圧Po、重力加速度gとします。
ここで解るのは水圧によって実は浮力に違いが出ることです。つまり冬期ほど水の密度が増えますので、同じ浮きでも夏期と冬期では浮力に違いが出ますので、冬期ほど浮力の少ない浮きを選ぶ方が良いとの理屈が成立します。
解説する必要がないほどヘラブナ釣り師は、経験的にその理屈を知っているはずですが、これこそアルキメデスの原理で、排除された液体の重さに等しい浮力となります。
しかしヘラブナ釣りで使用する浮きは、水面上にトップの部分が見えています。つまり浮きとオモリの浮力は完全に取れていないのです。浮きが沈むにはトップを沈めるだけのチカラが必要になるのです。それが浮きに残っている浮力になります。この残存浮力が多いほど感度が悪く、少ないほど感度が良いと表現出来るはずです。
浮きの使い分けと当たりの違い
感度が良い浮きであれば食い当たりを上手く表現出来るかというとそうではなくて、感度が良すぎる弊害が出る時期があります。それはジャミが多い時期やヘラブナが活発に動く時期で、食い当たり以外の動きが浮きに出すぎてしまい、食い当たりを的確に捉える事が出来ないからです。
そのためにジャミやヘラブナの動きが活発な時期ほど鈍感な浮きの方が良く、余計な当たりを相殺して的確な食い当たりを取りやすいのです。その使い分けが季節要因としてあります。
また使用する餌によっても使い分けるようにします。重さのある餌を使用する場合は、鈍感な浮きで素早く沈めるようにするのですが、グルテン餌のような軽い浮きではなじみ巾が出にくいので、敏感な浮きを使用してしっかりとしたなじみ巾がでるようにします。
感度の良い浮きほどスーッと沈むような当たりが多くなりますが、感度が悪い浮きほど小さくで鋭いツン当たりが表現出来ます。どちらが良い浮きかはどの当たり方を求めているかの違いになるのですが、底釣りではどちらの浮きでも鋭いツン当たりが出やすいので季節要因で選びます。
浮きの性質の違い
感度が良い浮きを見極めるにはどうすれば良いのかです。単純な話として浮きは浮力に対してオモリと餌の重さで水面上に立ち上がっています。それが引き込まれることで当たりとして認識できるのですが、感度を良くするためには根本的に残存浮力が少なければ良いことになります。
浮きはオモリと餌とのバランスが取れている状態で、残存浮力が少なければ少ないほど、少しのエネルギーで浮きは動きますので感度が良くなると考えがちですが、元々浮力の高い浮きの場合は、どれだけオモリを増やしたとしても、残存浮力が極端に少なくなることはなく、トップをどれだけ沈めたとしても残存浮力もしっかりと残っています。それこそ水没するほどのオモリバランスを取ると感度は良くなるでしょうが、大会などでは禁止されている設定となります。
根本的に残存浮力が少ない浮きとは元々の浮きに浮力が少なくスリムな浮きである必要がありますが、使用する場面は冬期などで、とても軽い餌を使った場合に限るべきだろうと思います。但しこれは両極端な話ですから、その中間的浮力を選ぶと多数の浮きを持つ必要はないのです。
当然池の中にはヘラブナだけでなくジャミもいますし、ヘラブナは食っているだけでなく糸ズレなどもしますので、食い当たり以外も大きく反応する浮きとなっていますので、残存浮力が極端に少ない浮きは使いにくいのです。やはりある程度浮力のある浮きを選ぶことで使い易い浮きとなりますが、胴が長ければ長いほど浮力は増えます。当然残存浮力も増えますので感度は鈍くなります。
また同じサイズの浮きでも塗膜が厚い場合も浮力が落ちてしまいますので、出来るだけ塗膜の薄い浮きが適しているのですが、自作ならまだしも市販されている浮きの塗膜厚は、残念ながら使って見なければ解らないのです。
感度の良さは単に浮力だけでなく水圧に対して抵抗が少ない浮きとなります。つまり細ければ細いほど水の抵抗が弱くなりますので感度が良くなります。ある程度胴の長さがあり胴が細ければ抵抗が少なく動きやすくなりますので、浮力があっても感度が良いことになります。
反対に感度が悪い浮きとは浮力が高すぎて水の抵抗が受けやすい形状の浮きとなります。当然といえば当然なのですが実際の釣りにはどちらが有効なのかは甚だ難しい判断が必要と思うのです。
つまりジャミや糸ズレを簡単に表してしまう浮きより、少々の当たりでは小さくしか動かずに、本当たりが出たときにだけ動く浮きの方が釣りやすいはずです。
また感度の悪い浮きほどツンとした節当たりが出やすいので、食い当たりとスレ当たりの違いがわかりやすくなります。しかし感度が悪いのですから小当たりは表現出来なくなる可能性があります。
そこで問題となるのが少々感度を悪くなっても食い当たりが判別しやすい浮きが良いのか、それともジャミ当たりやスレ当たりの紛らわしさを我慢しても、小当たりでも大きく表現出来る浮きの方が選ぶのかです。
最終的には個人の好みとなってしまいますが、冬期のジャミが少ない時期は感度の良い浮きを使い、盛期の動きが活発化する時期には感度が鈍い浮きを使うのが最適ではないかと思います。
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