ヘラブナ釣り カーボン竿は高価低価どちらを選ぶ
先ずは結論から先にいうならばカーボンロッドを買う基準としては、高価であればあるほど間違いのない竿と思っています。それは単に装飾性が良いとかの問題ではなくて、使用されるカーボンシートの素材が高価なために結果として高価な竿に仕上がるのですが、それだけではなく竿の穂先・2番・3番・元竿と各パーツによる素材の違いや、そのパーツの途中も素材の違う組み合わせをされていたりと、それぞれの竿を仕上げる段階で手作業に依るところが多数あるためでしょう。工業製品であるはずのヘラ竿は、実は手作りで作られている部分が多いために、結果として高価な製品へと仕上がってしまいます。
そういう意味で2本の竿を持ってどちらを買おうかと迷った場合は、高い方を選べば間違いないのが結論です。
但し本当に高価の方が間違いないのかですが、実際のところは高価な竿になればなるほど特徴付けされていますので、その特徴や特性が自分の釣り方に合っているかどうかで、買ってはみたが失敗だったなんてことも起きるわけです。
メーカーのコマーシャルメッセージにはオールラウンダーと銘打たれた竿がありますが、実際は高価な竿になればなるほど万能とは言いがいほどの特徴をもっていて、低価格の部類に入る竿の方がオールマイティーに竿と感じています。実際可もなく不可もなくという表現が合っているのではと思うほど無難に仕上がっているわけです。そういう意味では低価格の竿の方が失敗しない竿選びだともいえるのですが、ある程度の経験を積みますとその竿では面白みが感じなくなってしまいます。
不思議なもので経験を積めば積むほど味わいの感じ方が違ってきます。これはヘラ竿に限ったことでなく、どんな趣味であっても入門したときは手にするものの特徴が感じ取れないのですが、経験を積めば積むほど些細な違いも感じ取れるようになって行きますので、その違いを体現できるものを手に入れたいと思うようになります。
私の趣味の1つである熱帯魚も最初は単に綺麗な魚を飼っていたのですが、いつしかナマズ系や古代魚などを手に入れたくなり、10㎝程度の稚魚が1匹10万円なんてのも飼ったことがありました。経験すると度が過ぎる傾向はあるのですが、ヘラブナ釣りも万能竿から竹竿に移行して合成竿や超軽量竿など手を伸ばし、結果として釣り味良い竿を使いたいと思うようになりました。
ただ同じ竿を使い続けますとその釣り味の良さを感じなくなってしまいます。そこで同じ尺数でも使う目的別に用意するのが贅沢な竿選びと感じています。超軽量で操作性の良い竿でもヘラブナの動きがダイレクトで疲れてしまう竿。重量は増すけれど本調子で引き味の良い竿。大助対応のための硬調子の竿と使い分けるとその度に新たらしい感覚で竿が振れます。
実際問題としてお気に入りの竿を見つけますと、同じ銘柄で尺数違いを持ちたいと考えるようになるのですが、実際は同銘柄でも尺数違いは調子も随分違っていたりしますので、軽々に買いそろえるのは失敗の元とも感じています。
メーカーによる竿の特性説明やテスター達の感想は、ホンの少しの参考程度に留めておいて実際は実釣して初めてその特性がわかりますので、こんなはずではなかったとならないためにも、誰かに1度触らせてもらうことをお勧めしたいのです。
釣具店で繋いで少々振っただけでは本当の竿の特徴はわかりません。メーカー主催の竿の試し釣りが行われるときに、尺数の違いを色々と試してみるのが良いのですが、そんな機会もコロナ禍ではままならないでしょう。
実際私自身も購入してから失敗したと思うものも何本かありました。完全にお蔵入りしてしまったものもありますしオークションに出品して処分したものもあります。オークションで手放しても当然購入価格には遠く及びません。ある程度高価に売れたとしても手数料をしっかり取られますので、受け取れる金額はそんなに多くはないのが痛いですが、自分の選択ミスとして諦めざる得ませんが、失敗しないためにも実際使われている方に感想をお聞きするのも方法でしょう。
失敗を考えますと高価な竿は必要ないのではないかと思えてしまいます。特に野池では鯉に持って行かれたり折られたりすることを考えますと、使えれば良い程度の竿選びでも良いのかも知れないと思ったりします。事実私自身も野池用に持っているのは、それこそ紛失したり折っても惜しくないものを用意しています。管理池でも鯉が放流されている池もありますので、そんな池に訪問するときは安価な竿を持ち込むようにしています。実際目の前を70㎝80㎝にもある鯉が悠然と泳いでいる池で高価な竿は使う勇気はありません。
事実京都のある池は鯉を放流しているので高価な竿や浮きは使わないで欲しいとわざわざ店主が断るのです。近くのある池はソウギョまで放流している池もありますので、やはり高価な竿はとても使えないですが、もし回収可能な池であり鯉が放されていない場合は、やはり釣って面白いと感じられる竿を持ちたいと思うので、高価な竿でも平気で使えるわけです。まぁなんと小市民的貧乏性な意見でしょう(笑)!!。
高価な竿が良いとはいいましたが、その竿が自分の釣り方に合っていなければ全く意味がありませんので、最低限強引に寄せるタイプなのか引き味を楽しむタイプなのか、それとも手返しを重視した競技タイプなのかは、決めておかなければ楽しい釣りは展開できないと思っています。
メーカーは高価な竿の部類はなぜか竹竿に近づけようとするようで、作り節や凝った塗装などを施した装飾性の高い竿が作られます。確かに高価な竿に見合った見栄えは必要でしょうが、いつまでも竹竿至上主義からは脱する方が良いと思えてしまいます。
私のように竹竿や合成竿にカーボン竿と使い分けている釣り師は案外少なく、竹竿を好んで使われている釣り師はカーボン竿をプラスチックの竿と蔑んで使おうとはされません。反対にカーボン竿を日々使っている方が、状況によって竹竿を出す方も本当に少ないと感じていますが、竹竿の釣り味としての心地よさは理解している私ですが、カーボン竿にまで竹竿的な仕上がりは全く欲しいとは思いません。
どうしても竹竿の呪縛から逃れられないのがメーカーの考え方であり、そこに関係するベテランテスターの強い意見による好みの押しつけがあるような気がしています。
竹竿でも段巻きが好まれた時期もあれば口巻きが好まれた時期もあります。それはまさに流行的なものだと思うのですが、カーボンに施される竹竿風の装飾は決まって段巻きです。竹竿にすら流行があるのにどうして先進的なカーボン竿に旧態依然とした塗装が選ばれるのかは理解できません。確かにヘラブナ釣りを好まれる人達は高齢の方達ですから、古き良き時代の竹竿装飾が良いのかも知れないですね。
何が言いたいかと言いますと、装飾に原価が掛かって否応なしに高価になった竿だとすると、高価な竿を選ぶべきとの選択肢が正解とはいえない部分があるということです。
でもヘラブナ釣り師の性でしょうか。色々な道具を含めて高価なものを持ちたいと思ってしまうんですよねぇ。でも決して高価な竿だから良く釣れるなんて事はありませんのであしからず。
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