大阪文化には、ある特定の話をしても最後に「知らんけど」を着けます。自分なりの確信があるけれど、絶対的な内容ではない空想と思い込みを含んだ発言をすると、責任回避として知らんけどを着けます。
例えば、「今日も大西王位が1位になるで、知らんけど」と使います。「今度の総理は1年続かないのと違うか。知らんけど」と噂話に花を咲かせます。
この知らんけどはとても便利で無責任な言葉ですが、私の書いているような色々なヘラブナ釣りに関して、何がどのように表現や指摘をしたとしても、本当は「知らんけど」を着けないといけないはずです。
誰しもヘラブナの気持ちなんて解るわけがなく、反対に人間的思考は全く別世界の考え方ですから、何となく感じる思い込みによって、全てを論理立てようとしています。
例えば冬期になると、ヘラブナの食い気が落ちるので、食い気を上げるには何をすれば良いのだろうと考えます。その方法の1つして、ヘラブナに対するアピール度を取り上げます。また食いやすい状況を作るとか、感度の良い浮きを使って抵抗を減らすとか・・・。
実はそれらは全て間違っている可能性があるのです。単なる人の思い込みによる論理立てをして、ヘラブナの習性について解った気でいるだけで、理解しているとは言い難いのです。
例えばヘラブナの産卵ですが、春になって水温が一定温度になると産卵をする。それは多分ですがある程度は合っているのでしょうが、何によって産卵行動のスイッチが入るのか解っていません。それがヘラブナ同士であれば、あるグループでは一斉に産卵行動に移りますが、別のグルーブはまだ産卵を始めません。この両グループにはどんな違いがあるのでしょう。
産卵に適した状態にまで卵が育ってないとか、そのグループが求める水温になってないとか、色々な事情はあるでしょうが、その違いを人は理解できていませんが、ある一定期間を通して産卵を続けています。その時期の初めに産卵するグループと後半に産卵するグループには、何かが違っているはずです。
人の理解としては、ある水温に達して日中の長さが長くなったタイミングで産卵始まる事を知っている程度でしょう。それでいて実際は1ヶ月程度の長期間産卵しているのですから、最初の産卵と後半の産卵との違いはどこにあるのか、研究者でも確実なことは指摘できないかも知れません。
このように釣りの対象魚となっているヘラブナですが、それぞれ個性があるはずですから、how toとしてこのようにすると釣れるとするのは、合っているところもあるでしょうが、大半の部分は合ってないか間違っているはずです。
池主に聞きましても、100匹いても釣れるヘラブナは10枚以下だろうと。100匹全部のヘラブナが、食い気を示して釣れてくることはないというものです。それこそ真っ黒に集まっているのに、一向に食い当たりが出ないなんてことはよく経験することですが、まさにそれが良い証拠で、食い気があっても針に着いた餌は食ってくれないのです。
そういう意味で食い気を起こさせることは出来たとしても、最後に針に着いた餌を食わせるのは至難の業ですが、何らかのスイッチが入った瞬間、針に着いている餌をパクッと食ってきます。このスイッチの入れ方が解ると、爆釣間違いなしだと思うのですが、その答えはあるのでしょうか。
実はそのスイッチの1つが、誰しもがやっている誘いです。底釣りでは特に餌が動かない程度の小さな誘いを掛けるだけで、ツンと食い当たりが帰ってくるのです。イメージとしては一節程度沈む引き誘いと、なじみ巾を一節程度戻す送り誘いです。
餌が動くほどの誘いは、縦誘いなら可能でしょうが、底釣りは禁止行為ですから引き誘いになります。その引き誘いを掛けても、餌をズルズルと引きずるような誘いは掛けられず、少々大きく引いたところで、コロンと転がれば良い方で、イメージとしては道糸とハリスのテンションが変わる程度です。それでいて何らかのスイッチが入るのか、誘いを掛けた後直ぐにツンと当たりが出ます。
勿論いつもいつも誘いを掛けると当たりが出るなんてことはないのですが、何らかの要因があるはずで、誘いを掛けるとツンと入る当たりが出るのです。しかし解明までは程遠く、まさに誘いを掛けると当たりが出る。知らんけど・・・となります。
誘いを掛けた時に出る水中映像が見られると良いのですが・・・誰か知りませんか?