両うどんのヘラブナ釣り

ヘラブナ釣りで人生を楽しんでいる日曜釣り師です

常時50枚の釣果と大助を釣り上げるために

 ヘラブナ釣り 冬期は深場を釣るは間違いかも

 私は年がら年中底釣りをしていますので、水温によって泳層を変えるヘラブナに合わせた棚で釣ることは出来ません。そのために如何に底にある餌に関心を向かわせるかが1つのポイントになるのですが、定番のように言われているのが冬期は深場の水温の安定しているところを釣るとのことです。それは果たして本当のことなんでしょうか。


 東京大学海洋研究所が調べた水温変化のデーターがありますが、深場になるにつれて水温が下がりある一定の水深に達すると水温が上昇する事が解っています。まずこのデーターを解説する前にヘラブナの釣り場の水深はどの程度かです。
 釣り堀では1.5m程度から5m程度でしょうか。野池でも10mを超えるような水深で釣ることはないはずです。私の知る限りでは一部谷をせき止めて作った池では最深部8mなんてところがありますが、多くは2m~4m程度ではないでしょうか。


 まず夏場の池水表層温度は25度以上で高いところは30度を超えます。その場合1m深くなるにつれて1度程度下がります。夏場は水の入れ替わりが少ない池ほど表面温度が高くなりますので、極端に上昇した池では35度を超える場合すらあるのです。
 5m底の水温は表層水温は25度の場合で20度、30度ある場合は25度と単純に1mにつき1度下がると理解しても大きく違うことはないはずです。


 ただこの水温差は表層水温が下がれば下がるほど小さくなり、表層水温か15度の場合は2m深くなる事に1度程度水温が下がりますので夏場の水温差の半分程度の下がり方になります。実は厳寒期のような表層水温が10度を下回った場合は水深による水温の差が殆ど起きてないんです。5mの水深があったとすると表層水温が10度の場合の底は10度と差がないこともわかっています。


 但しこの条件は風も穏やかな日に限ります。底までかき混ぜるような強い風が吹く場合は例外ですが、それでも水深5mの底の水が対流するような風は殆ど吹きませんので、ある程度安定していると考える方が良いことも解ります。


 根本的に地球の温度は太陽光によるものですが、夏場の気温上昇は太陽光によって直接空気が暖められるのではなくて、海水が暖められたり地表温度が高められることで空気が暖まります。池の場合も同じで周りの空気の影響ではなくて直接湖面に届いた太陽光と周りの地面が暖められることで水温の上昇が起きます。
 その結果表面温度が高くなる理屈でその温度が徐々に伝わることで池水温度の季節変化が起きるのです。つまり表層ほど水温は高く水底ほど低い理屈が成り立ちますので、冬期は底を釣れの理屈が成り立たなくなります。


 この水温上昇のメカニズムとして川はもっと極端に変化するのですが、川の水は川の表面の見える部分にだけに流れているのではなくて、水のない河原の下にも流れが出来ているのですが、場合によっては底を流れる量の方が多い場合もあるほどですが、夏場などでは河原の下を流れますので太陽によって地表が温められて、その温度が底を流れる水に伝わり1㎞下流では水温差が2度3度と上昇し10㎞下がると湯と感じるほど温度が上がってしまいます。
 当然冬期はこの反対の作用が起きますので、雪が積もっているようなときは水温低下が著しく、反対に冬期でもよく晴れて河原が温められると水温は簡単に上昇してしまいます。


 そうそう先に書きました東京大学海洋研究所が調べた水温の上昇は、海水の場合ですが10000mに達すると水温が上昇することが突き止められているのです。反対に言うとその水深に達するまでは、水深が深くなることで水温は下がり続けるのです。


 このような調査と科学的根拠に於いて池程度の水深では底に行くほど水温は下がると考えるべきで、冬場ほど深いところを釣るは理屈に合わないのです。ただその時期は底と水面とはほぼ同じ水温になっていますが、水面近くは北風などによって水温が不安定になってしまいます。そういう意味では底の方が安定していることにはなりますので、ヘラブナの泳層も安定していることがわかります。


 つまり冬期は水深による水温変化が起きていないのですから、少しでも高い温度を求めるような行動が起きないと考えるのが妥当ではないかと思えるのです。たたここでもう一つの重要な要素を忘れてはいけません。それは地表が暖められることで水温も暖められるのですから、とても天気の良い日は岸寄りの浅場が水温が高くなって好ポイントとなるのです。


 結果として冬期の釣りが深いポイントが適しているとは言い切れないと解釈しています。 


 私のような天邪鬼は年がら年中底釣りをしていますので、いつの時期でも如何に底の餌に興味を持たせるかに腐心するのですが、これが宙釣りであれば集め方を失敗してもヘラブナの集まっている層に浮き下を合わせれば良いのですから楽と言えば楽ですが、解っていても底釣りに拘るのはその難しさが面白いと感じているからです。その難しさが釣果の差となって表れるのですから、余計にやりがいがあると感じるのですがこれってマゾッ気があるって事でしょうか。


 何れにしても水温が下がり出すとなかなか難しい底釣りになるのですが、特に水温が下がりきってない時期の雨後は大変で、水温より雨の方が冷たい場合はその雨水が底に溜まりますのでヘラブナは底の餌には興味を示さなくなります。そんな時はどうすべきかアレコレと試してはいても未だにコレが正解と導き出せていません。
 実際小手先の工夫程度しか出来ていないのですから、まだまだ研究する材料には事欠きそうにないですね。