両うどんのヘラブナ釣り

ヘラブナ釣りで人生を楽しんでいる日曜釣り師です

常時50枚の釣果と大助を釣り上げるために

 ヘラブナ釣り 釣果を増やすための研究

 私は基本両うどんの底釣りをしていますが、団子餌であろうがグルテン餌であろうが、一定数以上を釣り続けられるには条件があるような気がします。


 食品化学を研究されていた静岡大学の伊奈和夫名誉教授による「魚の行動」という研究論文によると、鯉に焼麩を入れると1匹また1匹と集まって来て食べ出すが、落ち葉を落とすと一瞬口に入れるが吐き出してしまようです。これは鯉に限らず海の魚でも同じ現象とのことですが、その一連の行動を生理的に整理されているのですが、「魚は水面に異物の落ちたことを聴覚と視覚によって判断し、餌となりうると思ったから口の中に入れ、それは次の関門、触覚、味覚によって選別されて、餌になるものと、それ以外のものとを区別したわけである」とされています。


 ヘラブナ釣りでも重要な事の1つとして、テンポ良く餌を打ち返す事が上げられます。1つはヘラブナを集めるが為の撒き餌効果でもあるのですが、餌打ちの音は危険な音ではなくて、餌が撒かれる音として学習していると思います。その為に何度も何度も打ち替えと水音がすればするほど、音は広範囲にまで届きますので1箇所に集めやすい効果があると考えています。


 同論文には水族館の大水槽で泳ぐ魚の集団行動を取り上げられているのですが、「同種がある方向に集団で行動しているのが見られるが、それはある生理的な欲求によって行動している」とされています。


 「生理的欲求の中で特定の物質に刺激されて行動している」とされているのですが、その中でも特に食欲によるものだとすると、「その食欲も聴覚、視覚、嗅覚、味覚を特定の物質が刺激すると考えられる」との事です。


 ヘラブナに当て嵌めると聴覚はまさに餌を振り込んだ時の水音そのものに置き換えられるでしょう。


 視覚について実は多くの研究がされているようですが、伊奈教授によると真鯛については黄色の蛍光色が有効である事がわかっています。10gの餌に対して0.01g程度の濃度が有効で有り、それ以上増やすと逆効果となっています。実験の結果として赤系と黄系が有効と推定されています。
 また鯉でも蛍光色が有効との結論に達しているのですが、その蛍光色はアミノ酸の発光色とのことで、ここからはとても難解なのですが、農林省の原春樹研究員によりますとアミノ酸の日光照射による光分解・・・なんのこっちゃですが(笑)、要は蛍光物質に誘引されると結論づけられているのです。


 話は逸れますがモンシロチョウが雌雄を見分けるのは紫外線発光ということも解っています。モンシロチョウには紫外線が見えるということです。人間には雌雄どちらも白色ですが、オスは紫外線を吸収して黒く見え、メスは反射するので白く見えます。
 またモンシロチョウは蜜のある花も紫外線発光で見つけているようで、タンポポも紫外線発光していることが解っています。動物の世界は人間の目では見分けられないもので判断していることが解っています。
 ヘラブナにも同じように紫外線による見分け方を備えているかも知れません。


 その発光アミノ酸も12種類ほど光分解の実験をされていますが、残存率も時間経過と共に減少することが証明されていますので、団子餌であろうがまぶし粉であろうが作られてから時間経過をしているものは集魚効果が劣っていると考えられます。但し冷暗所など光の当たっていない場所で保管されていた場合は、効果は比較的維持されていると思われますが、今使っている餌にどの程度の発光アミノ酸が含まれているかどうかは解りません。


 続けて臭覚についてですが、実はこの臭覚もアミノ酸効果が高い事がわかっています。ナマズの実験ではミミズの侵出液を垂らすだけで興奮状態になり、それはヒゲをカットしても同じだったのですが、嗅神経を切断すると何ら変わった行動を取ることはなかったようです。
 鯉でも糠を煎った状態であれば興奮するが、生糠では誘因効果認められなかったとのことですから、団子餌に使われている麩はまさに焼麩であるわけですから、焼くことによって何らかの誘引物質が生まれていると考えられます。


 この博士によるとその他生理的行動として集団行動、生殖行動なども研究されていますので興味がありましたらネット検索してみて下さい。ここにURLを貼り付ける許可は取っていませんがネットで公開されていますので、今までの話も詳しく書かれていますので解読するす価値はあると思います。全6ページ程度ですから読むのにもそれ程時間は掛かりません。


 最後に他に取り上げられていた事項を付け加えて終わりとします。それは恐怖と忌避行動についてです。 「釣り上げた力ツオの血が舟から流れると、集まったカツオは散ってしまう」との事で、この現象は0.1gの皮膚を1Lにの水で侵出してそれを150Lの水槽に入れた場合でも同じだとのことですから、ヘラブナ釣りに於いてスレを掻くと散ってしまうのは、単に驚いて逃げただけではなく科学的根拠があるって事になりますね。


 さて人より1枚でも多く釣るためには何をすべきか。釣れない当たらないと嘆いているよりは、1つ何かを工夫することで釣果が変わるとするなら、それをやらない手はないはずです。その工夫とはいったい何ぞや!ですが、昔からまぶし粉を工夫してきた人は多く、人はそんな釣り師を「薬剤師」と称していたはずです。
 耳かきに1杯何かを加えるだけで違ってくるのも研究結果として解っています。アミノ酸効果も多く入れると良いというものではなく、実は配合飼料に占める割合は3%が適正割合ということも大阪府水産試験場の研究でも解っているのです。
 さぁ次は何を入れてみますか。単純に私の経験ではバニラ臭とガーリック臭は有効ではなかったことを付け加えておきすが、信じる信じないは実験してみる以外はなさそうですね。


 参考文献:
 Vol. 14, No. 10  株式会社三菱化学生命科学研究所
 科学と生物 魚の行動 静岡大学農学部農芸化学科 伊奈 和夫
 648ページ~653ページまで
 *株式会社三菱化学生命科学研究所は2010年3月末 解散


  [第 6号,6月] ア ミノ酸の 光分解 に関す る研究 農林雀食糧研究所 原 春樹
 493ページ~498ページまで
 昭和35年2月16日受理 
 *国立研究開発法人科学技術振興機構
 「科学技術情報発信・流通総合システム」(J-STAGE)