両うどんのヘラブナ釣り

ヘラブナ釣りで人生を楽しんでいる日曜釣り師です

常時50枚の釣果と大助を釣り上げるために

 ヘラブナ釣り シマノ本式・ダイワ兆 比較インプレッション

 シマノ朱紋峰本式17尺を手に入れて直ぐにインプレッションを書きましたが、ダイワの兆ととても似た印象でしたが細かい違いがあるだろうと、今回は1日で両方使い比べることでその違いを再確認してみる事と致しました。


 結論的にはやはり記憶に残る印象と実際に釣り比べると違った印象があると思ったのです。


       尺数  全長  仕舞   重量  先径/元径 カーボン  価格
朱紋峰本式  17    5.1m   114㎝  93g  1.1/11.8  97.7%  87,300円
兆      17    5.1m   112㎝  98g  1.1/11.2  99.0%  91,500円


 両竿はスペック上だけでなく価格的にもほぼ同じに見えます。重量差も5g程度ですからこの違いを感じられる人は少ないと思いますが、繋いで見ると明らかな違いがあったりします。それは竿のモーメントの出し方の違いだろうと思いますが、餌の振り込みで感じる重さ、合わせのために竿をあおった場合の重さ、水切れの良さ悪さ、ヘラブナを掛けた時に感じる重さや手に伝わる感触、そして操作性と色々なシチュエーションでその竿から手に伝わる感覚は違ってくると思っています。それが上手く表現出来れば良いのですが、


 先ず握りについてです。握りの感触はほぼ同じですが本式の方が滑りにくいです。それは握りに施されたゴム状の編み目によるものですが、触った感触はとても柔らかいのです。その柔らかさが滑りにくさを演出しているのでしょう。また網目状になっているのですが、その編み目の深さが案外深いのです。それもまた滑りにくさや触った感触が柔らかく感じされるのでしょう。ただそれが反対に餌が詰まったりして汚れが取れ難いのです。これは煉などと共通した仕様です。
 反対に兆は表面がやや堅くて本式に比べると滑る印象があります。ただあくまでも比較するとという意味であって、兆も良く出来た握りで滑りにくいのは間違いありません。また網目状と言うよりはシート状になっていますので、彫りが浅くそれが功を奏して餌汚れが付き難い構造となっています。こちらもFなどと共通の仕様です。


 今回先に手に入れていましたダイワ兆から使って釣り始めました。その後シマノ本式を繋いでどのような違いを感じるかを確認してみる事と致しました。


 兆は繋いだ感じからしてソフト感があります。これはいったいどこから来るのでしょう。思うに元竿が細く竿先が重い分竿が全体がしなるイメージになっているのかもしれません。実際掛けてからのやりとりもゆったりとしていて、竿全体が綺麗なカーブを描くようになります。
 後先が逆になりますが振り込みもソフトでスムーズな振り込みが出来ます。力を入れて振り込もうとしなくても思うところに置くように振り込みが出来ます。


 次は本式です。竿を繋いでから手に持った印象ですが、直ぐに本式の方が軽いと感じました。竿全体というよりも竿先が軽いのです。これは5gの重量差どころではありません。
 兆から持ち替えた印象としては17尺同士ですが、兆が17尺で本気は16尺ではと感じるほどの差です。実際の差は16.5尺程度だと思うのですが、明らかに軽さの違いを感じる印象がありました。この印象は振り込み、合わせ、取り込み全てに於いて共通しています。共通しているからこその良さと難点も見え隠れしてきます。


 兆の曲がりです


 本式の曲がりです。



 竿の曲がりの頂点の違いによる特性の違いで竿の印象が変わるようで、次のようなシチュエーションで印象が違います。


 餌の振り込みについては、先に書きましたように軽く置いてくるように沖に振り込めるのが兆の方で、本式は明らかに意図して竿をあおって振り込む必要があります。これはとても不思議な感覚でしたが、重いと感じる兆は振り込みに関しては力を有せず、軽いと感じる本式は力を入れて振り込む必要があったのです。その為に本式では何度か餌を飛ばしてしまう事がありました。


 水切れについては、軽い本式の方はまさに水を切る感じで竿が立ちますが、兆は水から抜けるように竿が立ちます。表現そのままに本式は水を切って立ち上がる印象を受けるのですが、兆も実際は水を切っているのでしょうが、胴が曲がって穂先を手前に抜いているような印象を受けるのです。


 これらの印象の違いに大きく影響を与えているのが2番の太さでしょう。両竿の穂先から元竿までの全体としてのテーパーは似ていたとしても、2番の違いでこうも違うのかと思うほど明らかに兆の方が太いのです。その為に兆の穂先は水の抵抗と同時に胴が積極的に曲がろうとしますので、竿先を抜いて立ち上がるイメージの合わせ方になります。


 その竿の特性の違いのためか、兆は4:6からヘラブナの引きに合わせて5:5まで曲がる印象ですが、本式は3:7から4:6まで曲がるように頂点が移動します。餌打ちの段階では反対に兆が2:8の間借り方で餌を振り込めますが本式では3:7の印象で振り込みます。


 つまり本式の方が明らかに竿先にかけて細く先調子に仕上がっていて、2番が細い分竿先が軽く仕上がっています。その為に竿を持った印象が明らかに軽く餌の重さに負けるとまではいいませんが、穂先か2番が曲がって振り込みに力を有する印象があります。同時に合わせてからの竿の動きも軽いのです。釣り上げる印象も元竿近くは曲がらずに竿先でやり取りしている感がありました。これはあくまでも兆と比べての印象であって、神威のような先調子とは全く違っています。


 反対に兆は2番が太いために明らかに先が重いのですが、2番がしっかりしているために餌の重さに負けなずに餌を軽く運ぶことが出来るのです。合わせてからも元竿近くからも曲がるために竿全体が仕事をしている印象があります。
 竿先が重いと表現していますが、それはあくまでも本式に比べてた印象でしかありませんので、単純に兆を1日使い続けても疲れるというほどの重さではありませんでした。


 ヘラブナを釣り上げた感触では、本式の方が明らかに軽量系に近いヘラブナの鋭角的な動き方を伝えてくる印象です。兆はショックアブソーバーが効いて優しい引き方を伝えてきます。


 最終的な竿全体としての印象としましては、本式はまだ若さを感じる竿で兆はいい歳の取り方をしている竿です。つまり青年実業家と粋な紳士の印象とでもいいましょうか。車でいうところの本式はBMWで兆はベンツでしょう。
 つまりどんな特性を持たせようとしたのか、その違いが印象の違いとなったのではないでしょうか。BMWはコツコツとタイヤの駆動や道路事情を伝えてくるスポーツ性能を追求したものですが、ベンツは道路に凸凹などない舗装したてのように走る、まさにラグジュアリーさを強調しています。


 今回両竿を使い分けて全体としての印象もまさにスポーツ性の本式、ラグジュアリーな兆だろうと思いました。使う程にこのような印象を強く感じていたのです。


 これらの印象は1日に何度も両竿を使い分けて、違いは何だろうと思いながら使った印象ですから、仮に1本だけ使っているとその違いは大きくはないかも知れません。


 正直いいまして結論的なお勧め度の差はありません。どちらのタイプの竿が好きかというだけのことですが、本式はレーシングカーのようなサーキット走行には適していません。やはりトーナメンターが使うにはレーシングカーですから皆空やヘラSとなるのではないでしょうか。本式のスポーツ性はセダンのGTでしょう。決してポルシェやフェラーリでもはないと感じました。
 その点兆は間違いなくゆったりしているのですが、こちらもロールスロイスやセンチュリーのようなショーファードリブンでもなくて、自分でゆったりと運転するベンツやレクサスの印象がありました。


 ベンツのSクラスに乗ったときに感じる、振動が全くなく滑るように走る印象そのままに、兆でヘラブナを釣り上げたときに感じる印象なのです。それ程に腕に優しく滑らかに釣り上げられるのです。この大人の色っぽさは体験してみないとわからないかも知れません。カーボン率99%でコツコツ感を取り除いているのは見事という以外ないですね。


 両竿の開発時の特徴付けは、竹竿の良さを取り入れるところから始まっているようですが、カーボンの癖を取り除き竹竿に近い仕上がりとなったのは兆で、竹竿調子を取り入れながらカーボンの良さを残したのが本式との印象を受けました。
 ただこの印象も竿の尺数が変わると一気に変わるかもしれません。また釣り場の水深と同時に釣る棚の深さ、使用する餌の違いや大きさ、竿先の水中へ入れる度合いなど、それぞれの利用の仕方でも随分と違いが出るのかもしれないことを付け加えておきます。


 今回のインプレッションは次の条件によるものです。
 1.シマノ 本式 17尺・ダイワ 兆 17尺
 2.竿受け カーボン 2本もの 1.8m
 3.両うどんの底釣り
 4.道糸0.8号・ハリス0.5号・針関東スレ6号・浮きクジャクの羽2枚合わせパイプトップ
 5.釣台使用(またぐタイプ)
 6.水深 約2.0m 沖の底釣り(振り切り)・水温26度
 7.約8m先が餌打ちポイント
 8.竿先 穂先部分のみ水中に入れる
 9.釣果 37枚
 10.竿の交換回数 午前4回 午後 4回