両うどんのヘラブナ釣り

ヘラブナ釣りで人生を楽しんでいる日曜釣り師です

常時50枚の釣果と大助を釣り上げるために

 村田満さん 訃報に接し色々と思いが

 へらぶな釣りとは直接は関係がないのですが、鮎釣りの開拓者として有名だった村田満さんが、去る1月4日にお亡くなりになりました。享年85歳でした。


 心よりご冥福を申し上げます。


 私が鮎釣りを初めてした頃は、重い竿を駆使し仕掛け糸も竿より1ヒロ以上長く、オトリ操作や竿操作も難しかったのですが、野アユが掛かると重い竿を肩に担いで、長い仕掛け糸をそろそろとたぐり寄せ、腰に差した京タモに吊し上げポトンと落とす。それが鮎釣りの定番スタイいるだったのです。


 重い竿ですから竹竿では6.3mでグラスロッドで7.2mを使うのがやっとだったのです。グラスでも1㎏近くはあったはずです。それがオリンピック社からカーボンロッドが発売され、8.1mが主流となっていきました。


 そして技術が進み8.1mから9mの竿が使われるようになったのですが、初期は糸をたぐる取り込みだったのですが、その頃に取り込みを空中輸送するダイレクトキャッチが編み出されました。
 その方法を編み出した張本人がこの村田満氏だったのです。初期は荒っぽいと非難の声も聞こえたのですが、今では全くそれが当たり前のように採用され、鮎釣りの取り込み方法としては定番となっているのですから、先見の明というか先駆者の努力が功を奏した形で残ったのですが、その後も留まることなく、新たな釣法を探る開拓者でもあったのです。


 その開拓者が編み出した釣り方に泳がせ釣りがあります。鮎釣りは瀬を釣るのが当たり前で、川の流れが淀んだトロ場はポイントではなかったのです。
 それを村田氏は、鮎を気ままに泳がせ、追尾する野鮎を掛ける釣り方を確立します。


 その延長線として、今まで届かなかったポイントを釣ろうと、なんと10m竿を作り出してしまったのです。9mでは届かないポイントですから、1人舞台で釣るに釣ったりと、トーナメントに勝ち続けます。そのため超長尺の鮎竿を使うのが一次ブームになって、私も10m竿を使ったことがありました。


 しかしやはりそれは無謀というもので、取り回しが大変だとして9m竿に落ち着くことになるのですが、10m竿と空中キャッチ、そして泳がせ釣りでは超極細の糸を使っては、大会の優勝常連となって行きました。金属糸を使われたのも初めではないでしょうか。


 その頃すでにダイワのインストラクターとなっていたはずですが、竿の開発などに拘わるようになるのです。和歌山の公衆浴場のオヤジさんが本業ですが、どこまで本業をされていたのか・・・。鮎釣りに打ち込まれていたのが、とても羨ましいと感じていたものです。


 へらぶな釣りでは誰がどのように開拓し、何をどのように変化させて行かれたのでしょう。
 残念ながらへらぶな釣りの経験が浅い私は全く知らないのですが、私の数少ない知識の中で、竹竿からカーボンも大きな変化ではあるのですが、今でも竹竿を愛用されている方も多く、メーカーですら竹竿の呪縛から逃れられていません。そんな中で大きな変化としては、なんと言っても浮の変化だと思うのです。


 素材として茅が使われ出したのも大きいのですが、それ以前のいつ頃か知りませんが、へら浮きはブランコ足になってました。この構造だから微小なあたりでも表現できると思っていたのです。


 ところがへらぶな釣りを再開というか、本格的に始めるとブランコ足の浮きは消えていて、1本の棒足になっていたのです。


 あれあれ?ブランコ足だから当たりがわかったのでは?と思ってたのですが、どうも道糸に浮きが絡むのを嫌って棒足になったと聞かされました。


 しかし昔の記憶が強く残っていますので、私としてはブランコ足の良さから抜け出せなくて、仕掛にトンボを括り付けて、そのトンボに浮きゴムを通すことで、簡易ブランコ足状態にしているのです。


 ブランコ足から棒足に変更された方の考え方に逆らう形となっていますが、現代のへらぶな釣りでは誰が開拓者となっているのでしょう。なにも伝統を守るだけが良い方法でもないはずですから、次々と変革しても良いはずですが、どこかに伝統を重んじる風潮が残されていると感じてしまいます。


 1つの良い例が玉き手編みに限るというものです。別に機械編みでも良いとは思うのですが、不細工!!で格好悪いとけなされてしまいます。
 また何故か竿掛けは竹製が多く使われています。私も初めは竹製でしたがカーボに変更したのです、それは雨などで濡れると枕が固着して抜けなくなるためです。それがカーボンにすると簡単に外すことが出来るので重宝しています。
 多分それ以外にも頑固なところがあると思うのですが、ヘラブナ釣りでも変革が必要ではと思っています。
 そうそう私の変革の1つは竿掛けの万力を使わない方法です。この方法はへら専科でも紹介しましたが、とても便利で楽に使えますのでお薦めです。


 現実問題としてヘラブナ釣りの人口が減り続けています。その減り方を防ぐのは無理だとしても、緩やかなカーブが描くことはできないのでしょうか。初心者が釣り堀に来ても、おまえ達はなにしているんだ!!というような目で、それこそ除け者というか居心地が悪くしていないでしょうか。
 ヘラブナ釣りとはこういうものだと、勝手なルールを押しつけたりはしていないでしょうか。


 先輩達が先駆者となってハードルを下げ、へらぶな釣りの面白さを提示していただけると、新規参入もあるのではと思うのですが、、、


 そういえば鮎釣りのスタイルも、法被を着て菅笠を被る伝統的な姿でしたが、今でははるかにスポーティーなファッションになったいます。でも、へら釣りのスタイルはファッショナブルとは言えそうにありません。
 私は使いませんが寒いからと防寒対策にスカートを履き、上下ダウンを着てまるまると着ぶくれ、オケで餌をネリ、見ていても格好いいとかファッショナブルとは到底言えません。
 そんなところも若者に拒否感を与えているのかもしれないですね。


 かく言う私だって汚れてもいいファッションでいす。そんなところは子供の頃の釣りは、どろどろになって帰ってきた記憶からです。土手に座って竿わ出したりするのは当たり前で、ぬかるみに足を突っ込むのもごく普通のことだったので、その記憶が釣りは汚れるものと思うようになっているのかも知れません。


 村田満氏訃報を受けて、ついつい昔のアユ釣りを思い出し、近くの野池で楽しんでいた、それこそ釣りを始めた頃の記憶までさかのぼってしまいました。


 改めまして村田満氏のご冥福を心よりお祈り申し上げます。