ヘラブナ釣り 大阪府立環境農林水産総合研究所
大阪で特に河内地域でのヘラブナの養殖は良く知られています。河内ブナとも称されていたヘラブナですが、淡水魚を対象とした大阪府淡水魚試験場(現:生物多様性センター)では、養殖に役立つ事として色々と研究されていました。
その試験場も統廃合を繰り返して、今では大阪府立環境農林水産総合研究所となっています。名称が長いので通称おおさか環農水研と表示されます。
私が元々この研究所の研究成果として興味を持ったのが、ヘラブナの好餌を上げるための研究で、アミノ酸が有効であるとの論文に出会ったからです。その研究内容は長らく秘密にしていましたが、このブログで取り上げまた月刊誌のへら専科にも掲載して、広く知ってもらうようにしたのですが、この研究をした研究者とも連絡を取り、アミノ酸の含有量などについても詳しく教えていただきました。
単純に要約しますと、アラニン、グリシを餌に対して3%混ぜ込めば良いというものです。詳しくはこちらを見ていただければと思います。
また最近訪問している岩田池では、ヘラブナが毎日大量死している現状をみて、どうしてそんなに死ぬのかを調べていたのですが、一般的な話としては、水の汚染や汚れではあるのですが、ウイルスや寄生虫によるものとされています。
淡水魚の病気については次の項目で取り上げられています。
治療方法については下記です
しかし現状の岩田池を見ていますと、どれに該当するのか想像が付きませんでした。ただ池の状況を見ていて、酸欠の可能性はあると思ったのです。今年の高水温も酸素不足を起こす原因ですが、元々岩田池は井戸水を常時供給しています。そのため冬期でも比較的水温が高くて、釣り続ける事が出来るのですが、実は井戸水そのものの溶解酸素量はとても少ないのです。
溶解酸素量と表現しましたが、水そのものに含まれる量は水温によって違っています。それを溶存酸素量といいます。
基本的に水温は低温ほど酸素が保持されます。また高圧であればある程酸素濃度は増えます。単純に0度の場合14ppmですが30度では半分の7.5ppmまで減ります。
詳しくは新潟県の内水面試験場が発表しています。
https://www.pref.niigata.lg.jp/uploaded/attachment/366530.pdf
また山形県の農研からも、井戸水を使用する場合には、曝気が必要だと発表されています。
https://www.pref.yamagata.jp/documents/6277/h25si4.pdf
釣天狗池では、3m程度の高さから井戸水を落下させることで、酸素を補給する装置が設けられているのですが、岩田池は直接流入されている様子ですから、周辺部からエアーポンプによって酸素の供給をされています。
ただ釣っていて感じるのですが、底にはヘドロが多く溜まっている所もあり、ヘラブナが寄るとメタンガスが湧き上がってきます。そのため水質の悪化と溶解酸素量の問題が起きているのではないか。またヘドロがあるために撒かれた養殖用の餌が埋没し、余計に水質の悪化を招いているのではと想像します。
なんとかヘラブナの死亡をくい止める必要があります。このところ薬の投入も続けられていますが、功を奏しているようには見えないんですよね。益々の大量死が心配ですが、一気に水の入替をするとどうなるのでしょう。1度上記の研究機関に問い合わせるのも方法と思うのですが・・・。
釣り人も池の水を汚さないためにも、使い残しの餌は池に捨てないようにして、自らの楽しみの場を奪わないようにしましょう。
そうそうヘラブナは交雑種を見かける事が多々あります。岩田池では鯉との交雑がよく見かけますが、ヘラブナと鯉は共に染色体が2倍体ですので、本来は産卵時期がズレているため交雑しにくいのですが、飼育環境下では交雑種が生まれやすい状態です。
よくマブナとの交雑種としてアイベラと称されますが、実はマブナの染色体は3倍体ですから、2倍体のヘラブナとは交雑種は生まれません。3倍体は精子と卵子の受精は必要なくて、いってみればクローンのように卵子だけで子供が生まれます。
ヘラブナの交雑種を作らないためにも研究がされていたのですが、3倍体や4倍体のヘラブナも作られました。結果的には成長が遅くて生産性が悪く、また3倍体のヘラブナは生殖能力がないなど、3倍体の有用性が認められず改良品種の研究は終わってしまいました。
この交雑種のことを不稔性魚と表現します。この研究について詳しく知りたい方は下記にて発表されています。
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