両うどんのヘラブナ釣り

ヘラブナ釣りで人生を楽しんでいる日曜釣り師です

常時50枚の釣果と大助を釣り上げるために

 ヘラブナ用の道糸やハリスの強度は 糸その5ー5

 ヘラブナ用の糸で強度が表示されているものはありません。元々日本人の感覚では、糸の強度を数値として気にする文化がなかったからでしょう。


 欧米の文化が日本に入り、重量制の考え方も入り込んできました。ボクシングでもフライ級、ヘビー級と体重による階級が決められて、その階級の中での試合が組まれています。
 これは体重が違うのでパワーも違う。それを同じように戦うのはフェアーではないとの考え方です。
 日本の文化では、「柔よく剛を制す」の考え方があり、何も力が強いだけが優秀なのではなく、技をもってより大きな人を倒すところに溜飲を下げるような贔屓の仕方がありました。
 今でも大相撲には倍以上の体重差があったとしても同じ土俵で戦っています。柔道も元々はそうでしたが、西洋文化が入り込み体重性へと移行してしまいました。


 そんな階級制を利用することで公平な戦いが出来て、全てにフェアーな試合が組まれるとの考え方が、当然スポーツフィッシングの世界にも取り入れられました。
 但しこの場合は、選手の体重制ではなく、使用する用具タックルによる公平性を担保にしました。
 トローリングやルアーのような競技会も盛んに開催されていますが、特にカジキのトローリングやキングサーモンなどの競技では使用ロッドの強度、リールの強度、ラインの強度、リーダーの規定ととても細かく決められています。


 ここではその内の糸の強度についてのみ話を進めますが、ヘラブナの競技会では全く規定はされていません。竿の長さか宙釣りの浮き下の長さ程度でしょうか。大相撲よろしく無頓着というと失礼ですか、古き良き時代の概念で進行しているのが現実です。
 ですがブラックバスなどのルアー釣りが入り込むまでは釣った魚は持ち帰る。釣った魚は食べるのが日本文化だったでしょう。そういう意味では、先進的なキャッチアンドリリースの考え方も同居しているのですから面白いですね。


 話を戻しまして、ラインで何ポンドと表示されているのを見たことがあると思います。その表示は、何ポンドの強度があるではなくて、


 表示されているポンド数で切れる
 切れることを保障しているのです


 ここに西洋文化の面白いところで、国際ルールでは、弱さの証明をする必要があるのです。50ポンドのラインで釣り上げたカジキだとすると、登録には使用したラインを送り協会が実際に50ポンドで引っ張り実験をして切れることを確認するのです。
 それが50ポンドで切れなかったら、仮に60ポンドでやっと切れたとしたら規定違反となり失格になります


 日本の糸は基本的に号数で表示されています。
 では1号とはどうして決められているのかですが、それは重量から来ています。


 元々は天然テグスが基準になっています。


 天然テグスは、樟蚕(クスサン)の幼虫から絹糸腺(繭を作る器官)を取り出し、それを酢酸に浸してから引き延ばすとテグスが出来上がります。まぁ誰も作ったりはしないでしょうが(笑)、このテグスは白色ですが、水中では複屈折率 が低いためほぼ透明に見えることからハリスとして利用されたものです。


 この天然テグスを5尺の長さの糸として、その糸を100本束ねた重量が1匁(375g)だとすると1本が3.75gとなり、その時の太さが0.165mmとなります。これが1号と決めました。
 つまり日本の基準は強度ではなくて、重量から割り出した太さでしかないのです。これは釣りを対象にというよりは、商取引で原材料がどれだけ使われているかが元々な話となります。


 では、いま流通している道糸やハリスはどうか。
 一般社団法人日本釣用品工業会では、下記のように号数と太さが決められています。
つまり、天然テグスで決まった1号の太さが0.165mmですから、そのままナイロン糸の直径にも適用されましたので、強度では遙かに強いナイロン糸でも1号の表示なりました。
 反対に言うと強度に関係なく0.165mmが1号と決めたに過ぎないのです。西洋的考査では、糸の太さより強度の表示が優先されているので、同じポンド数であっても太さは違うことになります。


 http://www.jaftma.or.jp/standard/pdf/nylon.pdf


 大手のメーカーは遵守しているようですが、弱小メーカーなど現実的には殆ど無視されているのが現状です。国際的ルールが適用される競技で利用されているラインはポンド表示ですから、細い糸で強度があるなんて事で誇示する必要がないのですが、弱小メーカーに取れば、細い糸で強度があると誇示したいために現実的太さを誤魔化してでも強度があると思わせたいのです。*たんなる私考です


 つまり西洋では太さは全く自由で弱さだけが重要視されています


 よくスプールに最強とかの文字が書かれたりしますが、何を持って最強としているのか、正確には釣具用品工業界で決められているより強度より何g強いと、正確な数字で表現しなければならないはずですが、そんな表示は見たことないですよね。


 国際的には、弱い糸で釣り上げるのがスポーツだとの考えでもあるので、無理に細くて丈夫な糸を探す必要はないのです。如何に弱い糸で釣り上げたかが賞賛の対象となります。
 と、ここで話が終わったら面白くないので(笑)。おおよその強度を計算する方法があります。


 それは表示号数×4=ポンドです。


 1号は4ポンドと一般社団法人日本釣用品工業会で決められています。4ポンドとは1.814㎏の強度があることになります。
 ヘラブナによく使われる号数でいうならば、0.5号は2ポンドですから907gの強度があります。0.5号のハリスを使っていても2㎏近い大助を釣り上げる事が出来ます。
 では907gの強度で2000gのヘラブナが釣り上げる事が出来るのは何故か


 1つにはハリスそのものの強度ですが、ヘラ竿の柔軟性の恩恵を受けているからです。


 つまり、使用している道糸やハリスの強度を語る場合、使用している竿の強さ(腰の強さ)が重要になることです。
 人によって0.3号で十分と言われます。いや0.6号は必要だと言います。その違いは、使用している竿の違いと断言して良いと思います。
 勿論釣り方のクセもあります。強引に引き寄せる人はラインブレイクが増えてしまいますので太い号数を必要としますが、釣り人の釣法が同じだとすると竿の腰の強さの差によるでしょう。
 そうそうもう一つ忘れてならないのが竿の強度を補う竿の長さです。長いほど柔軟性が発揮出来ますので、より細い糸が利用出来ることになります。


 鮎釣りなどでは、0.01号や0.02号なんて当たり前で、その昔は0.4号が使われていましたが、今そんな太い糸を使う人は殆どいないでしょう。まぁ釣り方も変わったのもありますが、流れの中で掛けた鮎を空中に抜き上げて玉でキャッチするのですが、余程のことがない限り切れたりはしません。
 それは9mもの長い竿で柔軟性を利用しているからです
 ですがその糸を両手で引っ張ると何の抵抗感もなくプツンと簡単に切れてしまいますから、如何に竿の柔軟性が重要かわかるというものです。


 ヘラブナ釣りの場合は、鮎と違って「合わせ」の動作がありますので、鮎用の細い糸では合わせ切れを起こして使えませんが、竿の柔軟性を考慮して道糸やラインの太さを考える必要があります。
 季節によって竿を替える人もいるでしょう。対象魚のサイズによっても替える人がいますが、ハリスは何号を使おうかと考えたときには、同時に竿の強度も考慮して決める事でせっかく釣り上げた大助を、ラインブレークで逃がすなんて事がなくなるのではないでしょうか。


 私は・・・・根本的に大助が来ないので安いハリスを使っていてもラインブレークは少ないのであります。(T.T)